吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前
地に足のついたリアルな女体化漫画! 32歳サラリーマン、既婚、子ども無し。 妻との間には倦怠感が漂い、かつては子どもがほしいと言っていた妻も今は昔。 どこか不満を口にするのも許されないような閉塞感がある日々を送っていたが、急遽自分の身に大きな変化が訪れる。 それは、医学的にも原因ははっきりしない、「異性化」という現象…。 32歳で急に体が女性そのものになってしまった主人公が、女性の体を持った男性視点で、妻との関係性、会社や社会との関わりなどから女性であることを意識せざるを得なくなってくる。 いままですぐ隣にあっても意識を向けなかったがゆえに、知ることのなかった世の中のことがらにフォーカスしていくことで、きっと新たな世界が見えるに違いない。 それはごくごく簡単なことのように見えて、実は少しでも自分に関係ないと思ってしまったらなかなかできないことなのだ。 女性という性にもいろいろな形があり、自分との付き合い方もタイトル通り「個人差」があるだろう。 日暮キノコの『喰う寝るふたり 住むふたり』では、長年付き合い同棲も長い男女の微妙な気持ちのすれ違いなどを描いてきたので、この作品も読んでいくのが楽しみだ。
ひさぴよ
ひさぴよ
1年以上前
「この世界の片隅に」のヒットがまだ記憶に新しい中、核分裂を発見した物理学者リーゼ・マイトナー(1878〜1968年)の人生を描きだした意欲作。 第二次世界大戦が迫る1938年、ユダヤ人であるマイトナーが、ドイツからスウェーデンに亡命するところから物語は始まり、自然豊かな森の中で、マイトナーはいつしか核分裂の原理を発見する…。 史実ベースかと思いきや、序盤から森の中で北欧の妖精「トロル」が唐突に登場したりして、こうの先生ワールド全開です。メルヘンチックな雰囲気のおかげで、暗い時代の雰囲気がやわらぐ。 作中では、核分裂の研究について詳細に描かれており、難解な物理数式がコマの中に並ぶ。ほとんど理解できなかったものの、マイトナーさんがブルーベリーなどの木の実を原子に見立て、トロルにやさしく講義してしてくれるので、私のような門外漢な読者でも、核分裂についてなんとなくわかった(気になれた) 原爆について深く語ることはないけど、一つ一つの言葉の背後に、とてつもない重みを感じる。単なる伝記物とは一線を画した作品だと思う。 そしてトロルは、物語の最後まで「いい。」働きをしていた気がする。 トロルには「馬鹿」というイメージがある一方で、気に入った人間には富と幸運をもたらし、気に入らない相手には不運と破壊をもたらす妖精でもある。 科学と人の関係を象徴しているのかもしれないし、いろいろな解釈を加えて考えだすとまた想像が広がる。
マンバ
マンバ
1年以上前
2018年10月17日(水)、渋谷マンガサロン『トリガー』にて 「マンバ読書会 〜知られざるコンビニコミックの世界〜」が開催されました。 https://peatix.com/event/442441 単行本未収録作品が掲載されているもの コンビニコミックでしか単行本化されていないもの 貴重な作者や関係者のインタビュー・コラムやデータが載っているもの コンビニコミックから生まれた名作 虚実入り混じった実話系マンガ 出版社の垣根を越えたコラボ 時事を感じさせる広告 などなど…… コンビニコミックならではのコアな魅力を語り合うべく、様々な作品が持ち寄られました。 「こんなイベント二度と開催されないのではないだろうか」 「あまりにテーマが特殊すぎてお客さんは来るのだろうか?」 などの懸念もありましたが、蓋を開けてみればとても熱く濃いイベントとなりました。 ![写真(1)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16066/bc76723c-9b40-4ab0-8176-c2c6442f9e2c.jpg "") うずたかく積み上げられたコンビニコミックタワー! 明らかに今までの読書会史上でも最多の量を持ち込まれた方も。 ニッチなテーマなだけに、参加者一人一人の熱量が非常に高かったです。 ![写真(2)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16069/247abe8e-7514-40ec-8105-fd99871e28ea.jpg "") 最初に参加者同士で簡単な自己紹介を行った後は、本を持ち込んだ参加者が それぞれの作品について説明するプレゼンタイム。 非常に興味深い話が沢山登場しました。 ![写真(3)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16070/ce8343f7-7652-4175-9d8e-6cedb9bbefcf.jpg "") この時プレゼンされていたのは 『吼えろペン』。 サンデーGXコミック版とは全く違うボツになった最終回が こちらのコンビニコミック版にだけ収録されており、 島本和彦ファンの方は必見です。 ![写真(4)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16071/e562132d-dc2c-45b4-927e-4d1303953156.jpg "") 現場にない本についても、適宜プロジェクターに投影して補足されながら 終始和やかなムードで進行しました。 普段は全く耳にしないような情報が次々と飛び出てきて、完全な聴衆として 遊びに来た方の満足度も高い内容でした。 プレゼンタイムの後は、一時間ほどの読書タイム。 