ユーモア・ギャグマンガの感想・レビュー6117件<<189190191192193>>顔面の圧で押し切る!へうげもの TEA FOR UNIVERSE,TEA FOR LIFE. Hyouge Mono 山田芳裕影絵が趣味山田芳裕の作家性ついては、幻にして伝説の未完作品『度胸星』のたったひとつだけで信用に足る漫画家だということが分かります。およそ漫画にかかわらず、ありとあらゆる作品と呼ばれうるもので、いくつもの世代を超えて読まれ続けているものには不思議と未完作品が多い。なぜ未完なのか、ということについては、作者の死と、それ以外の理由とにわけることができると思いますが、どちらにしても、あまりにも無謀で途方もない挑戦をしたがために完成が無限に遠ざかっていったということが言えると思います。その意味で『度胸星』は、ほんの一瞬でもその途方のない遥か遠方を垣間見させてくれたというだけで素晴らしい作品であることはまちがいない。しかも、山田芳裕はその果敢な挑戦を気合ひとつでやってのけたのです。 そう、山田芳裕のマンガはとにかく気合の入り方がちがう。問題の有無や大小にかかわらず、とにかく気合が入っている。なんだ気合か、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これが実はなかなか容易ではない。どうしても、ひとというのは、何らかの効果を狙った手段を投じることで、問題を問題解決に導こうとする習性があるように思われます。つまり、どうしても語りが二義的で説明的になってしまう。それにつき山田芳裕のマンガにはまず気合の入った顔面がある。「目は口ほどにものを言う」という言葉がありますが、何よりもあの顔面がすべてを物語ってしまっているんですね。何かの効果のある手段といった副次的な語りを追い越して何よりもまず、あの顔面が最前線ですべてを物語っている。 『へうげもの』に話をうつせば、私たちは安土桃山時代の数寄者ではないのですから茶のことはよくわからない。それでもとにかく古田織部の毎度のこと驚愕する顔面をみれば、何かヤバイことが起きているとすぐに察知することができるのです。そして何より、稀代の怪人、千利休を顔面として描き切ったことの素晴らしさよ。けっきょくのところ、何を考え、何を為したひとなのかがよくわからない千利休、何なら楳図かずおの『イアラ』のように何千年も生き続けていると言われたほうがしっくりくるあの千利休をありのままの顔面として描き切ったことは『度胸星』の挑戦にも並ぶチャレンジだったのではないでしょうか。きのこの世界、踏み込んでみる?三枝教授のすばらしき菌類学教室 香日ゆらあうしぃ@カワイイマンガ農業大学で、「きのこ」等の菌類を研究する三枝教授の研究室に、何故か連れて来られた新入生の天谷。さあ、楽しいきのこ講座の始まりだ!……って、頼んでねぇよ! ----- 小学二年生の舞ちゃんにいざなわれて、素敵な紳士風の三枝教授から、半ば強引にきのこの知識をレクチャーされていく天谷。 教授と舞ちゃんのきのこ愛は熱烈で、天谷はとてもついていけない。でもそんな素人の彼が、細かく強烈なツッコミを入れることで、オタクのしょうもない拘りを笑いにしてくれるので、読んでいて飽きない。 同級生とのやりとりから、または生活の中から生まれた「きのこ」に対するよくある疑問が、三枝教授によって解説され、きのこの知識が増えるのも楽しい。 農大の描写は、例えば『もやしもん』(石川雅之先生)と同様に、普通の大学とは違う独自の文化が見られて、大学生活漫画としても今後、期待できるかも。 とかく分かりにくく、興味はあっても取っ掛かりのない「きのこ」の世界の入門書として、楽しく分かりやすく、何より「情報が正しい」、貴重な一冊となっている、と思う。 (1巻の感想。今後、野外で観察する回があることを望む!) ----- 最後に、一介のきのこ好きとして、参考文献の頻出人名を少しだけ紹介させて下さい。 ●伊沢正名…きのこ写真のパイオニア。古い図鑑は基本、この方の写真で構成されている。 ●大作晃一…白バックの、図鑑用きのこ写真撮影の技法を確立。近年の美しい図鑑はこの方の労力の賜物。 ●新井文彦…阿寒湖を中心に、きのこと、きのこのいる風景を撮影する写真家。ひたすらに美しい写真。 ●小宮山勝司…きのこ好きが集まるペンションを経営し、自身の名前で図鑑も出される程のきのこ通。 ●保坂健太郎…きのこが専門の、国立科学博物館の研究者。面白そうなきのこの本や企画には、この方がよく絡んでいる。 ●飯沢耕太郎…写真評論家として著名だが、きのこに関しては、きのこの文学や切手の蒐集家として有名。 ●堀博美…きのこライター。図鑑では得られないきのこ知識を網羅した『きのこる』は名著。これほんとどうなるの…クワトロバッテリー 高嶋栄充名無しこれほんとどうなるのか気になる!続きが超楽しみ!なんで全員片想いになってしまうんだろう!? ムーコ 連載200回おめでとういとしのムーコ みずしな孝之名無しムーコ連載の歴史が見れてよかった。もう8年なんだね ハケンの麻生さんは虫オタクハケンの麻生さん 仲川麻子nyae麻生さんが会社の引き出しの中で芋虫を飼っていることに対して、虫嫌いの同僚・原さんは全力で否定したのに対し、その他の人たちは結構肯定的。 しまいには「机の上で飼えば?」なんて、正直まじかよと思いました。 私はどちらかというと原さん側で、もし仕事場で虫を飼育してる人がいたらやめてくれ‼‼というと思います。漫画の中で誰かが言ってたけど「理解できないからダメっていうのは違うと思うよ」いやその通りなんですけどでも虫嫌いだし… とはいっても一冊読んだ感想としては最初から最後までずっと面白かった。 お仕事マンガとしても読めるので、納期に振り回されて帰れないとか、正社員と派遣社員の間で揺れたりとか、会社員あるあるが満載だと思います。 とくに私は感情の起伏が少なめで淡々と日々をこなすけど頭ではしっかり考えてる主人公が好きなので、この漫画はピッタリ。 麻生さんの虫好きは筋金入りで、道端での虫探しは日常。自宅のベランダでも虫が好きな植物を育てているし、休日は虫探しに遠出することもしばしば。 そんな姿を見てると、さっきも書いた「理解できないからダメっていうのは違うと思うよ」という言葉が少し受け入れられそうな気持ちになってくるから不思議…。 絵を見てもらうと分かる通り、ほんわか優しいので虫嫌いの人でも読めます。こんな将棋漫画、見たことがない!こんなレベルの低い将棋見たことがない! 安藤たかゆきstarstarstarstarstarひさぴよ「3月のライオン」や「ハチワンダイバー」が大好きだけど、将棋経験はゼロ!という作者が、棋譜を読めるようになりたいという理由から将棋を学び始めるエッセイ漫画。 同レベルの対戦者との勝ち負けに一喜一憂しながら、体当たりで学んでいく姿が、もう可笑しくて可笑しくてしょうがない! 特に先輩漫画家(伊丹澄一&さぬいゆう氏)とのやりとりはマジで爆笑もの。 序盤こそギャグ多めですが、どんどん将棋の奥深さにのめり込んで行き、次第に真剣さを増していきます。 2巻では、将棋界の実力者達から指導対局を受け、さまざまな対局を重ねていく作者。 自身の内面を描きながら、将棋の本当の面白さに気付いていく描写に、読んでいてこちらも思わず将棋がやりたくなってしまうほどの熱量を感じました。 物語は2巻の時点で一区切りついてますが、もし続きがあるなら読みたい。 「帯の推薦コメントを羽生善治氏にお願いしたら断られた」という、あらすじのエピソードも含めて、笑いも楽しめる漫画です。あほな会話を楽しむ男子高校生の日常 山内泰延大トロ特に大きな出来事は起きないけれど、クスっと、笑える漫画です。 アニメ化もされています。 ユーレイ窓がとにかく怖い三宅乱丈作品集 ユーレイ窓 三宅乱丈nyaeこれ読んだのは結構前なんですが、表題作の「ユーレイ窓」がとにかく怖かったという記憶があります。それ以外の話がどんなだったか思い出せないほど。読み返せば良いんですが、ユーレイ窓が怖すぎてなんか読めない。 短編集ですが全部がホラーというわけではないです。ただこれだけは伝えておきたい。 ユーレイ窓はとにかく怖い。うどんが繋ぐ恋。うどんの女 えすとえむPom 学食で働くワケアリ女性(村田さん)と学生(キノ)の「あ、うどんの」からはじまる恋物語。何だろう。登場人物も少数だし、シュールだなーが感想。 