sogor251年以上前『ogros』をフォローをしました序盤の雰囲気にみんな騙されるがいいヨヨハラ ogrossogor25美人の転校生とのいきなりの同居生活が始まるという少女マンガのような設定から、その実はエロネタ多めのラブコメという思いっきり青年マンガ向けの内容。twitterやpixivに掲載してたということもあり各話のページ数は短めでその分テンポよくネタが詰め込まれてるし、全編フルカラーで画面作りも爽やかでサクサク読める。 …という感じでサクサク読み進めてると、後半になり突如として挟まれる衝撃展開。WEBでコマ切れで掲載されてたはずだから最初からこの展開を考えていたとは思えないんだけど、それにしては伏線の配置の仕方が自然過ぎる。序盤からずっとIQを下げながら読んでいたところに突然「外天楼」のようなSF展開が流れ込んでくるこのギャップをぜひ味わってみてほしい。 全1巻読了幼馴染を守るカッコいい女の子、では終わらないカノジョになりたい君と僕 たかせうみsogor25あらすじの通り、セーラー服で学校に通うMtoFのアキラがバカにされないように学ランで通い始める幼馴染のヒメという、ヒメの剛直なカッコよさが現れる導入の作品だけど、物語はそれで終わらない。 ヒメの行動の原動力は「アキラに嫌な思いをさせたくない」の一心なんだけど、2話以降では「思いが強い=正しい」とは限らないという事を含め、様々な人の考えにヒメが触れることになる。表紙や導入からはセクシャルマイノリティがテーマのように見えるけど、本質的にはこの作品はヒメの成長の物語なのだと思う。勿論タイトルにあるように恋愛の要素も見え隠れするんだけど、それよりもっと深く本質的なところからヒメの感情を掘り起こしていき、彼女やその周りの人々の成長を見守る作品になっていきそう。 1巻まで読了。ただのビールマンガと侮るなかれ琥珀の夢で酔いましょう 杉村啓 依田温 村野真朱sogor25クラフトビールがテーマのマンガでありながら、見ず知らずだった3人が出会って居酒屋をプロデュースして再建していく物語としても面白い。 1話の導入以降、クラフトビールの紹介メインで既存の酒呑みマンガに近い内容が展開されるが、徐々に主人公3人の人間ドラマへとシフトしていく。ビールから興味を持って作品を手に取ったら気付いたら作品の魅力に惹かれていく構成、特に物語の明確な変換点になっている第5話までの流れが見事。 ビール好きや舞台の京都が好きなら勿論、「Artiste」のような凸凹な関係のキャラたちの成長譚・群像劇が好きという方にもお薦めしたい。 1巻まで読了。人生で一度しかない"青春"の群像劇魔法が使えなくても 紀伊カンナsogor25様々な背景をもって上京してきた若者達の群像劇。紀伊カンナさんはこれまでBL作品を中心に発表されてきたけど、絵柄・キャラ造形含めて男女問わずに魅力的なキャラを描ける方なのだと実感する。連作短編集の形式で毎話中心人物が変わるんだけど、みんながみんな何かしらの明確な答えを見つけるわけではないのに登場人物は皆輝いて見える。色んな出来事があった後、物語上そんなに深く絡んでなかった岸くんと環の会話で締めるっていう構成もいいし、そこの環のセリフがこの作品全体を的確に言い表してて何回も読み返してしまう。まさにこの世は白か黒かだけじゃないねずみ色ばかり、でもだからこそいいと思わせてくれる作品。 そして物語の余韻をいい意味で吹っ飛ばしてくれる最後の見開き。ただこれはこれで物語の結論とは別の意味で真理。BLを読んでなくても楽しめる上質メタフィクションコメディ絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男 紺吉sogor25自身がいる世界がBL世界であることを自覚している主人公が、ちゃんと女性と結ばれて両親に孫を見せるために自身および周囲に迫る恋愛フラグを全力で回避する、というメタフィクションコメディ。