はいからさんが通る 新装版

大正時代を舞台にしたラブコメ大作といえばこの作品

はいからさんが通る 新装版 大和和紀
名無し

テレビにも映画にもなった大和和紀先生の代表作の一つ、笑い有り、感動有り、ハチャメチャで元気な女の子、花村紅緒とイケメン少尉、伊集院忍の大正時代のラブストーリー大作です。この時代にこんな女の子、もし現実に居たらきっと生き辛かったと思います。でも紅緒はそんな時代でも負けない明るさと強さを持っています。そんな型破りなはいからさんに忍も伊集院家の人達も惹かれて行きます。紅緒は生まれた時から忍の許嫁。それが気に入らない紅緒は忍に嫌われようと頑張りますが、実は初対面から忍が気になっていて、忍の方も元気な紅緒に好感を持っていました。生まれた時から決められた相手をお互い本気で好きになるなんて本当に素敵な運命です。やりたい事が出来ない時代で特に女性は大変だったと思いますが、きっと紅緒の様に自分で切り開いて行く人もいたでしょう。自分も大正時代にスリップした気分になれるぐらい物語に引き込まれてしまいます。また所々に書かれている大和和紀先生のちょっとしたギャグがとても笑えるのです。泣ける感動シーンがあるかと思えば、思わず声をあげて笑ってしまうシーンも有りとにかく面白いのです。この時代が好きな人にはもちろんお勧めですが、マンガが好きな方には一度は読んで欲しい作品です。

三日月のカルテ

優しい研修医と、夜のデート11ヶ条

三日月のカルテ 七坂なな
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

治る見込みの無い難病で陽の光を浴びることの出来ない少女は、人生に絶望し、命を断とうとする。彼女を救ったのは、一人の女性研修医の提案……「お試し恋愛」だった。 興味本位で始まった、夜のデート。少女は11の約束を課して、研修医を試すが、研修医のひたむきさに次第に心動かされ……。 ♡♡♡♡♡ 11話の各話で「11の約束」を一つずつ紹介しながら、二人が恋人の真似事をしながら次第にその気になっていく様子が描かれる。 しっかりしているようで世間知らずの少女は、研修医をあれこれ振り回す。それを受け止める研修医はどこか頼りないが、それでも少女の為に懸命だ。 病院の個室でしっかりした、少し気難しい子供として過ごしていた少女が、研修医の懸命さに安心し、甘えたりする一方、不安や嫉妬の感情を知る……つまりは恋心を知る、その過程が甘やかで、闇の中での逢瀬の「秘密」感と相まってドキドキする。 院内学級があるほどの大病院ですら治療できない難病に、深く絶望した少女の魂を前向きに「生かす」為に必要だったのは、頼りない研修医の強い願いだった。2巻の最後で、少女にかけられた言葉に込められたその願いに、一気に涙腺が緩む。是非、その言葉まで読んでみていただきたい。

いっしょにねようよ

ある意味ずっしり重い、全6巻。

いっしょにねようよ 高尾滋
nyae
nyae

他人同士がひとつ屋根の下でわちゃわちゃしてるんですが、お面の男の子・古白くんと主人公・一子ちゃんが抱える心の傷や抗えない境遇がわりとショッキングなので読んでる間はずっと心がざわざわしてる。 ひとつ前にクチコミを書いた「ディア マイン」と比べると、けっこうシリアス多めです。 ディアマインとの共通点としては、主人公がほんわかしていて自分より他人の気持ちを優先しがちなんだけど、いざという時に芯の強さを発揮すること、あと小さい子供が出てきてやっぱり可愛い(ディアマインでは寿千代、こっちでは寅次郎と名前はごっつめ)。あと、なにかと苦労している子どもの近くに、保護能力があるかっこいい大人がいること(←個人的にはこれがいちばん高尾先生の漫画の好きなところ)。 見たくないものが見えてしまう古白と、あるものだけが見えなくなってしまった一子が、お互いが幸せになってもらうために、そして自分も幸せになるために努力した結果がこれなんだなと思うと、やっぱ最後は泣けてきますね… ある出来事をきっかけに古白がお面を取るんですが、そこからの2人の恋の進行の速さったら、すごかった。 今あらためて読むと、若干6冊の中にいろんなことを詰め込み過ぎかも?もっと学校生活を描いたり、サブキャラの人となりを掘り下げる回があっても良かったかなと思いました。 家族とか血の繋がりとか、年齢や見た目、職業…人間の大事なところはそこじゃないというのが一貫してるテーマかなと思います。

星川銀座四丁目

教師と児童の恋と依存と、その先と。

星川銀座四丁目 玄鉄絢
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

両親の存在に苦しみ、不登校になった小学六年生の松田乙女。見かねた教師の那珂川湊は彼女を引き取り、養子に迎える事を目指して、共に生活を始める。 強引に乙女を連れて来た湊。真っ当な愛情を注ごうとする、懸命で正義感の強い女性……なんだけど……。 ♡♡♡♡♡ 第一話では、乙女のためにしっかりしないといけない湊が、とんでもない事をしでかして驚かされる。しかもその理由が「乙女がいない時間が辛い」という、情けないもの。最初のカッコよさとの落差は、衝撃的だ。 しかしこれをきっかけに、乙女は大きな決断をする。そして却って湊への信頼を増し、湊の為に在りたいと想うようになる。 そしてその気持ちは、 信頼を超え、恋心になる。 互いを想い合う様子は温かく、二人の時間は甘く、時に危ないほどに気持ちが昂る。 しかし強い恋心は、過度な依存に形を変える。思ったよりだらしない湊と、思ったより恋にのめり込む乙女の関係には、常に危うさが付き纏い、不安になる。 更に協力者と思っている人物も、法律も、決して二人の味方とは言えない状況。乙女が子供であるために、二人が引き離される不安は常に示唆される。本当の心の絆が試される時、湊と乙女は……。 年の差百合にときめきつつ、恋愛依存関係から自立した人間同士の関係へと成長する過程を追った、真剣で優しい物語だ。