野愛
野愛
2021/03/16
ショムニの飲み会しんどそう、と現代人は思う
昔ドラマやってたなあ懐かしいなあなんて気持ちで読んでみました。 ほんとに変わったんだなあ、時代。 坪井千夏はめちゃくちゃ強くていい女で、上下関係や社会常識なんてつまらないものをぶち壊していく的なお話かと思っていましたが、この会社別に平和じゃない?ショムニも他部署も変わらず平和なホモソーシャル。良くも悪くもホモソーシャルな世界観がここにはありました。 豪快で大胆で物怖じしない。下品でデリカシーがなくて、男の数で女の価値が決まるだなんてとんでも理論を振り翳す。 坪井千夏27歳美人OLにこの人格がおさまっているから、ショムニは面白い漫画として成り立っている。 主人公男だったらドラマ化絶対しないよなあ…。 そして今のこのご時世なら、塚原は普通にモテる。そんな気がする。 女が男の中で男と同じ振る舞いをして戦うのが男女平等だった時代から、変わりつつあるんだねえ…なんてしみじみ感じてしまいました。 それにしても8割下ネタなのでよくこれドラマ化したな、うまくやったなあと感心してしまいました。 まあそんなとこに注目せずにコミカル要素だけを楽しむのもよし、時代の変化に想いを馳せるもよし、だと思います!
野愛
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2021/03/14
過去と向き合うという地獄
あなたは今までどれだけの人を傷つけましたか? と問われて、正確な数字を答えられる人はきっといないはず。 傷つけたことすら気づいてないことも、忘れてしまったこともたくさんあるはず。 そんな過去が今の自分をぶち壊しにきたら、どうする? 愛する妻と子どもと暮らす、平凡な高校教師・岩野。 ある日突然、カコと名乗る女に監禁され日常が奪われていく。 カコの正体と目的を突き止めるべく、岩野は自らの過去と向き合っていく。 過去に交際していた女性達と会うたびに、蓋をしていた記憶が開いていく。 人は誰しも思い出したくない過去はある。 傷つけたり傷ついたりした記憶ほど忘れたいものないので、その傷をひとつひとつ突きつけられるなんて拷問だよ…と岩野に同情してしまうほど。 黒歴史と笑い飛ばせない過去くらい、人にはあるものでしょう。それによって現在進行形で傷ついている人がいたとしたら、どう生きていけばいいのでしょうか。 カコの正体と目的を知り、岩野が出した答えが妥当な気がした。正解ではない気がするけど、人は生きてかないといけないし。 すっきりしないくらいがちょうどいい。過去は消えないものだから。
野愛
野愛
2021/03/07
カテゴライズなんて愛の前では無意味だ
男女の性行為って結局のところ男性器が勃たないとはじまらない的な感覚があって、生物学上男女平等なんて無理じゃねえかよって突然やるせない気持ちになることがあります。 男女平等とか言い出すと主語が大きくなってしまいますが、男の人にはリードしてもらいたいなとか女の人にはかっこいいとこ見せたいなとか当たり前に思っちゃったりするじゃないですか。あれってなんなんでしょうね。 そんな常識みたいな顔した刷り込みを、しなやかにエロく可愛く飛び越えてくれそうなのがこの作品。 タイトルの通り、女の子が男の子を抱くカップルのお話です。攻め女子×受け男子のお話なんです。 男女が惹かれあい関係を深めていく中で、世間的な役割や理想的な振る舞いなどといった刷り込みを剥がし、お互いにしたいこと・してあげたいことを追求していく素敵な素敵なラブストーリーなのです。 清楚な美人OLとイケメン商社マンのラブストーリーなんて知るかよ、って思ってしまうひとにこそ読んでほしいのです。 誰もが羨むような役柄も、こうであらねばなんていう幻想も、裸になってしまえばどうでもいいこと。なんて壮大な愛の物語なんだ!と思えるはずです。 そんな壮大なこと思えなくてもちゃんとエロいので楽しめるはずです。
野愛