なので「わたしの宇宙」というよりは「恋愛フラグ0女子の迷走」に「僕がモブであるために」を混入させたような作品。ただ、BLっぽいネタもあればストレートな恋愛マンガにも当て嵌まりそうなネタまで豊富。そして全てのフラグを回避しようとする主人公の、全勢力を掛けて斜に構える感じが痛快。 実際主人公は自分がBL世界にいることを知覚してるけど、世界の全てを把握してるわけではなくてフラグの回避に探り探りな感がある。その様子を見ると異世界転生のよう。また、フラグ回避に心血を注ぐ様子は"モブキャラ"という存在のメタネタのようでもある。思ってたより多層的なネタが詰まってる。なのでタイトルに反して広い範囲の方々が楽しめそうな作品。 1巻まで読了それぞれの秘密が複雑に絡み合う群像劇木曜日は君と泣きたい。 工藤マコトsogor25各キャラが秘密を抱えながら進む恋愛の群像劇なんだけど、それぞれのベクトルがパズルのピースのように絶妙に噛み合って不協和音を生み出してる。それなのにドロドロ感が全然ないので温かい気持ちで見守れる。 こういう作品だと「まずその秘密を詳らかにすれば幾らか問題解決するやん」と思う作品が多いんだけど、この作品の場合は各々が秘密を公開しても何にも好転しない形に設定が組み立てられている。その設定の噛み合わせ方が見事。 あらすじを読むと「青のフラッグ」のようにシリアスめの強い印象を受けるけど、意外と「ホリミヤ」みたいな超絶爽やかな恋愛群像劇になりそうな予感もあって、メインの展開も含めて先が読めないので続きが楽しみ。 1巻まで読了少女マンガ×SFという新たな発明愛が死ぬのは君のせい 桃森ミヨシ 鉄骨サロsogor251話の冒頭で描かれるのは幼馴染の一墨(いすみ)に長年想いを寄せる愛生(あおい)の姿。シンプルな純愛ストーリが展開するのかと思いきや、1話終盤で予想の遥か上を行く展開に。そのSF的な展開の正体は2話以降で明らかになりますが、その存在が物語に介入することによりストーリーがどんどん複雑になっていきます。 その結果、SF設定が下敷きにありながら、あるときは俺様系男子とそれに抗う女子のラブコメに、あるときは幼馴染と同級生の三角関係のような様子に、またあるときは1話冒頭で想起されたような幼馴染との純愛展開と、各話毎に様々な顔を見せるという不思議な作品に仕上がっています。 これだけ色んな展開を見せつつ、全体としてはしっかり一本のストーリーに繋がっていて、しかもその全てでちゃんと少女マンガしてるという、奇跡的なバランスで成り立っている作品です。 例えばお二人の前作「菜の花の彼―ナノカノカレ―」の読者や少女マンガ好きの方にはもしかしたら新鮮な気持ちで読めるかもしれないですし、個人的には普段少女マンガを読まない人でも「あげくの果てのカノン」や「青のフラッグ」のように一癖も二癖もある恋愛作品が好きな方なら読んでみてほしい作品です。 4巻まで読了sogor251年以上前『ネルノダイスキ』をフォローをしましたこの作品を『りぼん』で連載する意味を考えたいさよならミニスカート 牧野あおいsogor25アイドルのセンターを務めていた女の子がある事件をきっかけにアイドルはおろか女の子であることをやめてしまい、男子の制服で学校に通い始める…現実に起きた事件も想起させるようなインパクトのある導入から始まる今作ですが、それ以上に話題になったのは、この作品が小中学生の女子を読者層として持つ『りぼん』で連載開始されたこと、およびその『りぼん』の編集長が連載開始にあたり異例の声明文を出したことだったように思います。 この物語はそれぞれが遭遇した事件を通して自分が「持って生まれたもの」「持たなかったもの」を自覚してしまった少年少女が、そのなかでどう生きて行くかをもがきながら探していく物語だと私は受け取りました。 もちろんそれはジェンダー的なものもあるし、もっと普遍的な自身のアイデンティティに関わることも含まれます。