六文銭
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1年以上前
読んでまず思ったのが、1話1話本当に無駄がなく丁寧につくられている作品だなということ。 そのせいか、何度読んでも色んな発見があり、1巻完結ものでおすすめしたい作品だったりします。 内容も、熱量の低い情熱が空回りするどこにでもいる大学生を描いていて、どこか痛々しく、どこか共感してしまう内容となってます。 全能感に満ちあふれていた、昔を思い出す。 大学生ーー大人の自由と子供の自由を持っている最強のモラトリアム時代ですが、そんな時代に誰もが直面する理想と現実の乖離。 主人公はバンドでデビューを目指す「春香」と、ごく普通の後輩「入巣」という女子大生二人。 生きる目的ともいえる「目標」のある人とない人の対比なんですが、目標があっても、才能や情熱が追いつかないことはよくあること。 平凡な才能しかない自称クリエイティブな人あるあるを独特に煮詰めた表現で随所に散りばめてきて、なんとなく生きてしまっているような自分にはグサリと刺さります。 綺麗事や正論、漠然とした希望とぬるい情熱だけでは何一つ変えられないのです。 ネタバレになるので詳しくは控えますが、最後に春香のとった行動は、やりたいことをやれた人だからこその苦悩と解放を見事に描いていて胸を締め付けられました。 何をしていいかわからない8割の人間にとって、自分も本当は何かあったんじゃないか?と焚付けられます。 年食ったおっさんでも、残りの人生、心躍ることに情熱を捧げたいものです。
ひさぴよ
ひさぴよ
1年以上前
2019年12月の新刊まとめました〜! 表紙一覧&試し読みはこちらから https://manba.co.jp/free_spaces/20491/related_boards 著者一覧 https://manba.co.jp/free_spaces/20491/related_authors 【単行本】 てっぺんぐらりん~日本昔ばなし犯罪捜査~ キリエ 青のフラッグ(7) KAITO 忘却バッテリー(6) みかわ絵子 月とすっぴん(1) アケガタユウ エイラと外つ国の王 びっけ 俺、限定コミュ症なんでっ。(1) 桐谷のば こいまん(1) 井出圭亮 スペシャル(3) 平方イコルスン SHY(1) 実樹ぶきみ オカルトちゃんは語れない(2) ペトス/橋本カヱ 太陽の塔(3) 森見登美彦/かしのこおり ダンス・ダンス・ダンスール(15) ジョージ朝倉 踊るリスポーン(2) 三ヶ嶋犬太朗 「子供を殺してください」という親たち(6) 鈴木マサカズ/押川剛 ブラックナイトパレード(4) 中村光 可愛いだけじゃない式守さん(3) 真木蛍五 便利屋斎藤さん、異世界に行く(2) 一智和智 BEASTARS(17) 板垣巴留 午後3時 雨宮教授のお茶の時間(1) 鷹野久 Landreaall(34) おがきちか アリスと蔵六(9) 今井哲也 一端の子 深山はな かがみの孤城(1) 武富智/辻村深月 愚者の星(1) 遠藤浩輝 衛府の七忍(8) 山口貴由 Change!(6)曽田正人/冨山玖呂 アザラシの武田くん(3) えびぽ 働かないふたり(18) 吉田覚 吸血鬼すぐ死ぬ(14) 盆ノ木至 大阪バトルロイヤル(1) shoco 華にあらし~組長娘とヤンキー男子高生~(1) 鷹野久 清楚なフリをしてますが(1) 倉地千尋 男爵にふさわしい銀河旅行(2) 速水螺旋人 片喰と黄金(2) 北野詠一 3月のライオン(15) 羽海野チカ 東島丹三郎は仮面ライダーになりたい(4) 柴田ヨクサル 望郷太郎(1) 山田芳裕 金剛寺さんは面倒臭い(5) とよ田みのる 東独にいた(1) 宮下暁 水は海に向かって流れる(2) 田島列島 田島列島短編集 ごあいさつ 田島列島 煙と蜜(1) 長蔵ヒロコ 川越の書生さん 幹本ヤエ 3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代(9) 羽海野チカ/西川秀明 アルマ(1) 三都慎司 神緒ゆいは髪を結い(3) 椎橋寛 アクタージュ act-age(9) 宇佐崎しろ/マツキタツヤ 猫又まんま(2) 保松侘助 田舎に帰るとやけになついた褐色ポニテショタがいる(2) びみ太 異種族レビュアーズ(4) 天原/masha あいらいく俳句(1) 骨抜きチキン アルティメットジャンケン(1) いぬころすけ 空腹なぼくら(1) 友安国太郎 よりぬきヒロシさん 田丸浩史 ギャル医者あやっぺ 長イキアキヒコ 小路花唄(4) 麻生みこと はっぴーえんど(8) 魚戸おさむ/大津秀一 病室で念仏を唱えないでください(6) こやす珠世 ケンガンオメガ(3) だろめおん/サンドロビッチ・ヤバ子 舞妓さんちのまかないさん(12) 小山愛子 ファイブスター物語(15) 永野護 【ムック・その他】 フリースタイル このマンガを読め 2019 アニメの仕事は面白すぎる 絵コンテの鬼・奥田誠治と日本アニメ界のリアル JOJOnicle 荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋 クロニクル 古屋兎丸展 DRAWING 188 Furuya Usamaru図録 サザエさんと長谷川町子 2020 (週刊朝日増刊) 漫画トロピーク「このマンガガガガ vol.11 2019 WINTER」 【海外マンガ】 Leonard2Vinci écolila Acte de Dieu Une semaine sur deux MISHIMA Juice
六文銭
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1年以上前
個人的に、土田世紀作品の中でも、心えぐるものとして「同じ月を見ている」と同等かそれ以上の本作。 もはや紙書籍が流通していないので、電子書籍が頼みの綱でしたが、愛蔵版として再配信されたことを本当に嬉しく思います。 洋の東西、メディアを問わず「生きること」をテーマにした作品は数あれど、これほど濃度こく煮詰めた作品はないでしょう。 絵に描いたような幸せ夫婦に訪れる不幸の数々。 子供を求めては幾度も失い、あげく妻が癌に侵され「自分は何のために生きているのか?」を問う姿。 なりふりかまわず努力しても、命がけで祈っても、何一つ報われない無力感。 生々しい感情や絶望は、読んでいて悲しいとか苦しいなんて言葉では表せない、脳でも処理できない、魂レベルで慟哭します。 書き手も命削って書いているとしか思えないです。 「生きることに意味なんてない」と主治医から一つの答えがでます。 だから、1日1日を懸命に生きるべきなのだと。 当時、自分もこの考えに非常に共感しました。 泣いたり笑ったり色々あるけど、生きることが好きだから生きる。 そこに意味はないのです。あっても、後付けでしかないのです。 ただの悲劇に終わらせない底力がこの作品にはあります。 読んだ時代、年齢で違ったことを考えさせられるので、チープな言葉ですが「名作」とはこういう作品をいうのでしょう。