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2021/03/03
「だしゃあ!!」と振るう拳こそが正しい
ごく普通の女の子が悪を成敗する物語はたくさんあるけれど、どれもあまりリアルじゃない。 可愛いキラキラの衣装はおそらく動きづらいだろうし、武器なんてすぐに使いこなせないだろうし。 打撃天使ルリも、普段はごく普通の女子高生である。ルリは打撃人類として生まれ、悪に対する怒りを拳で成敗するのだ。 なんの理由があってかルリは大体全裸だし、両親は普通の人間だし、ルリが打撃人類である説明は何もされない。 歪んだ正義感の警察やら死んだ恋人似の悪人やら、むちゃくちゃな悪に出会すたびに彼女は「だしゃあ!!」と拳を貫く。 この作品だってもちろんリアルじゃない。全くもってリアルじゃない。 でも、ルリの境遇や心理描写には妙なリアルさがある。 正義とは何か、何のために拳を振るうのか。女という性に向けられる視線、生きることへの渇望など。 普通に恋もするし、迷ったり傷ついたりもする。そんなルリが怒りを込めて「だしゃあ!!」と拳を振るう瞬間、勧善懲悪だけでは語れない、自らのカタストロフごと破壊されるような感覚に襲われるのだ。 むちゃくちゃさ加減を笑って読んでしまおうなんて斜に構えた心までルリにぶち壊された気がした。
野愛
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2021/02/25
今いちばん熱いバトル漫画
ある意味キャッチーなタイトルに騙された。 これほどまでに熱い漫画をわたしは知らない。 死んだブスが美人を食えば食うほど美しく強くなり、生まれ変わることができる世界。それがブス界。 自殺した主人公は強く美しく生まれ変わるべく、闘いに身を投じる。 でも、どうやって闘う? 何のために誰のために闘う? そもそも、一体何と闘う? 極限状態で主人公は闘いを見つけ、自分の輪郭と名前を知る。 その瞬間、心が震えた。 美人を食おうと群がる有象無象ではなく、自らの美しい心で闘い抜こうとする人間の物語なんだ、なんて熱くてかっこいい作品なんだ…!! 主人公の名前を知るまで、読者はかなりの時間を費やすことになる。 だからこそ、主人公が自分の名前と身体を手に入れた瞬間、もの凄いカタルシスを得るはず。 そして、強く美しい主人公が闘う姿に誰もが熱くなるはず。 絵柄が好みじゃないとか思ってたのと違ったとかそんな人もとりあえず、主人公の名前を知るところまでは見届けてほしい。そこまで読んだらもう夢中になるはず! ジャンプで連載されてるような王道のバトル漫画や少年漫画が好きなひともハマると思う。
野愛
野愛
2021/02/21
連ちゃんパパ、先に読むか?後に読むか?
兄の死をきっかけに実家のパチンコ屋を継いだ大吉が周囲の人達のためにあれやこれやと奮闘するほのぼのパチンコ漫画です。 怠惰なバイトや厄介なお客さん、訳ありな男女など…ちょっと危なげな人やハプニングは尽きないけれど、大吉のお節介によってめでたしめでたし。というストーリーがほとんどです。 お客さん目線でのサービスを常に考え、トラブルを起こす客には毅然とした対応をし、従業員の幸せも大切にする。 大吉は強引だったりお節介すぎるところはあるけれど、経営者としても人間としても素敵な人だなあと感じました。 しかし脳裏によぎる連ちゃんパパ。 ほのぼの絵柄なのに連ちゃんパパがよぎって笑顔を疑ってしまうし、嫁も子どもも幸せそうなのに裏切られるのではと思ってしまうし、何か事件が起こるたび今度こそダメだと思ってしまうのです。 パーラーさかえみたいな良心的なお店で打ってたら連ちゃんパパもあんなことにはならなかったのでしょうか。いやたぶん関係ないですね。 物事にはいろんな側面があるのだなあ、と改めて実感しました。 連ちゃんパパを履修してるかしてないかによって印象がだいぶ変わる漫画だと思います。 できればパーラー栄通りを読んでから連ちゃんパパを読んだ人の感想を知りたいです。