皆、発する言葉も少ないが一言一言に重みがあって、胸に響く。 上品で終わり美しい恋愛ストーリー。一人暮らしの平凡な日常を異常に描く意欲作吾輩の部屋である 田岡りき六文銭登場人物は、基本的に主人公だけ。 基本、というのは、メールとか電話などで、友人や想いをよせる人(植村さん)は出てくるのだが、姿としては一切出てこないから。 主人公以外は文字だけの存在になっています。 部屋の人形が語りかけてくるが、たぶん主人公の妄想でしょう。 舞台も、主人公が暮らしている「部屋」の中のみ。 これまた、外出シーンは一切出てこない。 そう、まさにタイトルどおり「吾輩の部屋」なのである。 こんな困難な設定でよく描けたな、すごいなーと。 思ってしまうのですが、それ以上に 「誰もが経験する平凡な日常を面白く描ける」 という点が作者の力だと思います。 普通の人なら見落としてしまう点も、独自の着眼点で見つけてふくらませる。日常系マンガの面白さの分水嶺はここだと思うんですよね。 ともすれば、全部なんてことないことばかりなんです。 台所の吸盤がやたら落ちるとか、絨毯の端がめくれるとか、雨で洗濯ものが乾かないとか、好きな人からメールがこないとか、逆に怪文が送られて悩むとか。 それを、主人公が悪戦苦闘しながら、一話完結方式でオチまでもっていく展開が不思議とクセになるのです。 主人公は大学院の修士課程で専門的な研究をしているからなのか、個々の問題の本質を探り、そして深く悩み、時に本格的かつ凝った対応をします。 ロジカルに、テクニカルに。ぶつぶつと垂れ流しの独り言をしながら。 ・・・まぁ、一人しかいなんでね、思考がさまよいますね。 スキマスキマでずっと読んでいられる、そんな作品だったのですが、なんと6巻で終わってしまい悲しい限りです。 でもまぁ、この設定で6巻も続いたのが奇跡でしょうかね。 また、ドラマ化もしたようです。 この設定なら、きっと低予算ですんだんだろうなぁとか勘ぐってしまいます。 最後に、私、上記で嘘を言いました。 主人公しか出てこないといいましたが、最終巻最終話には、そのルール破って「ある人」がでてきます。 そこも要チェックですよ。 斬新武士スタント逢坂くん! ヨコヤマノブオ名無し設定面白い。 先が楽しみ。ゆるくて~かわいい~きょうの猫村さん ほしよりこやむちゃえんぴつ描きの線やセリフのゆるいフォントなど、パッと見でも癒やされること間違いなしなんですが、キャラがね、本当に独特でみんないい味出してて面白い。話の設定も、1巻の10ページまでめくってる間に完全に引き込まれちゃうから猫飼いにはぜひとも読ませたいアイドルがひたすら酒を飲むだけのマンガアイドランク さきしまえのき 宮場弥二郎六文銭アイドルが、色んな飲み屋でひたすら酒を飲む。 たった、それだけなのになぜか面白い。 ハシゴ上等、朝帰り上等、ちゃんぽん上等、ホントにアイドルか?って思うほど飲みまくる。 終いには、タンブラーにも酒を入れてくる始末。 ただ、楽しそうにガバガバ飲んでいる様は見ていて気持ちいいです。 飲み方とか、おっさん臭いものが多いけど、飲兵衛にはたまらない飲み方をするし。 このアイドルたちが、いかにバレずに飲み続けていくのか、見ものです。 ってか、 『国民の妹系アイドル 大宮ほのか(15歳)』 →実は22歳 さば読み過ぎだろ! つづいているアニマル横町 前川涼名無し完結の文字がないことに震えました。イッサめちゃめちゃすきだったなぁと懐かしすぎるので大人買いしたい作品です。一応テニス漫画燃えるV 島本和彦マウナケアなんとか、格好がつくくらいならテニスはできます。しかし体力の続く限りガンガン打ち込むだけなので、相手に「テニスをしてない」と言われる始末…。で、そんなときに思い出すのがこの作品。一応テニス漫画ですが、作者自ら「あの漫画はテニスなどいやっていない」といっている、そのまんまの内容です。生き別れた父と再会するため、勝ち続ける事を宿命づけられた主人公・狭間武偉。彼はルールも知らずにテニスを始め、インターハイ、そして4大大会で頂点を目指す。なんて書くのもばかばかしいほどで、実際にやっていることといえば、ダブルスを一人で戦ったり、ストリート・テニスなるもので日銭を稼いだり、あげく必殺技は相手の体を狙う技…。