生卵
生卵
2024/04/27
ネタバレ
暴力の果てに救いはあるのか?暴力を否定するために生まれた暴力だらけのストーリー
この漫画は現在絶版になっていて紙でも電子でも基本的に読むことが出来ません。 唯一読む方法は中古で出回っているこの作品を購入することくらい。なのですが運良く1巻と3巻の新品を買うことができ 2巻は中古だけしか無かったので中古品を取り寄せ、ようやく読むことができました。 ストーリーは全寮制の高校に通う 高校3年生の主人公・小野が、片思い中の現国教師の池田が高校3年生限定で愛人を作っているという噂を耳にし 告白する所から物語がスタートします。 そして二人はセフレの関係性になるのですが池田の体には生々しい傷の数々 背中には大きなアイロンで付けられたような火傷の跡がついています。 誰かにつけられたであろう池田の生々しい傷の数々 俺だけは過去の奴らみたいに池田にはこんな事はしない!!と誓う小野でしたが、池田の数々の異常行動と一般的ではない激しすぎるセックスに普通の高校生の小野は疲弊しつつ戸惑っていきます。 高3限定とは一体何なのか? 池田の傷の謎とは? 高校で代々伝わる非合法のスナッフビデオの謎 これらを3巻でざっくりと紐解いていくのがこの高3限定という漫画で BL的な要素よりもサスペンスやバイオレンス表現の方がメインで描かれた作品となっています。 この漫画には作者が影響を受けたという実在の事件が存在していて(明言はされていないがおそらく女子高生コンクリート詰め殺人事件) 理不尽な暴力を受け続けた人に対して救いがあって欲しい、という作者が中学生の頃に感じたその願いを作品として昇華したのがこの作品らしく 主人公は暴力を一貫して否定し続けるし 池田は自分が受けた暴力に対して意味を持たせようと肯定的ですらあります。 暴力を極端に描くことで暴力を否定していると言う事はわかった上でキツイ表現の連続で 読んだことを若干後悔しそうになる作品ではありましたが この作品を読む事ができて良かったです。
生卵
生卵
2024/04/23
自由度の高い作品が出てくるからBL漫画は辞めれない
多分昔で言うところのガロ(僕は1997年生まれなのであまり詳しくない) のように規制が緩いような場所でしか出てこない作品があると思っていて 現代においてBLは少年誌とか青年誌とかと比べてかなり表現の幅に自由があるように感じる。 この漫画はBL漫画である必要は特にないんだけどもBLという自由に描ける土壌のある世界だからこそ世に出た漫画の1つだと思う。 だから僕はBLを読むのをやめれない。 物語としては生きたまま生物の肉を食べてみたい欲求のある男子高校生が人を殺してしまうかもしれないという恐怖から悪魔を呼び出し その悪魔の肉を食べ、その代償に悪魔として魔界に転生することになってしまうという物語だ。 この漫画には人体改造 獣人 リョナ カニバリズム などかなり禁忌的な要素がてんこ盛りで読む人を選ぶ作品ではあるが本質としては 愛ゆえにその人を傷つけたい その人の心に残り続けたい認められたいといった執着とかそういった感情の揺れ動きを描いている。 特に下級の悪魔は上級悪魔の名前を呼ぶと 魂が砕けて消滅してしまうという設定がこの漫画の舞台装置として上手く機能していて この設定があるからこそ活きるシーンが多い。BLにおけるオメガバースとかドムサムとかに匹敵するような発明になるんじゃね?とさえ思う マジで描写の凄さに面食らってしまうかもしれないけど これは凄い漫画です。 刺激の強い漫画が読みたい人はぜひ読んで