出世コースをひた走る男田上がある日帰宅すると、妻が間男と情事の最中だった。まだ小さい娘の前で乱暴する田上に妻は、家庭をかえりみない夫を逆に責め返し、実家に帰ってしまうのだった。途方に暮れた田上が向かう先は、場末の小さなスナック、そこには男と女の関係でだけつながった女がいるのだった、、、、。表題の「濡れてお別れ」をはじめ、博多っ子純情の長谷川法世が描く大人のドラマ集。
如月丸奇譚
氏神(うじがみ)の身でありながら、女性を泣かせてばかりの如月丸(きさらぎまる)は、女に姿を変えられ、石牢に閉じ込められてしまう。時は流れ、現代。オカルト関係のトラブルを招きやすい気弱な高校生の健之介と出会った如月丸は、封印を解くために本当の愛を知ろうとする… 果たして二人の関係は…? その他、短編 ・記憶の地図 ・MOLTO ALLEGRO ・ANDANTE ・ONLY YOU(如月丸奇譚番外編) 収録。待望の電子化、第一巻!
ダミーロボット「D-49」を開発した若き天才科学者・藤原示規(ふじわらしき)。だが彼は自らの研究データをすべて破棄し、恋人ナヌカのもとへ向かった。そこから二人の逃避行は始まる、ある秘密と共に。2つのエンディングが用意された、美しくも切ない近未来ラブストーリー。待望の電子化。
他人の顔
女の敵は女! 自分の価値観を押し付けられる嫁の苦労がここにある。結局嫁は、血の繋がらない他人なの? 節約という名のドケチを貫く姑の目的とは… ―CONTENTS― ◆第1話◆ 経済観念0嫁は断罪! ◆第2話◆ 他人の顔 ◆第3話◆ ドケチ姑は小金持ち ◆第4話◆ 嫁くらべ
沈丁花
大学生の家庭教師、堀に勉強を教わり第一志望の高校に入学できた小牧緋沙子。堀は就職が決まり、もう会えなくなることから緋沙子はさみしい気持ちになる……。そんな折、堀が緋沙子の両親に結婚を前提とした緋沙子との交際を申し込んでくれたのだ。その日以降、緋沙子と堀はデートを重ねていく。自宅の側に植えていた沈丁花を堀にプレゼントし、「下宿のおへやにでも飾って」と伝える緋沙子。デートをしているところをクラスメイトに見られて冷やかされても幸せを感じる緋沙子だった。そんなある日、堀の部屋へ行き、一線を越えそうになるのだが怖くて拒否してしまう。それでも堀は「きみの全部がほしい」と緋沙子を抱き寄せる。しかしその時、堀の口から思いもよらぬことが告げられる。過去の女性とのこと……。緋沙子はショックを受け、堀と別れてしまうのだった……。二人の愛の行方はいかに!?
この空の下に
大学院生の彼・達治からもらったエンゲージリングを指に光らせて、それを羨む同級生に微笑みかける令子。しかし彼女のバラ色の人生は、達治が引き起こしたとある事故をきっかけに一転する。二人の運命は交錯し、すれ違っていく。『ベルサイユのばら』の池田理代子が送る、戻らない青春の切なさを描いた作品。
祖国に愛を!
うつくしい田園地方、慈悲深い領主の家に生まれた兄弟。しかし兄のフェルディナントは父の目を盗み領民たちに横暴を働き、金のためにと愛してもいない貴族の女との結婚を目論む。見かねた弟ユリウスが家を飛び出した先、森の中で出会ったのは世にも美しい少女、メルジーネだった。謎に満ちた彼女が兄弟の心を翻弄する中、祖国の運命をかけた命がけの戦いがまさに始まろうとしていた───。『ベルサイユのばら』の池田理代子が送る、愛に満ちた劇的な短編。
愛のさざなみ
教師と教え子の関係でありながら互いを愛してしまったチェスター先生とロザリィ。1年後必ず帰ってくるという先生の言葉を信じて部屋に閉じこもるロザリィのもとには、いくら待っても手紙の一通すら届かない。他人からの愛を受け付けずに辛く苦しい日々を送る彼女だったが、徐々に運命の歯車が回りだしてゆくことに──。『ベルサイユのばら』の池田理代子が描く、力強くも繊細な恋愛劇。
上野駅4時50分
午後4時、上野駅の改札に佇む人々。それぞれの人たちが様々な思いを抱え、時計を眺めている。不安げな表情、にこやかな表情、何かを決心したような表情──。誰かを「待つ」という行動の中に隠れた心情をセリフを使わず華麗に描いた、『ベルサイユのばら』の池田理代子による印象的な短編。
ごめんなさい…
誰もが慕う心優しい優等生の萩原涼子と、貧乏で汚らしい見た目のせいでいじめられる山田やすえ。裕福な家庭に恵まれた涼子は、なんとかしてやすえに手を差し伸べようとする反面、自分の中に黒い感情が生まれるのを感じていた。どんな少女も、人の世の哀しさを知らない子どものままではいられない──。
パリに住む精神科医のもとに訪れたのは、クローディーヌ・ド・モンテス。優れた資産家の父によく似た男らしい容貌と性格を持つ、たった10歳の娘だった。彼女は自分のことを男だと言い、小間使いのモーラという女に初恋をする。しかし大人たちはだれもそれを認めてはくれないのだった。クローディーヌはその美しい人生の中で幾度となく「不完全」な性と愛に翻弄されることになる──。『ベルサイユのばら』の池田理代子による、今こそ読んでほしい短編作品。
あの人はいま…
小学6年生の向井純子のクラスに転向してきた三沢小滝は、大きな瞳が印象的な美少女。小滝はまるで幼い妹が姉を慕うように、純子に近づきたがった。しかし純子は小滝の美しさに嫉妬し、冷たく突き放してしまうのであった……。