それら多くのものを内包したうえで物語が編み出されていることに素直に感動するとともに、私自身も自分が持って生まれたもの、自分に配られたカードで人生を生きていかなければならないということを意識せずにはいられませんでした。もしかしたら、生徒同士の自意識にグラデーションのある高校の一教室を舞台に描かれていることが、逆に主人公たちの自意識というものを強く感じさせる構造となっているのかもしれません。 ここからは個人的な考えになってしまいますが、2巻までで唯一作品に入り込めなかった場面がありました。それは2巻中盤、仁那が長栖にアイドルだった時の気持ちを聞かれた場面。そこで吐露される感情は私の中にはないもので、この場面については共感することができませんでした。 恐らくこれは、私自身が幼少期も含めてアイドルというものに傾倒した経験がなくて、アイドルに元気を貰うということに対して実感をもって理解できないためではないかと推測しています。そして、純粋にアイドルという存在に憧れることができる10代までの女性が、同じようにアイドルという存在にレゾンデートルを重ねる仁那の様子から最も多くのものを感じ取れるように思うし、そういう点がこの作品を「りぼん」で連載する意味なのではないか思い至りました。 2巻まで読了全8巻、終焉まで見事に描き切ったサイコミステリーの傑作ROUTE END 中川海二sogor25「特殊清掃員」という文字通り特殊な職業をとっかかりにし、やや不似合いなギャグっぽい展開から始まる今作。近隣で発生していた連続殺人・通称「END事件」に主人公の親しい人間が巻き込まれたことから物語は一気にミステリーへと流れ込んでいく。 全8巻で物語の終焉まで見事に描ききっただけでなく、毎巻ごとに正しく怒涛の展開があり、一瞬の中弛みもなく駆け抜けてゆく。また、事件に直接交わらない部分も含めて人間ドラマが巧みに描かれていて、殺人事件によって引き動かされた群像劇として見ても一級品。私は1巻発売の頃から追いかけていたが、むしろ全8巻一気に読める贅沢を羨ましく思えるくらい、全体の完成度が高い作品。 殺人事件の特性上残虐表現があるので万人に勧めづらいのが惜しいが、ミステリーや事件に絡む人間ドラマを見るのが好きな方には全力で薦めたい作品。 全8巻読了。コメディとシリアスのバランスとセンスが抜群そうしそうあい りべるむsogor25優等生女子とヤンキー男子恋愛というシンプルなテーマでありながら、ラブコメあり、シリアス展開あり、と振れ幅大きく展開する作品。私は作者のりべるむさんのコメディ面、シリアス面両方の感性が凄く自分好みで、毎巻楽しく読ませて頂いています。 個人的にこの作品の魅力は「登場人物に100%は共感できない、けど共感できる」所かなと思っています。 めぐみは一点の曇りもない優等生だし、そうしはめぐみに対してはデレるけど基本はヤンキーだし、というか登場人物はかなりヤンキーというかガラの悪いタイプが多いし。(そういう意味では一番"自己投影"しやすいのは橘かもしれない。真面目さとチャラさのバランス的に) でも、登場人物の全てに共感できないからこそ、共感出来る部分があると思いっきり入り込むことができる。日常回で共感性を下げてコメディ寄りにすることで、特に"恋愛"という殆どの人間に共通に内在するテーマで読者の共感をがっちり掴む、そういう多層的な構造を生み出している作品だと感じています。 結果、ラブコメとしても良い、高校生のシリアスめなドラマとしても面白い、絶妙なバランスが保たれている作品として成立しているのではないかと思います。 7巻まで読了 « First ‹ Prev … 35 36 37 38 39 40 41 42 43 … Next › Last » もっとみる
