ぐらんぶる

あぁ、愛すべき男子校のノリ

ぐらんぶる 井上堅二 吉岡公威
六文銭
六文銭

大学生というと、飲んで、おにゃのことイチャコラするかしかないと思っていた時期がありました。 夏は海、冬はスノボ。 間にちょこちょこ何が楽しいのかわからないBBQ。 小生は全くそんなことありませんでしたがね。(血涙) 本作は、そんなルサンチマンを解放してくれるような作品です。 いや、上述のようにキャンパスの女子とラブラブする作品だったら、 紙なら破き、電子書籍ならスマホを叩き割るところなんですが、 本作は違うんです。 形容が正しいか不明ですが、雰囲気でいうと男子校のノリなんです。 それも、コテコテの男子校。モテないほうのやつ。 だから、読んでいて清々しいんです。 飲んだら全裸を中心に、アホなことをこれでもかと全力でする。 性格や行動に裏表がなく、キレイにいうと素直、悪く言うと要領悪い感じが、読んでいていいんですよね。 そうそう、これこれ、と家庭の味のように思ってしまう。 こういうんでいいんだよと。 ダイビング漫画なようですが、あまり海には潜らず、ひたすら飲んで、裸になって、モテない男たちの群像劇が繰り広げられます。 一応ヒロインもいて画力が高いのでひたすら可愛いのですが、性格に一癖あったり、また、そういう雰囲気(恋愛)にならないのも良いです。 また、ギャグ漫画としてもクオリティが高く、ハイテンションでスピード感ある展開が読んでいて飽きないです。 男同士のくだらない日々を愛おしく感じる人がいたら、本作を強くおすすめします。

ふたりはだいたいこんなかんじ

愛する二人と〈周囲〉の話

ふたりはだいたいこんなかんじ いけだたかし
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

女性カップルの同棲話が平熱で、淡々と描かれながらも愛らしい本作ですが、その良さを端的に言い表すのは難しいと感じます。 なので私が言う事も作品の一部分だと思うのですが、特徴として「周囲を丁寧に描く」事があります。 2巻にして既に二人の親、古馴染み、仕事仲間や先輩、ご近所がしっかり登場して関わります。基本二人は優しく関係を深めてゆくので、安心して読んでいられるのですが、それでも周囲の関与は少しの緊張感をもたらします。 二人が盤石であれば、関与する人の中には悲しい思いをする人も現れます。そういう人の秘めた心や行動を見る時、私は主人公二人の視点を離れ、その人に感情移入する。そして気付く……自分(=主人公)だけ良ければいいっていう話じゃないよな、と。 誰かの幸せの影には、他の誰かの様々な感情があるんだよ、という視点は、実は他の百合作品でも得られる視点ではあります。しかしこの作品は、多様なサイドストーリーを複数同時展開する事で、カップルを起点とした世界の広がりと複雑さとままならなさを同時に表現している。 そしてそこから得られる感情は「みんなが幸せになれればいいよな」という、優しい物でした。