歪んだ構図
警察はM大2年の立花ユミの死は自殺と断定。だがユミの妹・美香は、姉の死は絶対に自殺ではないと言い張る。先月、好きな人ができ、結婚するかも。と、嬉しそうに話していた姉が自殺するわけがないと美香は思う。しかし、相手の男は少し訳ありで、付き合っていることは誰にも言っていないらしい。憧れ、尊敬していた姉の死の真相を探る美香だが…。
化身の柩
結婚の許しを得るため、愛する直樹の故郷へ行くことになったあずさ。彼の両親は親に反対されて駆け落ちし、逃げた先の女鳴き岩の中で初めて結ばれ、直樹が産まれたという。しかし、その後4人もの子を流産してしまった直樹の母は、いつしか心の病に侵されてしまった…。父が結婚に反対しようとも、そんな母にだけは、あずさを見せたいと言う直樹。だが、山間にある彼の故郷へ向かう車中で言い知れぬ不安に襲われたあずさは、直樹との結婚を決めた時、何者かから脅迫状が送られてきたことを思い出し…。
売れっ子シナリオライターの藤木の個人秘書、沙都子。独身の藤木は多くの女性と浮名を流し、その後、必ず沙都子を抱き、SEXの相性はキミが一番だと言う。周囲の人々を傷つけ、その快感からシナリオを書くサディストの藤木。ある日、沙都子を抱いた後テレビを見ていた藤木は、怪獣という謎の言葉を残し、慌てふためいて家を出て行ってしまい…!?
DV隠し
DVに遭った傷を他人に見られたくないと、30歳の妙子は夏の暑い盛りにフード付きの長袖を着て、DV被害者のためにシェルターを経営している八重田優のもとに逃げて来た。優自身も昔、DVに悩み、今までもその悪夢にうなされる日々。いかに多くの女性たちがDVに苦しんでいるかを知った優は、彼女たちを救うため努力するのだが…。
フェアリー
愛に飢えている妖精は夜を好む。白い服を着て、わずかな香水だけで生き、短い命だからこそ、恋にもわがまま。公害研究で少しは知られた学者、30歳の晃良の行きつけスナックに場違いな白い服で現れ、自分を妖精だと言った野百合。そして、魔王のものになる前に抱かれたいと…。
実のひとつ
社長令嬢の麻美の婿に選ばれた、25歳の山路製薬社長秘書、瀬野旭良。彼には血塗られた過去があった。大学2年の時、父親の自殺の原因が北見荘平という男に会社を乗っ取られた事と知り、北見家に乗り込んだが、取り巻きたちに殴られ昏睡状態に。目覚めた旭良には、北見に対する憎しみと、白い肌をした女性の悲しげな目の記憶が…。その女性と旭良の関係とは果たして…!?
伎芸の栖
2年間追い求めた獲物、23歳の華美を前にした、29歳の宝極斡史の目は憎悪と欲望に燃えていた。16歳で華美を産んだ母親の育枝は芸事で身を立て、華美を育てた。ある晩、宝極観光のオーナー、章博の酒席に二人の弟子と共に呼ばれた育枝は、その日から何かに怯え始めた。そして島から帰って来た育枝は華美にすぐに逃げるよう命じるのだが…。
家族を大切に思い、優しく良い夫。その夫から突然、生きていくことに耐えられない、両親のもとに逝きたいというショッキングな電話が妻の真智子に。一人息子に夢中で、夫のことは二の次だった真智子。自殺をほのめかす夫に対し、なんとか思い止まるよう説得をする真智子のお腹には二人目の子供が…。夫婦の絆を問う問題作!!
男と女の愛と憎しみは紙一重。月曜から金曜まではIT企業の受付嬢、土日は茶道の師範という28歳の美緒。美しさの裏に隠された淫らな魔性から、妖かしの女と呼ばれる美緒は、週末に妻子ある上司の兼見と密会するため、ホテルに現れる。彼に魅かれたのは社会的地位か、それとも底なしの淫欲か!? その美緒の前に現れた青年の真意とは…?
家具が揺れたり、食器などが空中を飛んだりという怪奇現象、ポルターガイスト。25歳の真保は勤めていた幼稚園の園児、なぎさの父親、楡利光からプロポーズされ、結婚。その時、夫となった利光から、我が家ではポルターガイスト現象が起きるが、原因は解明されているので驚かないでと言われる。だが、真保の目の前で起きた事とは!?
雪のエトワール
スキーのインストラクターをしていた清美がS高原の崖下から発見され、その直前に恋人の敬也との別れていたことから、失意の末の自殺と判断された。だが、その死に不信をもった妹の留美子は、敬也には社長令嬢との婚約の話があり、ジャマになった清美を殺害したのでは?と疑う。そして真相を突き止めるため、留美子は敬也に会いに…。
限局性強皮症という難病で入院中の38歳の主婦、みゆき。そのみゆきに対し、毎週末に訪れる夫の柴夫は、病院中に響き渡る罵声を浴びせかける。家事と子供の世話のためにと強制退院を迫る夫は、退院が長引けば離婚と脅す。亭主関白で自己中、みゆきを家政婦のように使う柴夫。主婦に休日はないと宣言する夫に対し、みゆきは…!!