ドラゴンクエスト 幻の大地

夢が大きな力となる!!

ドラゴンクエスト 幻の大地 神崎将臣 堀井雄二 とまとあき
酒チャビン
酒チャビン
国民的RPGのコミカライズです。コミカライズものは、小説のコミカライズにしろ、ゲームのコミカライズにしろ、なぜなのか変にストーリーが端折られて、急ぎ足で短めに完結するものが多く、場合によっては原作を知らない人が読んでも理解できないくらいになってしまってるものも多いのですが、この作品は大丈夫です! 確かに中盤のイベントで結構端折られてるものもなくはないのですが、テリー&ミレーユの過去を序盤から細切れに挿入してくるなどの工夫や、補足エピソードの追加などによって、うまく纏まってるなと思いました! ドラクエの中でも、6はストーリー上、詳細があまり明言されない匂わせるくらいの要素が多いため、シリーズの中でもわかりづらい(解釈が分かれる)ことが多い作品なのですが、こちらのマンガ版ではうまい具合にわかりやすくなってると思います!! 「夢が人々の大きな力となる」というメッセは変わらないのですが、夢をブレイクダウンした要素が、上の世界で封印されていたエリアに割り振られていたのも良かったと思います。 ・ダーマ神殿:知識 ・メダル王:希望 ・カルベローナ:愛 ・クラウド城:勇気 最終決戦ではキズブチ(初期からの仲間のぶちスライム)も勇者となり、モブキャラ含めた世界中のみんなからの力を得てミナデインで締める展開も熱かったです。 ただアモスのルックスは、自分の中では梅干し食べてスッパマンみたいな感じだと思っていたのが、キャプ翼のピエール君みたいな感じで登場したのがビビりました。 ゲーム版をやったことがない人も楽しめる内容となってると思いますので、機会があれば読んでみてほしいです。
B壱

大久保篤の原石時代

B壱 大久保篤
ピサ朗
ピサ朗
ソウルイーター以降はヒットを出している大久保篤の初連載、スタイリッシュな能力バトルと言語センスに、幻想的で奇怪な背景等、後の作品でも見られる作家性は既に確立している。 連載時は結構楽しんでいたのだが、幻想的で奇怪な背景は見難さを感じる事も有ったり、言語センスが突き抜けすぎてわかりにくかったり、まだまだ新人ということなのだろうけど、後半、「恐怖工場編」からはとんでもない作品になっている。 極悪非道を優しく歌い上げるような詩的センス、激しくもクールでだらしないアクション、それまでの見難さ、分かり難さは一気にむしろ美しさすら感じる独特の境地に至り、明らかに「開花」した。 もっともこの頃には既に打ち切りが決まっていたのか、間もなく打ち切りを食らったのだが、その後ドラマCDを出したりこの作品も一定の人気は得ているようだ。 作者自身は以後ソウルイーター、炎炎ノ消防隊とヒットするが、この作品の頃程のごちゃごちゃ感は鳴りを潜めていて、研磨され輝きを増しているのは間違いないのだが、この作品の帯びている原石故の輝きは無くとも、巨大な岩のような存在感は失われているようで、同じ作者でありながら作風的にはむしろ独特な作品になっている。 間違いなく大久保節は存在しつつも、ソウルイーター以後に比べるとお勧めしにくい部分も有るが、ファンなら読んで欲しい作品。
不徳のギルド

