鉄・人・影 横山光輝生誕80周年記念読本掲載作品の感想・レビュー7件子供の頃に読みたかった!!伊賀の影丸 横山光輝starstarstarstar_borderstar_border酒チャビン忍者!おん密!!特殊技能!江戸時代!!城!将軍家!!半蔵!!旧国名!!忍び文字(暗号)!わたしの子供の頃の好きな要素がいっぱいすぎて、多分小学生の頃に読んでいたら、わくわく夢中でどハマりしていたと思います。 しかもさすが横山先生だけあって無駄のないシンプルな作風で読みやすさも抜群。全15巻の超大作ですが、不思議と読み疲れなどはありません。 三重マンガランキング2位もうなずけます。 当時はかなり画期的な作品だったようなのですが、この作品が凄すぎてフォロワーが多く生まれ、多くの作品からベンチマークの扱いを受けたことによって、今見ると少し普通というか、王道すぎてもう一捻り欲しい気がしてしまいます。なので、名作であることは重々承知しつつも、今の子供たちにあえてこれを薦めるかというと、少し微妙な気もします。 あと、私の大好きな男塾に通じる要素も結構出てきて、それも見応えがありました。宮下先生に影響を与えてるのかもしれません。男塾は関係ないですが、途中、影丸の一人称が「影丸」になったのも面白かったです。 ちなみに個人的な一番のお気に入りシーンは、敵を攻撃する用に手懐けているふくろうが、敵が繰り出したネズミを捕まえるのに夢中になってしまって敵を攻撃しなくなる場面です。ふくろうの顔も可愛く描かれており、忍者という暗い宿命を負った者が主人公の作品世界で、ほんわりとした気分にさせてくれます。 あとはおまけコンテンツとして「ムササビ」という作品が収録されてます(影丸の話ではないです)。これは、天正伊賀の乱で信長に滅亡に追い込まれた忍者の生き残りが、本能寺の変の裏側で糸を引いていたという魅惑の歴史ifストーリーで、こちらも戦国時代ファンには見逃せない出来でした。ぶっそうな奴らがお気に入り横山光輝短編コレクション 横山光輝starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男横山光輝短編コレクションの名前の通り黄金墓場/大暗黒/ぶっそうな奴ら/偏愛/闇の顔/偽りの偶像が収録されている。多少強引な展開もあるけどどれも物語が二転三転して読み応えがあり面白い。個人的に「ぶっそうな奴ら」がもっともよかったです。プロフェッショナルが5億円を運ぶ現金輸送車の強奪計画を行うために、仲間を集め計画を練り実行をするのだが、ちょっとづつ計画とのズレが発生してどうなるかと思っていたら、予想外にいい結末になった。昔から横山光輝のこのタイプのラストってすごい好きなんだよなチャンピオン初期を支えた孤高の超能力少年バビル2世 横山光輝兎来栄寿横山光輝さんの数多の作品の中でも、『鉄人28号』、「魔法使いサリー』、『三国志』などと並び代表作として有名なのが『バビル2世』です。 週刊少年チャンピオンが創刊されたのは1968年。『バビル2世』は1971〜1973年まで連載され、チャンピオンの初期を支えました。そして、数年後にチャンピオンは200万部を突破し黄金期を迎えます。 遥か昔、地球に不時着したバビルの子孫である浩一がその力を受け継ぎ、世界征服を目論む超能力者・ヨミの目論見を防ぐべく闘いを繰り広げる物語です。 ユリゲラーが初来日して超能力の大ブームが巻き起こったのが1974年ですが、その3年前から超能力ブームの礎を築き上げたのがこの作品。テレパシーやサイコキネシスという単語を本作で覚えた少年は非常に多いでしょう。同時期に萩尾望都さんらによる少女マンガSFの台頭があり、『精霊狩り』などエスパーを題材にした作品が出されたことも、ブームを後押ししていました。 『超人ロック』然り、物語において超能力者やエスパーというのは異端で孤独な存在とされることが多いです。多分に漏れず浩一も世間には知られないまま孤独な闘いを続ける少年として、暗い時代のマインドを反映しているかのように描かれました。71年の『仮面ライダー』や72年の『デビルマン』など、純粋な熱血タイプではない陰を背負った主人公の物語が多く出始めた時代とぴったり重なります。 なお、『ジョジョの奇妙な冒険』第三部主人公の空条承太郎も、『バビル2世』の砂漠+学ランというヴィジュアルイメージに大きく影響を受けていると荒木飛呂彦さんが語っていました。私自身はその記述を見てから興味を持ち、読みました。バトルに単純な力比べだけではなく頭脳戦的な要素が盛り込まれていたのも、人気を博した要因であり後の作品への影響を感じられるところです。ジョジョ好きには一つのルーツとしてぜひ読んでみて欲しい作品です。 余談ですが、アニメ版で主人公の浩一を演じたのは当時はまだ新人だった神谷明さん。オーディションでは既に売れっ子だった野沢雅子さんと最後まで争ったという逸話があります。