平松っさんの心理学

役立たなければ実用本じゃない面白くなければマンガじゃない

平松っさんの心理学 高倉みどり
名無し

このマンガの第一巻の表紙を見たときに 「心理学の実用マンガみたいだが、そもそも  あまり買いたいと思わせない表紙だな」 と思った。 ところが折り返しの解説文に この表紙が色々と心理学を盛り込んだ デザインであることが説明されていた。 それを読んで、え、あ、そうなの、ふーんと 納得はしつつも 「え、じゃそういうことを全く感じなかった  自分っておかしいのか?」 と、へんな興味がわいた。 偉そうな言い方になるが 「ほほう、ならその心理学とやらを  教えてもらおうではないか」 みたいな少々喧嘩腰みたいな姿勢になった。 で、買って読んだ。 面白かったし、勉強になった(笑)。 食品会社の営業現場で仕事に恋愛にと発生する問題に 色々と心理学が応用され解決される。 マンガって少なからず都合が良すぎたりわざとらしい展開とかが 出てきたりするし、それが実用マンガとなると 余計に「そりゃ出来すぎだろ」という話になりがちだと思う。 ヒドイ自称・実用マンガになると、 ありえない話の展開で都合よくハッピーエンドになって、 それでいて役に立つ知識なんて無くて、そもそも マンガにしたことで解りやすくも面白くもなっていない、 というダレトクなんだよ、といいたくなるものもある。 説明セリフばかりで絵適にまったく芸がなかったり。 「平松っさんの心理学」も解説文は多めではあるが、 適度な範囲内だと思う。 最初は、都合の良い話だなあと思う展開もあったが、 第2巻では池田君(主人公?)がドツボに嵌ったり 立ち直ろうとあがいたりもして、 その辺の葛藤とかもマンガとしてチャンと絵で 面白く描かれてあると思う。 それに当初はクールで自信家のキャラかと思った 七尾さん(ヒロイン)が、実は心理的に微妙な部分が あったみたいで、 二人の恋の行方は心理学的な対応が とても重要な感じになっていって・・。 その辺の話が、作者の話の展開が上手いのか、 絵が上手いのかとかで、わざとらしくなくて 面白いマンガになっていると思った。 心理学をマンガ作品にすることで、 解りやすく面白く勉強になるようになっている、 マンガ化したことの意味がある作品だと思う。

いそあそび

楽しく食べて、ほのかに感じて 田舎の海岸の中学生日記

いそあそび 佐藤宏海
名無し

題名を見て 「海って楽しいよ!」「海はいいところだよ!」 という感じのマリン・レジャー漫画かと思って読み始めた。 だが冒頭から出刃包丁を棒の先につけた銛で 魚を狙っていて、あれ、違うみたい、と思った。 更に、あからさまに漁業権無視のサザエ獲りとか始めたので あーこりゃ中途半端なダメなサバイバル漫画かと思った。 ソレも違った。 そのへんは話の導入部、伏線的な展開だった。 父親が事業に失敗し、海岸沿いの田舎で 一人暮らしをすることになった少女。 半自給自足的な生活をせざるを得ず、 海に入って食材を狙うが上手く行かない。 そこに地元の中学生男子との出会いがあって・・ 当初は海の食材の採り方や料理の仕方が中心で、 レジャーとしての捕獲・採取が楽しい、とかの 描写はあまりなかった。 食材ゲット!腹が満たせる、嬉しい! という感じはあっても。 「いそあそび」というより「いそごはん」 という感じがした。 だが、ほとんど常に腹ペコ状態の少女も 意外とタフで前向きなキャラだったりするので 悲壮感とか貧乏くささはあまり感じない。 それでいて食材をゲットしたときには とても嬉しそうな笑顔や仕草を見せる。 なので、「海って楽しいよ!」と ストレートな展開の話で見せられるよりも、 一周回った上で「海って楽しいところなんだな」 と感じさせられた。 サバイバルというほどの厳しい狩猟を行うわけではない。 我を忘れて没頭するほど楽しい遊びをするわけでもない。 海沿いの田舎の集落での生活を、都会暮らしより素晴らしいと 主張しているわけでもない。 友達止まりで恋とか愛にはほど遠い中学生な夏。 面白くは描いているが、それを絶賛しているわけでもない。 海がある集落の生活だから、 食べることとか遊びとか、生活の殆ど全てに海が関わるんだよね、 という感じの、 一見は奇抜な設定のようで、結構色んな部分で 自然体の中学生の海岸物語だ。

ウチの使い魔がすみません

ダンジョン飯「っぽい」魔界道中記

ウチの使い魔がすみません 櫓刃鉄火
ぱにゃにゃんだー

流行り的なものの流れをきちんと把握していないので、恐縮ですが、それでもダンジョン飯以降ダンジョン的な題材を取り込む作品が増えてきた(もしくはそれらにスポットが当たるようになった)ように思います。 しかしながら、(ごく個人的で感覚的なものなのでどこまで一般的なものとして共有できるのかは不安ですが)ダンジョン飯的な感じをダンジョン飯以外からはあまり感じたことが、いままでありませんでした。 そこでようやく、『ウチの使い魔がすみません』の話になるのですが、試し読みの1巻を読んだとき、なんとなく「ダンジョン飯っぽい」と感じました。 この作品には、いわゆるダンジョンは出てきませんし、飯を作ることもないのですが、異世界や異世界の生き物に対する細かさと、それらに対するある種の偏愛が引き起こすギャグのテンポが、ダンジョン飯と似てるのかなと思います。 子供悪魔の使い魔になった人間のノーマンは、魔物研究に取り憑かれた暴走機関車のような男で、シリアスな展開であろうとレアな魔物や悪魔がいれば、解説をまくし立て、鼻息荒くサンプル採取を敢行する、常軌を逸したキャラとして描かれています。 この人間使い魔のノーマンの魔物への偏愛とそれ故の細かい魔物の生態分析が、ダンジョン飯っぽさをわたしに感じさせたのかなと思います。ダンジョン飯も異世界生物を飯の材料としてみる細かさがありましたし、味への探求的偏愛も描かれていたように思いますので。 ただ、あくまでも「っぽい」だけで、作品としての類似性はほぼ無いに等しいです。けど、このっぽさが気に入って読み進めてしまいました。 異常な行動力の持ち主に振り回されるドタバタギャグが好きな人なら楽しめると思いますので、どうぞぜひ。