話された作品を読んだり、またそれについて語り合ったりしていました。 この日、話題になった作品をいくつか紹介します。     ----   『ねこだのみ』 少年画報社の『ねこぱんち』で有名な、猫まんがアンソロジーの小学館版。 それだけ聞くと「パクりではないのか?」と思ってしまいそうですが、中を見ると 萩尾望都、雁屋哲、谷口ジロー、高橋留美子といった錚々たる面子。 神保町のにゃんこ堂(猫書籍専門店)で入手したとか。     『ぱんだぱんち 福々』 ![写真(5)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16072/10077536-04ed-4894-96b6-e7c48fdf33ac.jpg "") 『ねこぱんち』のパンダ版で、パンダマンガばかりが載っており懸賞ページの景品もパンダ一色。 始まった瞬間にパンダが死んだ話が話題に…。 作家陣の中で特筆すべきは角光先生。 かつて少年チャンピオンで「パンダのこ」というマンガを描いていた筋金入りのパンダ好きだそうです。 現在は『BEASTARS』のお手伝いをされているそうで、パンダキャラのゴウヒンさんは角先生が描いているのでは?というお話がありました。     『まるごとあさりちゃん』 ![写真(6)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16073/c73837fa-ea40-488f-8d10-0d4e32ac7648.jpg "") 全表紙を並べた巻頭のおまけページが素敵な1冊。 単行本未収録の第1話が載っていて非常に貴重だったのですが、 最近電子書籍で読めるようになってしまったそうです。     『解体屋ゲン』 ![写真(7)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16074/b36d7980-bb35-4af6-946d-c0423b949898.jpg "") 「解体屋」と書いて「こわしや」と読む本作。 内容としては土建業者版『こち亀』。500話以上描かれながら、 単行本一冊とコンビニコミック二冊しか出ていなかったものの 最近ようやく電子書籍化が本格化してきた知る人ぞ知る名作です。     『映画原作ドラえもん大全集』 ![写真(8)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16082/506aa2d4-d0d4-404a-9f97-773d8fcc64e9.jpg "") 今回持ち込まれた中でも、最厚の1000ページ超えのコンビニコミック。 『ドラえもん のび太の恐竜』から『ドラビアンナイト』まで、 11編の『大長編ドラえもん』シリーズ+『ぼく桃太郎のなんなのさ』を収録。 当時の映画ポスターなどのカラー資料も貴重な一冊です。     『コアコミックス あなたの知らない闇世界』 ![写真(9)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16081/ac30d0f9-3d10-487a-984c-6ad1c3974089.jpg "") なぜか板垣恵介先生が表紙を手がけているアウトロー系作品。 空間が歪みそうな圧を表紙から感じます。 裏社会系マンガもコンビニコミックの特徴。あるシリーズを コンプリートしているという方もいました。     『ブルース・リー物語』『与沢翼物語ー平成の肉食主義ー』 ![写真(10)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16077/12c872dc-e65e-44aa-b178-f5fc55138c79.jpg "") 「この二冊が並べられるイベントなんてここだけだ!」 という、今回のイベントの特異性を如実に示す二冊の並び。 読んだ方によれば、内容としてはどちらも非常に面白かったとのことです。       『バカ潜入!』 ![写真(11)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16080/486891cd-7ba1-4a1a-9af7-592868cba434.jpg "") 現在『バスタブに乗った兄弟~地球水没記~』を連載中の櫻井稔文先生の 以前の名義で描かれた、体を張りすぎたルポマンガ。 風俗店の体験ルポに始まりホームレスとの飲み会や宗教施設への潜入など、 大手ではなかなかできないハードな内容で、現在はプレミアがついています。   ----     ![写真(12)](https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,q_80,w_450/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/clip_art/clip/16079/a22be825-c3f4-48cc-890f-0e16fa91f864.jpg "")     こちらが、この日集められたコンビニコミックのすべてです。 「持って来るのが重かった」 と口々に言われたり、 「臭いので気を付けてください」 と独特の臭いを放つ本もあったりといった ”コンビニコミックあるある”もあり、笑いを誘っていました。   全体的に普段の読書会にはない、独特の雰囲気に包まれた会でしたが 「今日は本当に素晴らしかったです」 という参加者の方もいらっしゃいました。   今後も多くの方にご参加して頂ける広いテーマの読書会も行っていく傍らで、 こういった独自性のあるテーマでの読書会も引き続き開催できればと思います。