海外でも通用するマーズ 横山光輝マウナケア横山光輝の代表的なSF作品である「バビル2世」や「鉄人28号」と比べ、この作品は海外でも通用するようなそんなクールな印象。「風の谷のナウシカ」の宮崎駿的な、少し人類を突き放した視点で物語を描いている、といえばいいでしょうか。設定も子供向けSFではありません。主人公のマーズは過去に地球を訪れた異星人が地球を爆破するためにセットしたキー。彼がロボットに命令するか、もしくは死ぬことによって爆弾が作動し、世界は破滅することになります。ただ彼は火山活動の影響で予定より100年ほど早く目覚めてしまい、地球人が危険な存在になった場合に地球を爆破させるという使命を忘れてしまっている。目覚めたマーズは人類をどうみるのか。地球を滅ぼさない選択をしたマーズと、彼の監視者である同胞との戦いの果てに待つものは…。多分に警告的なラスト。描かれた当時は米ソ冷戦時代でそれから30年以上経ちました。まだ半世紀以上余裕はありますが、現在ならマーズはまずどんな選択をするかな、と思わずにはいられない内容です。 元祖・夢と空想の魔法少女マンガ魔法使いサリー 横山光輝たかたまたま漫画喫茶に完全版があったので読みました! 絵のデフォルメがかわいくて、キャラクターはコミカル。 サリーちゃんが人間界の風習を学んだり、パパを懐柔したり、カブをとっちめたり、ママに甘えたり…そういう一挙一動がただただ楽しい。 サリーちゃんのパパも魔術師ジョーも、キスで娘への愛情表現をするところが欧米風でとても素敵。なおパパは魔界の帝王なのにママには頭が上がらないという設定で、好きでもない人間界でお餅つきまでしちゃう、優しい…! 自分がサリーを読んで気になったのが、家族の描写です。 サリーとカブは人間で二人暮らし。よしこは両親共働きで、トンチンカンの面倒を見て家事をしている。同級生の小野さんは、お兄さんとお母さんの3人ぐらし。チェリーはアル中のパパに愛想を尽かして、お母さんが出ていってしまった。 16話の中に、多種多様で愛情深い家族が描写されていたところが印象に残りました。 横山先生自身は、「少女漫画はほとんどメロドラマばかりで、少年漫画のような『夢と空想』の漫画が少ない」ということでサリーを描いたと折返しに書いてありました。 やはり物語の土台として「家族」の描写がリアルだったからこそ、『夢と空想』がいっそう魅力的なものになったのではないかと思います。 現代まで続く少女向け漫画のエッセンスを感じることができる名作です!主人公よりも地球監視者に肩入れしたマーズ 横山光輝霧兵衛良かった点 ・横山光輝の書く六神体のかっこよさを堪能できる ・表紙もラストも衝撃的な内容 ・一番好きな神体はウラヌス 総評 ・このマンガに登場する地球監視者たちは自分の仕事に責任感を持ったプロ中のプロだ。 史実をうまく絡ませているエンターテイメント漫画だな戦国獅子伝 横山光輝 辻真先starstarstarstarstarマンガトリツカレ男史実をうまく絡ませているエンターテイメント漫画だな 時代的には、「孫臏」がいる時代 親父が張飛とか、武虎がドカベンそっくりだとか言われるけど、すごい好き。 同じ出来事でも王族からみた場合と庶民からみた場合の描写とかも面白い。 竜陽君とか包丁の語源も書いてあったりと色々楽しめる名作
忍者!おん密!!特殊技能!江戸時代!!城!将軍家!!半蔵!!旧国名!!忍び文字(暗号)!わたしの子供の頃の好きな要素がいっぱいすぎて、多分小学生の頃に読んでいたら、わくわく夢中でどハマりしていたと思います。 しかもさすが横山先生だけあって無駄のないシンプルな作風で読みやすさも抜群。全15巻の超大作ですが、不思議と読み疲れなどはありません。 三重マンガランキング2位もうなずけます。 当時はかなり画期的な作品だったようなのですが、この作品が凄すぎてフォロワーが多く生まれ、多くの作品からベンチマークの扱いを受けたことによって、今見ると少し普通というか、王道すぎてもう一捻り欲しい気がしてしまいます。なので、名作であることは重々承知しつつも、今の子供たちにあえてこれを薦めるかというと、少し微妙な気もします。 あと、私の大好きな男塾に通じる要素も結構出てきて、それも見応えがありました。宮下先生に影響を与えてるのかもしれません。男塾は関係ないですが、途中、影丸の一人称が「影丸」になったのも面白かったです。 ちなみに個人的な一番のお気に入りシーンは、敵を攻撃する用に手懐けているふくろうが、敵が繰り出したネズミを捕まえるのに夢中になってしまって敵を攻撃しなくなる場面です。ふくろうの顔も可愛く描かれており、忍者という暗い宿命を負った者が主人公の作品世界で、ほんわりとした気分にさせてくれます。 あとはおまけコンテンツとして「ムササビ」という作品が収録されてます(影丸の話ではないです)。これは、天正伊賀の乱で信長に滅亡に追い込まれた忍者の生き残りが、本能寺の変の裏側で糸を引いていたという魅惑の歴史ifストーリーで、こちらも戦国時代ファンには見逃せない出来でした。