緩めだが締める所はしっかり締めるファンタジーエロコメバトル

不徳のギルド 河添太一
えっちな名無し
魔物のあふれる世界でガードとして魔物狩りに明け暮れる主人公キクルが灰色の青春を嘆き、引継ぎ完了後に大学で彼女作る野望の為に新人ガードの面倒を見るのだが 新人はどいつもこいつもポンコツ美少女ばかりで、しかも魔物は美少女にエロい事したがる変態生態をしており、毎回エロい事になりつつ引退が遠のくのを嘆きつつ魔物退治をして、なぜかスマホやテレビに電車の存在する緩い世界でお馬鹿でエロいファンタジーエロコメ… だが、一部エピソードでは危険な魔物や魔法の存在で起こる悲劇やら結構シビアな場面も有ったりで、緩いだけ、エロいだけでは終わらない。 そこかしこのアホな描写やツッコミも適当なようで、後になるとちゃんと設定が存在していたり、読み返すと構成にも唸らされる。 しかしおっぱいもデカいの小さいのも揃えて、性格もしっかり書き分けられてて属性も多彩。 エロに関しては基本魔物に襲われたり、ヒロインたちのポンコツっぷりが巻き起こすものだったりだが、魔物相手という点では好き嫌いがありそう。 またヒロインの一人であるメイデナはどういう事情か、単行本のおまけでやけにねっとり性への目覚めが描かれていて、エロい事はエロいのだが本編が割と軽めな点で雰囲気がかなり違う。 エロさは結構高いが何気にツッコミが諧謔に富んでいて語彙が豊富だったり、バトルも真面目にやる時も有ってエロ「も」笑いもストーリーも楽しめる欲張りな少年漫画。
ハルマゲどん

お弁当プラス500点!(by恐怖の大王)

ハルマゲどん 渡辺志保梨
サミアド
サミアド
各惑星には点数があり、1000年に1度 恐怖の大王が調査に来ます。 点数は悪行で減少し、ゼロになったら有無を言わさず滅亡です(作中では既に火星が滅亡)。 1999年7の月 4畳のボロアパートに降臨した当代大王 ハルマゲは地球の点数(2000点)をゼロにすべく調査を開始しました! ゴミの分別不良 ー5点! 殺人未遂 ー1点! 手編みのマフラー +200点!! 手作り弁当 +500点!! 保険金サギ ー5点! 強盗 ー2点! 毎日 手作り弁当 +3000点!!! 少女・野亜(のあ)が善人過ぎて際限なく増えていく点数。 ハルマゲを連れ戻すために降臨した妹マルスや部下のメギド姉弟も次々に野亜に堕とされ地球に定住。 6畳1間にお引越しします♪(4畳に4人はキツイので) 少年ガンガンの2p企画で勝ち抜き 増刊号で連載化した作品です。 作者さんは芳文社の4コマ誌でも複数の漫画を連載されましたが、個人的にはハルマゲどんが1番好きです。 後期の作品は絵が微妙な時がありますが、この作品は増刊連載だった事もあってか丁寧に描かれています。 ご町内の皆さんとゴミ拾いする恐怖の大王が見たい時はこの漫画が最適だと思います! あと、野亜が可愛いです(最重要)。 電書化していない上に作者さんが引退状態(多分)なので古本で探すしかありません…。 ガンガンが超人気雑誌になって過去作を片っ端から電書化してくれる事を願っています。
旅とごはんと終末世界

メイド服ロボ×義手犬、出会いの旅

旅とごはんと終末世界 文ノ梛
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
自己を形作っているのは、それまでに出会った人々なのかもしれない。それが失われる事を「輪郭が失われる」と表現するこの作品、かなり深くて優しい作品である事は保証します。 メイド服を着た少女型の機械生命体・蘇芳。AIより人に近い、自立した思考を持ち学習する彼女は、自分を作った設計士=ご主人様を探すべく、犬のミュートと共に旅をする。人語を話し、機械の義手を持つミュートは頼れる存在。蘇芳の成長を見守ります。 旅をするのは、多くの人が死んだばかりの終末世界。残された文明は高度だが、維持が間に合わず、かなり崩壊している。そんな中で印象的なのは、ごはん大好きな二人の食事。 食料調達から調理まで、食事は蘇芳の担当。ミュートも感心する腕前で作られる料理は、旅の途中で出会う人達にも振る舞われます。 出会う人達の様々な事情。ひと月ほどの間に出会ったほんの少しの人達は、ご主人様しか知らなかった蘇芳に人との繋がりと思い出を与えてくれる。一方、見守るミュートに去来する思いは……? 3巻の間にしっとりとした世界観と様々な思索の種が埋め込まれ、蘇芳とミュートの物語もこれ以上ないくらい切なく温かく、充実の一作でした。