テニス漫画として読んではいけません。でも、テニスに格闘(熱血では無い)要素を取り入れて、笑いも涙も盛り込むなんて、凄いことだと思いません? 後の『逆境ナイン』や『無謀キャプテン』などより、テニスというスポーツを突き抜けているこちらのほうが全然いい。最近、作者のこの手の作品はないようなので、ライバル・赤十字の息子編とか描いてくれると、また燃えるんだけどなあ。終わりはいつも怪物くん 藤子不二雄(A)マウナケア※ネタバレを含むクチコミです。 ショートショート漫画といえばいいのか一万十秒物語 倉多江美starstarstarstarstarマンガトリツカレ男シリアスな話だったりギャグだったりといろんな種類のすごい短い短編がまとまっていてる作品集。正直よくわからない内容もあるけどまあこれはこれでいいなと思いながら読めて面白い。寝る前に読むのが最高だな 稲垣足穂の一千一秒物語がタイトルの元になっているのかな男おいどん男おいどん 松本零士マウナケア昔、といっても1990年代あたりまでは、おいどんみたいな学生ってけっこういたものです。大学時代の私の周りにもそんな人たちが集まっていました。無芸大食人畜無害。キノコが生えそうな湿度の高い部屋に住んでいたり、人がよくてすぐだまされたり、曲がったことが嫌いで馬鹿を見たり…。まったく同じではないですが、みんなおいどんの一部をもっていたんですよ。だからかもしれません。大学生のとき、初めて最終巻まで読んだあとは喪失感でいっぱいになりました。おいどんのことをもう他人とは思えなくなっていたんですね。劇中の下宿館のバーサンみたいにしんみりしてしまいました。今ではあのラストについてはこう思っています。おいどんも私の友人たちのように、進むべき道をみつけたからあんな行動に出たのだ、と。きっとどこかであのサルマタの怪人は元気に暮らしているのでしょう。でもやっぱり、何度読んでも古い写真を見返しているようで、少し寂しくなるのは変わらないんですけどね。映画化もした小説のコミカライズしゃべれども しゃべれども 佐藤多佳子 勝田文nyae落語を題材にした話ですが、これを読んで落語の世界を知るというよりは、人間同士のコミュニケーションでつまずいてしまった人達の成長物語という感じ。 なので大変読みやすいです。 様々な事情で“話すこと”に悩む、年齢も性別もバラバラな4人になぜか落語を教えることになってしまった噺家の三つ葉が主人公。 三つ葉本人も、自分の落語とは何かに悩み立ち止まっていたところだったが、4人との関わりが予想外の化学反応を起こしいろんな人を巻き込みながら自分自身も一歩ずつ前に進んでゆくのが面白い。 かなりクセの強い4人だけど、三つ葉の真面目で正直な性格が徐々にみんなの凝り固まった心をほぐしてゆく様が感動的。 子育て小学生が日本の家族観を揺さぶる赤ちゃんと僕 羅川真里茂あうしぃ@カワイイマンガ母を亡くしたばかりの小学生・榎木拓也。彼の前には、泣いてばかりの弟、稔。母はなくても子育ては待ってくれない。家事に育児に忙殺され、苛立ち苦しむ拓也。それでも……やっぱり弟、可愛いかも。 —- ハートフルコメディというには、ちょっと息苦しく、それでも愛おしい作品である。 ほんの1、2歳の幼児にべったりで面倒を見る、思春期間近の小学生である拓也。子育てがうまくいかず、悩み、苛立つ彼の様子が、綺麗事を抜きに表現されるので、この作品で子育ての辛さに向き合うことになった読者の少女(そして私を含めた少年)は、ショックを受けたものである(昔話)。 家庭から目を外に向けると、拓也の前には、家庭や対人関係に苦しみ、傷ついた人達が現れ、捻じ曲がった言動を彼にぶつけてくる。 しかし拓也は、まっすぐさと優しさで彼らに接し、その捻じ曲がった心に気づかせて、本来の優しさを取り戻してやる。その優しい着地に私達は安堵しながらも、何か心を抉られたような痛みも同時に感じる。 家庭とは、性差とは、愛情とは……コメディに隠されて提示される問題意識は根深い。この作品を読んだ少女(私を含めた少年も)は、自分を支えている価値観や、甘く楽しい将来像を、激しく揺さぶられた。 