sogor251年以上前『ogros』をフォローをしました序盤の雰囲気にみんな騙されるがいいヨヨハラ ogrossogor25美人の転校生とのいきなりの同居生活が始まるという少女マンガのような設定から、その実はエロネタ多めのラブコメという思いっきり青年マンガ向けの内容。twitterやpixivに掲載してたということもあり各話のページ数は短めでその分テンポよくネタが詰め込まれてるし、全編フルカラーで画面作りも爽やかでサクサク読める。 …という感じでサクサク読み進めてると、後半になり突如として挟まれる衝撃展開。WEBでコマ切れで掲載されてたはずだから最初からこの展開を考えていたとは思えないんだけど、それにしては伏線の配置の仕方が自然過ぎる。序盤からずっとIQを下げながら読んでいたところに突然「外天楼」のようなSF展開が流れ込んでくるこのギャップをぜひ味わってみてほしい。 全1巻読了幼馴染を守るカッコいい女の子、では終わらないカノジョになりたい君と僕 たかせうみsogor25あらすじの通り、セーラー服で学校に通うMtoFのアキラがバカにされないように学ランで通い始める幼馴染のヒメという、ヒメの剛直なカッコよさが現れる導入の作品だけど、物語はそれで終わらない。 ヒメの行動の原動力は「アキラに嫌な思いをさせたくない」の一心なんだけど、2話以降では「思いが強い=正しい」とは限らないという事を含め、様々な人の考えにヒメが触れることになる。表紙や導入からはセクシャルマイノリティがテーマのように見えるけど、本質的にはこの作品はヒメの成長の物語なのだと思う。勿論タイトルにあるように恋愛の要素も見え隠れするんだけど、それよりもっと深く本質的なところからヒメの感情を掘り起こしていき、彼女やその周りの人々の成長を見守る作品になっていきそう。 1巻まで読了。ただのビールマンガと侮るなかれ琥珀の夢で酔いましょう 杉村啓 依田温 村野真朱sogor25クラフトビールがテーマのマンガでありながら、見ず知らずだった3人が出会って居酒屋をプロデュースして再建していく物語としても面白い。 1話の導入以降、クラフトビールの紹介メインで既存の酒呑みマンガに近い内容が展開されるが、徐々に主人公3人の人間ドラマへとシフトしていく。ビールから興味を持って作品を手に取ったら気付いたら作品の魅力に惹かれていく構成、特に物語の明確な変換点になっている第5話までの流れが見事。 ビール好きや舞台の京都が好きなら勿論、「Artiste」のような凸凹な関係のキャラたちの成長譚・群像劇が好きという方にもお薦めしたい。 1巻まで読了。人生で一度しかない"青春"の群像劇魔法が使えなくても 紀伊カンナsogor25様々な背景をもって上京してきた若者達の群像劇。紀伊カンナさんはこれまでBL作品を中心に発表されてきたけど、絵柄・キャラ造形含めて男女問わずに魅力的なキャラを描ける方なのだと実感する。連作短編集の形式で毎話中心人物が変わるんだけど、みんながみんな何かしらの明確な答えを見つけるわけではないのに登場人物は皆輝いて見える。色んな出来事があった後、物語上そんなに深く絡んでなかった岸くんと環の会話で締めるっていう構成もいいし、そこの環のセリフがこの作品全体を的確に言い表してて何回も読み返してしまう。まさにこの世は白か黒かだけじゃないねずみ色ばかり、でもだからこそいいと思わせてくれる作品。 そして物語の余韻をいい意味で吹っ飛ばしてくれる最後の見開き。ただこれはこれで物語の結論とは別の意味で真理。BLを読んでなくても楽しめる上質メタフィクションコメディ絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男 紺吉sogor25自身がいる世界がBL世界であることを自覚している主人公が、ちゃんと女性と結ばれて両親に孫を見せるために自身および周囲に迫る恋愛フラグを全力で回避する、というメタフィクションコメディ。なので「わたしの宇宙」というよりは「恋愛フラグ0女子の迷走」に「僕がモブであるために」を混入させたような作品。ただ、BLっぽいネタもあればストレートな恋愛マンガにも当て嵌まりそうなネタまで豊富。そして全てのフラグを回避しようとする主人公の、全勢力を掛けて斜に構える感じが痛快。 