少女漫画から2月です。
2018年5号 花とゆめ『漢娘乙女脳』
→公募受賞作。マッチョで線の濃いヒロインのギャグモノ。この手のキャラは『女の友情と筋肉』を彷彿とさせるが、恋愛とギャグを丁寧に描いていて好感触。最後にちゃんと乙女系ヒーローの見せ場をつくるあたりも良かった。
2018年3月号 LaLa『ご主人様と呼ばないで!』
→公募受賞作。流行りの獣人要素と、オトメン的犬キャラをこれでもかと使い倒したギャグモノ。ラスト、ラブの要素皆無なまま普通にご主人様におさまってしまうヒロインの態度がドライで良かった。
2018年3月号 別冊花とゆめ『お見合い探偵帷子ノ辻椥』
→海野つなみ先生の短編。最近あちこちに短編を掲載してる海野先生だが、中でもかなり楽しんで書かれたことが分かる一作。軽妙な会話と文学的かつ中二的な世界観のライトミステリで、短いながらも濃厚な味わいでした。
2018年3月号 別冊花とゆめ『誰がお前のことなんか』
→高飛車なお嬢様が実はピュアで主人公に片想いしているのだが、主人公は女装中にそれを知ってしまう……という設定に対して「ちょっとカツラ被っただけで好きな相手の顔も判別できなくなるのはおかしくね?」というツッコミさえ入れなければ、とても尊みあふれる胸キュン作品。
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マンバのみんなにも知ってもらいたい、この世界には『遊戯王』以外にも読むべきカードゲームマンガがあることを。
というわけでそこそこの期間カードゲームに親しんできた自分がひとまず3作品選んでみました。カードゲームに詳しくない・興味のない方でも面白がってくれそうなセレクションのつもりです。ちょっとでも興味を持って読んでいただけたら嬉しいです!
一発目はこれ。
別冊花とゆめで連載されていた少女マンガ『カードの王様』。
魔法のカードで戦うとかではなく、少女マンガで純粋にトレーディングカードゲームがテーマなのがまず珍しいし、主人公が女の子で恋愛がしっかり絡んでくるのも新鮮な衝撃がありました。
自分は寡聞にして本作以外に少女マンガでTCGを扱った作品を他に知らないので、どなたかご存知だったら教えてほしいです。
さて、作中ゲームの「CHAOS」のルールや本作の勘所については以下のクチコミに詳しく書きました。こちらも読んでみていただけると嬉しいです。審判必須のカードゲームモノってレアですよね。
試みとして、カードゲームとそのマンガにまつわる時系列を少し整理してみましょう。
世界初のトレーディングカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング(MTG)」が日本で広まるのは1994年から95年(初となる日本語版の発売)がひとつの契機とされています。
『遊戯王』の作品内に「マジック&ウィザーズ(M&W)」が初登場したのは1997年で、98年にはそれをメインテーマとした王国編が始動しています。一方で、カードの王様の1巻刊行は1999年。
まさに「トレーディングカードゲーム」という概念が生まれ、育ち始めた頃にほぼ並行して描かれたのが『遊戯王』と『カードの王様』だったのです。
『カードの王様』で描かれる「CHAOS」の特徴としてあげられるのが、対戦相手との対話を通じてゲームが進行することです。カードに書かれた情報をルールに則って処理する一般的なTCGというより、むしろゲームマスターとプレイヤー同士のコミュニケーションを重んじる「テーブル・トーク・ロールプレイング・ゲーム(TRPG)」に形式が近いとも言えます。
TRPGとMTG/TCGの歴史に踏み込むことはここではやめておきますが、実は遊戯王で描かれるM&Wにも当初はTRPG的な要素が多分に含まれていました。遊戯の召喚した岩石の巨兵がフィールドに存在する月を破壊したりしていたのは有名な話です。
TCGブームの萌芽の時期に描かれた2作品においてTRPG的な要素がフォーカスされていたのは、マンガというキャラクターの対話描写を重んじるメディアで、先駆的なジャンルに挑んだことの一種の必然だったのかもしれませんね。
今やカードゲームという文化の中心にどっしりと座を構える『遊戯王』(まさに王です)。実はその歴史の裏側に、「もうひとりの王」として存在していたのが『カードの王様』…なのではないでしょうか。うまいこと言いたすぎでしょうか。しかしそれくらいよくできている作品なのでもっと読まれてほしい次第です。特に遊戯王ファンのひとに。