2019年の今、この作品を読んでも、日本の家族観・性差の問題というのは、なかなか変わらない部分があるなぁ、と気付かされる。そういう意味で、1990年代のこの作品は今だに読まれる意味を持つし、この作品の問題意識を、新しいやり方で表現する漫画が、現れて欲しいと思う。 拓也の笑顔の向こうには幾千万の、年上・女(今作ではむしろ男)・母といった役割を押し付けられ、苦しんでいる人がいる。そういう人達のためにジェンダー論で戦う前に、まずはこの作品を読むことで、むやみに人を傷つけない、優しい解決を目指したい。いやいやこれ最高なのでは!?その着せ替え人形は恋をする 福田晋一名無しギャルいいですね ギャルが赤面するのがこんなにいいものとは!? こちらが焦ればあちらがヨユーで、こちらがヨユーならあちらが赤面してめちゃくちゃ可愛い コスプレギャルたまらん!! 最高てしたレディーパーフェクトリー(準備は完全に整った)この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる とよた瑣織 土日月 こゆき名無しこれ系の漫画ってみんな中二患ってるけど面白いよね。 でも実際RPGやる人の半分くらいは慎重勇者の気持ちがわかると思う。 始めのダンジョンで限界までレベル上げする人絶対いるしw マガジンの 川柳少女の スレですよ川柳少女 五十嵐正邦詠み人知らず最新話 よかったからさ 建てました「自分探しの旅」の正体は二巻を読むと分かる!ブキミの谷のロボ子さん 伊咲ウタまさおアンドロイの女の子が人の感情について学んでいく漫画。面白いのは主人公に教えられたわけじゃないのにどんどん学習していくアンドロイド。感情や気持ちは相対的なもんのなんだなー相手がいるから芽生えるものなんだなーって再認識する漫画。可愛いだけの漫画かと思ったらピリっとスパイスの効いてる良い漫画。<<189190191192193>>
山田芳裕の作家性ついては、幻にして伝説の未完作品『度胸星』のたったひとつだけで信用に足る漫画家だということが分かります。およそ漫画にかかわらず、ありとあらゆる作品と呼ばれうるもので、いくつもの世代を超えて読まれ続けているものには不思議と未完作品が多い。なぜ未完なのか、ということについては、作者の死と、それ以外の理由とにわけることができると思いますが、どちらにしても、あまりにも無謀で途方もない挑戦をしたがために完成が無限に遠ざかっていったということが言えると思います。その意味で『度胸星』は、ほんの一瞬でもその途方のない遥か遠方を垣間見させてくれたというだけで素晴らしい作品であることはまちがいない。しかも、山田芳裕はその果敢な挑戦を気合ひとつでやってのけたのです。 そう、山田芳裕のマンガはとにかく気合の入り方がちがう。問題の有無や大小にかかわらず、とにかく気合が入っている。なんだ気合か、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これが実はなかなか容易ではない。どうしても、ひとというのは、何らかの効果を狙った手段を投じることで、問題を問題解決に導こうとする習性があるように思われます。つまり、どうしても語りが二義的で説明的になってしまう。それにつき山田芳裕のマンガにはまず気合の入った顔面がある。「目は口ほどにものを言う」という言葉がありますが、何よりもあの顔面がすべてを物語ってしまっているんですね。何かの効果のある手段といった副次的な語りを追い越して何よりもまず、あの顔面が最前線ですべてを物語っている。 『へうげもの』に話をうつせば、私たちは安土桃山時代の数寄者ではないのですから茶のことはよくわからない。それでもとにかく古田織部の毎度のこと驚愕する顔面をみれば、何かヤバイことが起きているとすぐに察知することができるのです。そして何より、稀代の怪人、千利休を顔面として描き切ったことの素晴らしさよ。けっきょくのところ、何を考え、何を為したひとなのかがよくわからない千利休、何なら楳図かずおの『イアラ』のように何千年も生き続けていると言われたほうがしっくりくるあの千利休をありのままの顔面として描き切ったことは『度胸星』の挑戦にも並ぶチャレンジだったのではないでしょうか。