実際主人公は自分がBL世界にいることを知覚してるけど、世界の全てを把握してるわけではなくてフラグの回避に探り探りな感がある。その様子を見ると異世界転生のよう。また、フラグ回避に心血を注ぐ様子は"モブキャラ"という存在のメタネタのようでもある。思ってたより多層的なネタが詰まってる。なのでタイトルに反して広い範囲の方々が楽しめそうな作品。 1巻まで読了それぞれの秘密が複雑に絡み合う群像劇木曜日は君と泣きたい。 工藤マコトsogor25各キャラが秘密を抱えながら進む恋愛の群像劇なんだけど、それぞれのベクトルがパズルのピースのように絶妙に噛み合って不協和音を生み出してる。それなのにドロドロ感が全然ないので温かい気持ちで見守れる。 こういう作品だと「まずその秘密を詳らかにすれば幾らか問題解決するやん」と思う作品が多いんだけど、この作品の場合は各々が秘密を公開しても何にも好転しない形に設定が組み立てられている。その設定の噛み合わせ方が見事。 あらすじを読むと「青のフラッグ」のようにシリアスめの強い印象を受けるけど、意外と「ホリミヤ」みたいな超絶爽やかな恋愛群像劇になりそうな予感もあって、メインの展開も含めて先が読めないので続きが楽しみ。 1巻まで読了少女マンガ×SFという新たな発明愛が死ぬのは君のせい 桃森ミヨシ 鉄骨サロsogor251話の冒頭で描かれるのは幼馴染の一墨(いすみ)に長年想いを寄せる愛生(あおい)の姿。シンプルな純愛ストーリが展開するのかと思いきや、1話終盤で予想の遥か上を行く展開に。そのSF的な展開の正体は2話以降で明らかになりますが、その存在が物語に介入することによりストーリーがどんどん複雑になっていきます。 その結果、SF設定が下敷きにありながら、あるときは俺様系男子とそれに抗う女子のラブコメに、あるときは幼馴染と同級生の三角関係のような様子に、またあるときは1話冒頭で想起されたような幼馴染との純愛展開と、各話毎に様々な顔を見せるという不思議な作品に仕上がっています。 これだけ色んな展開を見せつつ、全体としてはしっかり一本のストーリーに繋がっていて、しかもその全てでちゃんと少女マンガしてるという、奇跡的なバランスで成り立っている作品です。 例えばお二人の前作「菜の花の彼―ナノカノカレ―」の読者や少女マンガ好きの方にはもしかしたら新鮮な気持ちで読めるかもしれないですし、個人的には普段少女マンガを読まない人でも「あげくの果てのカノン」や「青のフラッグ」のように一癖も二癖もある恋愛作品が好きな方なら読んでみてほしい作品です。 4巻まで読了sogor251年以上前『ネルノダイスキ』をフォローをしましたこの作品を『りぼん』で連載する意味を考えたいさよならミニスカート 牧野あおいsogor25アイドルのセンターを務めていた女の子がある事件をきっかけにアイドルはおろか女の子であることをやめてしまい、男子の制服で学校に通い始める…現実に起きた事件も想起させるようなインパクトのある導入から始まる今作ですが、それ以上に話題になったのは、この作品が小中学生の女子を読者層として持つ『りぼん』で連載開始されたこと、およびその『りぼん』の編集長が連載開始にあたり異例の声明文を出したことだったように思います。 この物語はそれぞれが遭遇した事件を通して自分が「持って生まれたもの」「持たなかったもの」を自覚してしまった少年少女が、そのなかでどう生きて行くかをもがきながら探していく物語だと私は受け取りました。 もちろんそれはジェンダー的なものもあるし、もっと普遍的な自身のアイデンティティに関わることも含まれます。それら多くのものを内包したうえで物語が編み出されていることに素直に感動するとともに、私自身も自分が持って生まれたもの、自分に配られたカードで人生を生きていかなければならないということを意識せずにはいられませんでした。もしかしたら、生徒同士の自意識にグラデーションのある高校の一教室を舞台に描かれていることが、逆に主人公たちの自意識というものを強く感じさせる構造となっているのかもしれません。 