「近所に世界の全部がある―――」ハダカで笑って、ゆっくり泣いて、近くの遠くまで散歩しよう。きっと大切になる、10年の月日と17つの物語。《収録作》『ハダカヨメ』ひとり裸で家事を楽しむ妻。そんな秘め事を知らぬ夫。結婚2年目の夫婦が直面する知られざる小さな大事件。『はっぱの人』離婚して失意に沈む男が頭に葉っぱの生えた店員に助けを求める。葉と愛の発生の瞬間。『サイコンクエスト』ママの再婚相手が現れた。決戦は誕生日。パパを忘れられぬ子が勇者となる成長譚。他、多数の作品を240ページの大ボリュームでお届けします。『このマンガがすごい! 2020』(宝島社)オトコ編 第9位『パンダ探偵社の』の著者・澤江ポンプが贈る最高のユーモア。
えんこうさん
「ネメシス」(講談社)で連載されカルトな人気を誇った大相撲SF 超伝奇「五大湖フルバースト」以降、「新耳袋アトモス」(ホーム社)に活動の場を移して描いたホラー短編より、河童×相撲をモチーフに描いた3篇をまとめた1冊になります。わかりやすい直球のプロットでありながらハッタリを利かせまくったパワフルさ。それを銅版画を思わせる緻密な作画で描写した、これぞ西野マルタの真骨頂ともいえるストロングな相撲怪談を存分にお楽しみください。
雲霧仁左衛門
つとめの三カ条―― 一、盗まれて難儀する者へは手を出すまじきこと 一、つとめをするとき人を殺傷せぬこと 一、女を手ごめにせぬこと 「本格」として三つの掟を守って暗躍する怪盗・雲霧一味に狙われた者はただ立ち尽くすのみ! 他の凶賊とは一線を画する盗みの手練手管とは……!?
SUPERどうぶつーズ
ねずみのトニー、うさぎのコニー、ぞうのポニー。どうぶつの街「ビッグシティ」に住む、いつも仲良し3人組の「どうぶつーズ」。年の頃は、トニー(27)コニー(27)ポニー(29)である。どうぶつーズの仲間はみんなしっかりとした職を持ち毎日せっせと働いている中、いまだバイトしているどうぶつーズの3人。彼らが常々口にする言葉といえば「…そろそろ俺らやばくね?」しかしそんなどうぶつーズにも大きな夢が! その夢とは遊んで暮らせる大テーマパークを作ること。バイトだけでそんなの作れる訳がないっつーのに今日も変わらずモデルに雑用、デリバリー。様々な出会いと経験を積んで夢に向かうどうぶつーズ。行け! どうぶつーズ! 2016年9月よりリイドカフェで連載された作品に大幅な加筆修正を施し全274ページの大満足ボリュームにまとめたキモカワコメディの決定版です。
リイド社のトーチは本当にいい仕事をするよなあ、と、毎度のこと唸らずにはいられません。新人の漫画家は雑誌の読み切りからデビューするという漫画界の定石を覆さんとしていますよね。そればかりではなく、やんごとなき事情で誌面にはどうも上がってこられなさそうな才能であったり、何らかの理由で表舞台には立とうせずアンダーグラウンドの世界に留まっている才能をまさに一本釣りですよ。 初期の窓ハルカさんなんて凄まじかったですよね。パースもヘッタクリもない、そもそも立体が描けていない小学生みたいな絵なんですけど、それをそのまんま載せちゃう。でも、すごい面白いんです。そのほかにも、セミ書房は『架空』の仙人たちというか怪人たち、川勝重徳と斉藤潤一郎の首根っこをしっかり掴んでいるのにも感心する、たぶん大変な気苦労があることでしょう。 そんなこんなで澤江ポンプ。初期の作品集ということもあってか、まだ絵自体は浮気がちで、よしもとよしともじゃないですけど、好きな漫画をよこに置いて描いてるんじゃないかなあという感じ。でも、絵は他人のものでも、このひとは漫画の呼吸をあらかじめ知ってしまっている。どんなに絵に個性があっても馬のエサにもならん漫画しか描けない漫画家が大勢いるなかで、この才能は群を抜いていると思います。とくに、二話目の『夜明けの未来ちゃん』が素晴らしかった。たぶん、黒田硫黄の漫画をよこに置いて描いたんでしょうけど、それ以上に野球マンガならでは呼吸をあらかじめ知ってしまっている。最後は縦に大きく割れるカーブでアウトを取るわけですけど、肝心の曲がっているところは見せないんです。でも、スゲえ! となる! これぞ野球マンガの呼吸!