兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
台湾の作者によって描かれた、台湾の葬儀社を舞台にした作品です。美しい表紙絵に惹かれながら手に取りました。 先日も『葬儀屋タケコ~あなたの最期、叶えます【電子単行本版】』のクチコミを書きましたし、『おくりびと』以降は葬儀にまつわる職業を描いた作品も一際増えた印象です。 ただ所変われば品変わるという言葉の通りで、隣国でかつ同じ島国である台湾ですが日本とは違うところがいくつもありとても興味深いです。 ・葬儀屋が特殊清掃も兼ねる ・台湾ならではの風水を意識した墓作りとその職人 ・遺族に代わって泣く仕事「孝女白琴(こうじょはくきん)」 ・スイカに顔を描いて水中に投げる「西瓜招魂」 ・死者の足元で紙幣を燃やしてあの世への旅費とする「脚尾銭」 などなど…… この辺は国ごとにかなり事情も違いそうなので、他国ではどのようにしているのか気になります。 物語としてもターミナルケアを受ける少女や、とある理由で心中しようとした男の子たちなど生死にまつわる上質な人間ドラマが繰り広げられていき、沁みます。 余談ですが、ちょくちょく出てくる「紅豆車輪餅」、日本ではいわゆる大判焼きや今川焼き、回転焼きなど地方によってさまざまな呼ばれ方がされる仮称ベイクドモチョチョは台湾にもあるんですね。お餅が入っているのはとても美味しそうで、台湾に行く機会があれば食べてみたいです。
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
「猫島」というと一番有名なのは愛媛県大洲市の青島かもしれませんが、本作は宮城県の猫島である田代島での暮らしぶりを描いた実録4コママンガです。 数百年前より豊漁を呼ぶ神様の化身として大切にされてきたこと、また実務的にも害虫やトカゲやヘビなどを追い払ってくれる存在としてありがたがられ、人口60人弱の島に200匹ほどの猫が半野良状態で自由に過ごして棲んでいるという田代島。猫好きには堪らない楽園ですね。 規格外の体の大きさで大量の餌を貪るデカ男、 キャンプ場の女帝・ナナミちゃん、 突然変異で生まれた茶トラのそらくん、 人懐こくてかわいく島の内外の人間から優先しておやつやご飯をもらえるアイドル猫のほくろちゃん、 彼女にずっと付き従う女官のようにしておこぼれを貰うグレーさんetc... キャラの立った猫たちの日常がたまりません。 モフりたいのになかなかモフらせてくれない猫と少しずつ絆を結んで立派な膝上大好きちゃんになる様子や、生魚はそれほどでもなくとも焼き魚への圧倒的な執着心を見せる子たちに思わず破顔します。 作者の方は既に島からは離れてしまったそうで、恐らく描かれていない苦労も色々とあったこととは思うのですが、島で保護して家猫にしていた子たちと元気に暮らしておられるようで何よりです。 猫島への移住や暮らしぶりの方をもっと読んでみたい方は、前作『猫島に移住しました。』の方からお読みください。 猫島や兎島、いつか一度行ってみたいです。