ここからは個人的な考えになってしまいますが、2巻までで唯一作品に入り込めなかった場面がありました。それは2巻中盤、仁那が長栖にアイドルだった時の気持ちを聞かれた場面。そこで吐露される感情は私の中にはないもので、この場面については共感することができませんでした。 恐らくこれは、私自身が幼少期も含めてアイドルというものに傾倒した経験がなくて、アイドルに元気を貰うということに対して実感をもって理解できないためではないかと推測しています。そして、純粋にアイドルという存在に憧れることができる10代までの女性が、同じようにアイドルという存在にレゾンデートルを重ねる仁那の様子から最も多くのものを感じ取れるように思うし、そういう点がこの作品を「りぼん」で連載する意味なのではないか思い至りました。 2巻まで読了全8巻、終焉まで見事に描き切ったサイコミステリーの傑作ROUTE END 中川海二sogor25「特殊清掃員」という文字通り特殊な職業をとっかかりにし、やや不似合いなギャグっぽい展開から始まる今作。近隣で発生していた連続殺人・通称「END事件」に主人公の親しい人間が巻き込まれたことから物語は一気にミステリーへと流れ込んでいく。 全8巻で物語の終焉まで見事に描ききっただけでなく、毎巻ごとに正しく怒涛の展開があり、一瞬の中弛みもなく駆け抜けてゆく。また、事件に直接交わらない部分も含めて人間ドラマが巧みに描かれていて、殺人事件によって引き動かされた群像劇として見ても一級品。私は1巻発売の頃から追いかけていたが、むしろ全8巻一気に読める贅沢を羨ましく思えるくらい、全体の完成度が高い作品。 殺人事件の特性上残虐表現があるので万人に勧めづらいのが惜しいが、ミステリーや事件に絡む人間ドラマを見るのが好きな方には全力で薦めたい作品。 全8巻読了。コメディとシリアスのバランスとセンスが抜群そうしそうあい りべるむsogor25優等生女子とヤンキー男子恋愛というシンプルなテーマでありながら、ラブコメあり、シリアス展開あり、と振れ幅大きく展開する作品。私は作者のりべるむさんのコメディ面、シリアス面両方の感性が凄く自分好みで、毎巻楽しく読ませて頂いています。 個人的にこの作品の魅力は「登場人物に100%は共感できない、けど共感できる」所かなと思っています。 めぐみは一点の曇りもない優等生だし、そうしはめぐみに対してはデレるけど基本はヤンキーだし、というか登場人物はかなりヤンキーというかガラの悪いタイプが多いし。(そういう意味では一番"自己投影"しやすいのは橘かもしれない。真面目さとチャラさのバランス的に) でも、登場人物の全てに共感できないからこそ、共感出来る部分があると思いっきり入り込むことができる。日常回で共感性を下げてコメディ寄りにすることで、特に"恋愛"という殆どの人間に共通に内在するテーマで読者の共感をがっちり掴む、そういう多層的な構造を生み出している作品だと感じています。 結果、ラブコメとしても良い、高校生のシリアスめなドラマとしても面白い、絶妙なバランスが保たれている作品として成立しているのではないかと思います。 7巻まで読了
美人の転校生とのいきなりの同居生活が始まるという少女マンガのような設定から、その実はエロネタ多めのラブコメという思いっきり青年マンガ向けの内容。twitterやpixivに掲載してたということもあり各話のページ数は短めでその分テンポよくネタが詰め込まれてるし、全編フルカラーで画面作りも爽やかでサクサク読める。 …という感じでサクサク読み進めてると、後半になり突如として挟まれる衝撃展開。WEBでコマ切れで掲載されてたはずだから最初からこの展開を考えていたとは思えないんだけど、それにしては伏線の配置の仕方が自然過ぎる。序盤からずっとIQを下げながら読んでいたところに突然「外天楼」のようなSF展開が流れ込んでくるこのギャップをぜひ味わってみてほしい。 全1巻読了