人生最大の失敗

人生最大の失敗とは?

人生最大の失敗 野原広子
六文銭
六文銭

とあるサイトで紹介され、作家さんも、もともと自分がよく読んでいた作家さんだっただけに、興味がてら読みました。 特に、夫婦関係の機微というか、絶妙な空気感が読んでいて共感しかないので好きな作家さんの1人なんですよね。 全く読んだことなかった時は、表紙とかパッと見「ん?大丈夫か?」となりますが、ストーリーとか会話が不思議と入ってくるので、エッセイのような内容にピッタリの絵なんだと思う。 さて、本作は、エッセイ系によくある夫婦関係のいざこざで、ある日夫が浮気相手との電話で 「人生最大の失敗は、結婚だよ」 と言っている姿を目撃した主人公の話。 SNS上に溢れんばかりにこの手の話があるので、皆誰しも一度は思うことなんでしょう。 本作の主人公は、そんな夫に対して見切りをつけて、自分で生きていくことを決める。 子供が成長してからの離婚、まぁ熟年離婚ですね。 その後の生活のハードさや、その年で一人になった時の寂しさ、周囲との関係(主に同情めいたもの)が、とにかくリアル。 夫の文句を言いながらも、なんだかんだ自立の難しさや子供を言い訳に別れることができない友人の存在も良い対比になってます。 自分も我慢して結婚生活を続けたほうが良かったか?などの葛藤がよぎるが、どっちが良かったかなんて一概に言えない中で、彼女の決断や行動は色々学ぶことが多かったです。 どっちの決断だって頑張っていれば格好いいんだと思わされます。 内容が内容だけに湿った感情がうずまくのですが、不思議と読後感は悪くなくて(ここも、この作家さんのすごいところだと思う)、むしろ、1冊で色んな人間の価値観に触れられて刺激になりました。 この夫婦にとって、本当の意味での「人生最大の失敗」はなんだったのか? それはぜひ本作を読んで感じて欲しいです。

異星人の子を授かりまして。

妊娠期間20カ月(白目)近未来SF出産エッセイ

異星人の子を授かりまして。 まるかわ
ぺそ
ぺそ

ロマンチックな異種婚姻譚や異種族恋愛ものって沢山あるけど、その後の妊娠と出産に注目した作品ってみたことない!着眼点がすごい。しかもエッセイマンガ風に描かれてるからリアリティしかないです。(開幕主人公のお辞儀から始まっててこの人わかってるな・・・!と思いました) https://comic.pixiv.net/works/7396 先進的な技術と制度を持つオロエレ星人・ヴッさんと結婚した地球人の主人公。 妊娠期間が20カ月間なだけでもエゲツないのに、さらに恐ろしいのがず〜っとつわりが続くうえに「つわりが酷いほど元気な子が生まれる」という迷信があること・・・無理すぎる😭 ヴッさんみたいな素敵な旦那さんじゃなきゃ絶対耐えられないし、2人目産むとかありえない。4人も産んだ義母さん超人すぎる。 異星人ならではの生物的特徴や、先進技術とつわり前提の社会システム、安産祈願の風習の違い、実家や義実家との付き合いなど。作り込みが半端じゃなくて真剣にハラハラ心配しながら読んでしまいました。 ここに描かれた何割かは地球人の子供を産むときにも当てはまるんだよな思うと、やっぱり怖い。そして自分の母や友人を含めた世のお母さんたちって皆すごいな・・・と尊敬してしまいます。 各家庭へのオロエレ製の家政ロボットの導入は無理でも、旦那さんのテレワークや時短勤務育休くらいは地球人でも取り入れられそうだし、早くそうなって欲しいです。

シティな俺がオチるまで

この社会人ラブコメ、推せる!

シティな俺がオチるまで やまとかな
兎来栄寿
兎来栄寿

皆さんは都会と田舎、どちらが好きでしょうか。私は都会で生まれ都会で育ちましたし、都会の便利さを享受してもいますが、魂は常に奈良の吉野山にあり還ることを求めています。空の狭いビル群の中で呼吸を潜めているより、緑と花に囲まれた広くて雄大な景色の中にいる方が落ち着きます。田舎にいる温かな人たちも大好きです。 しかし、本作の主人公は私とは逆で田舎者が大嫌いな27歳シティボーイ。社のホープで仕事もバリバリできて女性社員からの人気も高いものの、好きなものは美女・嫌いなものはブスと田舎者というちょっとイヤなヤツ。 ……なんですが、1巻の後半ではなぜ主人公がそんなに田舎者を嫌いなのかという理由となるエピソードが描かれ、なるほどそれは嫌いになってしまっても仕方ないな、と納得感が生まれます。 そんな田舎者嫌いの主人公の下に社長命令で超弩級に田舎者な部下の女の子がつくことになり、凸凹な関係性によるラブコメが繰り広げられます。 『のだめカンタービレ』の千秋とのだめのような、エリート系男子と破天荒純粋無垢系ヒロインの関係性が好きな方には無条件でお薦めできます。 個人的に好きなシーンが、ヒロインが差し入れてくれたふかし芋に対して主人公が「こんな田舎臭い食べ物なんぞ」と思いながら食べ無意識にほっこりしてしまい、そんな自分を追い払うために「高級スーパーで買ったヒマラヤ岩塩かけて食ってやる!フハハ思い知ったか田舎者め!」と高笑うところ。主人公のアホ可愛いところ、愛せます。 主人公とヒロインのみならずキャラクターの立たせ方が良く、全体的に古き良き少女マンガ感もあります。ただ絵柄的には男性でも読み易いタイプでしょう。 続きはもちろんのこと、やまとかなさんの今後の作品も絶対に追いかけたいと思わせてくれる秀逸さでした。

月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい(ガルドコミックス)

私も転職希望です

月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい(ガルドコミックス) アサヒナヒカゲ 野地貴日 黄波戸井ショウリ
六文銭
六文銭

■募集要項 「おかえり」というお仕事 ■対象  隣に住むお姉さん(スタイル抜群)  仕事以外は幼児化する ■条件 ・月30万 ・休日手当あり こんなんあったら、応募が殺到して、サーバパンクするでしょう。 なんというホワイト企業。 内容はタイトルのとおりです。 バリキャリで、バリキャリゆえに生活力皆無な早乙女ミオに、主人公が雇われた話。 条件は、帰ってきたら「おかえり」というだけ。 ミオは仕事以外に興味がなく、趣味もなく、友達もいないため、月収53万あっても使うアテがない、なんとも寂しい生活。 なので、30万で雇っても問題がなく、むしろそれに喜びを感じるという話。 全体的にギャグ展開多めで、バリキャリのときと、家に帰ったときの幼児化のギャップがたまりません。 まだ、恋愛感情はなさそうですが、ラブコメなのかな? 2巻ではミオの過去に踏み込んでいくあたり、 少なからぬ感情があるように見えますが、今後どうなっていくか楽しみですね。 そして主人公の名前は「まつとも」です。 「まつもと」ではありません。何度も読み間違えましたのでご注意を。