mampuku
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1年以上前
 知識と教養と遊び心のある作品というのはいつも楽しいです。 ──過ぎ去ったあの頃の夏休み。水着、浴衣、山、川、海 ──幼馴染の女の子、山の神様、宇宙人 ──オタク  繰り返し読んでいて気づいたのですが、なぜ「作者は重度のオタクに違いない」と思ったのか。  単なるオタク知識の羅列であれば、ネットで調べたにわか知識であっても可能なはず。そうではなく、その文脈に必要かどうかに拘らず、知識をひけらかしたいからひけらかす。知識自慢のための知識自慢に終始してるんですよね。「うわ、また何か語ってるよキモ…」ってな具合です。作者もそれを意図的に、あるいはリアルなオタクの描写としてやってる節があります。  それと主人公の兄こと作中のオタクの、絶妙に微妙なオタク深度。これが何だかナマナマしい。アニメの爆発エフェクトについてオタク友達と語り合ってるのに女子が引いてる、という場面。確かに浅瀬でパチャパチャしてるにわかアニメファンよりはよほどマニアックかもしれませんが、「金田系が~(キャッキャッ」とか言ってる連中は、ガチの作画オタクから見ればド素人もいいとこなんですね。クリエイター目線のない典型的な消費型オタクって感じ。  ある程度目の肥えた大人から見たら、なんか延々と浅いことやってんなと思う反面、同時に自分がかつて通ってきた道だからなんかすごく共感できる。特にあんまりオタクじゃない人からみたら、なんかよくわかんないこと言ってる。この痛いオタクのキモさを俯瞰しながら(ときに開き直って)巧みに操ってて小憎たらしい漫画です。  でもそういう脱線したオタク話よりも、より本筋・核心っぽい民俗信仰、古代神道のウンチク話のほうが興味深くて面白いです。それに、海水浴のエピソードで(巡洋)戦艦に反応して語っていたり、別の短編集でWW2のドイツ戦車の話をやっていたように、がっつりミリタリーな話もいずれ読んでみたいです