第3のギデオン

ルイ16世がカッコいい

第3のギデオン 乃木坂太郎 山中聡
かしこ
かしこ

乃木坂太郎がフランス革命の漫画を描いたらそりゃ面白くない訳がないです。主人公は平民ながら身分による貧困を無くそうと奔走するギデオン、そして訳あって幼い頃のギデオンと本当の兄弟のように育った美しい貴族の男ジョルジュ。大人になった2人が再会するところから物語は始まりますが、革命を起こすという共通の目的があるものの、手段が全く違うので対立してしまいます。ギデオンはあくまでも平和的に政治で世の中を変えようとするんですが、ジョルジュは暴力でもって革命を起こそうとするのです。しかしジョルジュがそうした考えに至ったのには自分の出生に秘密があるからで…。実はここまでが2巻なんです。3巻からはマリー・アントワネットも登場して更に面白くなっていくきます。ちなみに自分も前半はあまり乗れなかったのですが、後半になるほどハマっていきました。しかし『第3のギデオン』で注目して欲しいのはマリーじゃないんです。彼女の夫であり、愚鈍な王として有名なルイ16世なんです!フランス革命が舞台の作品ですが、結婚や家族…そして「父と子」がテーマでもあるので、尚更に「国父」としての葛藤が見えてくるんです。本当のルイ16世ってこういう人だったのかもって思いました。

地図にない場所

地図にない場所とは#1巻応援

地図にない場所 安藤ゆき
六文銭
六文銭

『町田くんの世界』が控え目にいっても、スゴイ好きだったので、最新作待ってましたとばかりに読みました。 町田くんが無理しない等身大でいる感じがしましたが、 こちらの主人公・悠人は無理して大変なことになっている感じ。 頭の良い兄、イケメンの弟、そのどちらも中途半端なことに悩み、 はやくも人生終わったと絶望している。 中学生くらいだと、この2つが絶対的な価値基準になりがちですから、この悩みは共感できますね。 反面、天才と称されたバレリーナだったお隣のお姉さん・琥珀は、もう頑張る理由がないからと、怪我をしたと嘘をついてまで引退する。 頑張る理由…喜ばせたかった母親が亡くなったから。 何もかも捨てて才能以上のことをやっただけ、と言う姿は、プロの世界の厳しさを感じグッときました。 この対比が良いですね。 ただ、全く違うというわけではなく、ところどころお互い共感できている部分があるので接点がないわけじゃないのも良い。 根っこは同じなのかな?と思う。 自分の能力に限界を感じている悠人。 人生全てをかけていたバレエを辞めた琥珀。 それぞれ、今後何を目指すべきなのか、目指していくのか。 まだわからない。 二人が出会ったことで新しいスタートきった感じでしょうか。 「地図にない場所」というタイトルと相まって、今後(特に二人の関係性)が気になります。