ひたいに三日月
10歳の時、梓を追いかけ登った木から落ちたゆたか。そのせいで額には三日月傷が。そのまま別れ別れになった二人だけど、何と梓は忍者になって戻ってきて…!? 大人気表題作ほか、『学園七不思議くん』、『キラキラ一番星』収録
逆転ハニー
夜神健吾は学校裏の神が住むという沼でいじめられていた亀を助ける。その亀(亀神様)が喋りだしたことに驚き蹴り飛ばしてしまったため、罰として幼なじみの昼岡密香と体を入れ替えられてしまう!! 見た目も性格も真逆の二人が逆転すると異性に大人気で…!?
大魔王ヴェイトと勇者キールは魔王城で最終決戦を迎えていた。だが崖が崩壊 し、無人島に漂着してしまう。宿敵だった二人だが、島を脱出するため、仲良く しなければならなくなり…?大魔王と勇者は心を通わせることができるのか──!?
お嬢様の運転手
時は大正。とある女学校に、少女たちの憧れと嫉妬を一身に受ける乙女がいた。最優秀学生の印・紅いリボンが映える彼女の名は芳村さやか。そして、いつも彼女の傍に付き従っている家お抱えの運転手の名は鳴滝忍。女学生の間では二人が恋仲では!?と噂されていて…!? ハイカラ主従浪漫!
彼女になる日
幼なじみの奴が、女になった!! 三芳と間宮はあらゆる事で競い合うライバルだったが、ある日突然、間宮は女の身体に。伸びた髪、曲線的な体を目の当たりにし、戸惑う三芳。女嫌いの三芳と、女になった間宮の関係は…!?
八潮と三雲
人間社会の隣にある「九生の猫」社会。ここには9つの命を持ち、残りの命数に応じた名前を与えられた猫が住んでいる! 三雲は、自分を助けて1つ目の命を失った八潮に恩返ししたい美猫☆ だが「取り立て屋」の彼は超偏屈で一筋縄ではいかず!? 読み切り一編収録。
転校初日で緊張するルカが出会ったのは、明るく爽やかな同級生・保。自己紹介で空回りするルカを保が笑ってくれたことで、ルカは教室で受け入れられていく。初めてできた友達の存在に幸せを感じるルカだが、保はある事情を抱えていて――。少年たちの淡い恋を描いた表題作ほか、読切を4編収録した珠玉の作品集。【同時収録】「今日もやってんなキラリ」「夜明けの星が燃える 前・後編」「明日へのla」
村一番の剣の使い手アロは、強さゆえに想い人のカイルにちゃんばら相手としか思われていないことがコンプレックス。剣を置いて女の子らしくなったアロだが、2年経っても素直になれず…。そんな時カイルが騎士団にスカウトされ、王都へ旅立ってしまうと知ったアロは決死の覚悟で告白をしに行くが――…!? ファンタジー×ラブコメの名手が贈る珠玉の短編集!
奴隷の少女・パトラは、封じられた軍神・ホルスへの生贄として献上される。すべては、神の力で隣国との戦に勝利するため――。抜き取られた心臓を取り戻し、蘇ったホルス。しかし、心臓の半分はパトラが手にしていて!? 神の命を握った少女が、運命に抗い始める……! 表題作ほか、激熱ファンタジー読切3編を収録。
目を覚ますと、見知らぬ男が私を見つめていた――。記憶喪失の王妃・ルクレティアは、国王レオの庇護の元、豪華絢爛な城の一室で何不自由ない生活を送る。しかし手には枷、部屋には鍵。…この男は、一体誰? 表題作ほか3編収録。
彫深眉子作品集
永遠って、そんなに良いものですか? 親の紹介で結婚した相手と、未だ心が通じ合っている感覚がないアリスは、突如として動物の姿になってしまう。どうやって戻ればいいのか、どうして人間の姿を失ったのか…。新婚の苦しみと、至上の喜びを描いた「千変万化の花嫁」をはじめ、注目の新鋭が放つ5本の読み切り作品で構成した初の作品集。【同時収録】「愛しい半身」「女騎士パーラ」「死神の皮膚」
北福佳猫さんの作品集が遂に! 北福佳猫さんといえば『原始人彼氏』のインパクトがあまりにも大きかったと思いますが、この1冊を読めば解るはずです。デビュー作の「明日へのla」から始まり、感情を揺さぶる正統派学園ラブストーリーの巧さや良さが煌めいているということが。 ミモザに染まった表紙絵がとても鮮やかで目を引きますが、表題作でありこの作品集に収録されている中では最も最近描かれた(それでも2021年ですが)「君に降るミモザ」は特に好きな1篇です。ドイツ系アメリカ人と日本人のハーフで、友達もいない時代を長く過ごしてきた立花クラウゼ瑠輝(るか)が転校をして新たな環境で不安で一杯の最初の日に、クラスの人気者である真風保(まかぜたもつ)と良い出逢いを果たすことでこれまでにない充実した学校生活を送っていけるようになる話です。居場所がない苦しさ、馴染めなかったらどうしようという不安で一杯の転校先で受け入れられる嬉しさ、絆が芽生え花咲く瞬間の輝きが鮮烈に描かれています。3~4月に咲いて春の訪れを告げるミモザのごとく、人生の新しい季節が降り注ぐ様子が過去の自分の想いと重なりながら感情を揺れ動かしてくれます。 男子校から転校してきた都と運命的(?)な出逢いを果たした、ちょっと重くて痛いオンナである宮本きらりを描いた「今日もやってんなキラリ」は、ヒロインの突き抜けたキャラクターが特徴的。ただ、その理由付けが上手くなされており20ページほどの短さの中で綺麗にまとめられていてもっとこのふたりの関係性を見ていたくなります。 前後編で80ページほどある「夜明けの星が燃える」は、歌劇部が非常に人気で精力的な活動をしている中高一貫の女子校に高校から入り、廃部寸前の演劇部に入部する女の子・晶の物語。数少ない演劇部員の伊万里と千世の3人だけで歌劇部に対抗すべく奮闘していく中で、徐々に明らかになっていく晶の才能とその影響も受けて変化していく関係性が見どころです。自分がやってきたことが誰かに影響を与えたとして、それが目に見えないと無かったものと思ってしまいがちですが、それでも確かに動かしたものがあってそれを知覚できたときは代え難い歓びを得るものだよなあとしみじみと思います。 デビュー作の「明日へのla」は、優等生のヒロインと、落ちこぼれながらギターに命を懸ける少年の物語でまさに青春。抑圧されて秘めた想いや憧れを解き放つ、その瞬間の気持ちよさ。無限の前途がある若者たちの相貌が瑞々しいです。 あとがきで筆者が描いていたように、今や直視できないそうですが、読者としては「明日へのla」から「君に降るミモザ」の数年間での大きな成長が見て取れて、そこもまた味わい深いです。 『原始人彼氏』のような作品も描けることを既に示している北福佳猫さん、これからまたどのようなものを生み出してくださるのか楽しみです。 余談ですが、田中メカさんとの合作の「かわいいふたり」なども今後どこかで収録して欲しいですね。