アクシデンツ

事故は起こるさ…

アクシデンツ 山田貴敏
ひさぴよ
ひさぴよ

『Dr.コトー診療所』の山田貴敏先生が90年代に少年サンデーで連載していた、あらゆる事故の原因を解明しようとするヒューマンドラマ。 主人公・鯨樹雄(通称クジラ)は内閣官房特命調査官という役職につき、普段はおもちゃの修理屋を営むオッサン。ひとたび大きな事故がおきると現場に駆けつけ、その調査能力で予想外の真実を導き出していくというのが基本ストーリーです。 https://websunday.net/museum/no40/img/page12.gif 題材としては非常に地味なものでしたが、乗り物事故、自然災害事故、毎回さまざまな危険な事故現場が描かれています。中にはちょっと現実離れした設定もあって、リアリティ不足が気になってしまう部分もあります。 話の終わりには必ず「事故調査報告書」なるものが出てきて一区切りついて、別の事故の話に変わります。この内容で12巻もあるので一度に全部読み通すのは疲れますね。思い切って途中の巻で好きな話だけ読むのもアリです。 主人公クジラとヒロイン柊のキャラクターは抜群にいいコンビで、家族のような恋人のようなすごく良い関係。柊って妙に気になる存在で、クジラと並ぶと子どもみたいに見えるのだけど、話によって大人っぽくなったり見た目の印象がコロコロと変わり、ほとんど同一人物には見えない回もありました。クジラとは家族みたいな関係で恋人でもなかったけど、作品になくてはならない不思議な存在でした。

おれはナマズ者

いや大助可愛すぎる🥺

おれはナマズ者 はしもとみつお やまさき十三
たか
たか

この間新刊ページで見かけて表紙がかわいいな〜と買ってみたのですが、話の中身も最高に可愛かったです!主人公の中学生の少年・中村大助はとんでもないマイペース野郎。周囲から「ナマズ者」と呼ばれ、「〜なのら」という喋り方をする完全なるアホの子。あるとき、近所の沼が造成工事で埋め立てられてしまうと聞いて、沼の主である巨大なまずを釣って助けてやったことから釣りの世界にのめり込んでいく。 アホアホのくせに釣りの才能だけは抜群で飄々と釣りまくり、学校の先生をはじめとする釣り仲間の大人たちが歯噛みする…という構図が見てて本当に和む。 大人たちがブチギレたりヘイトを向けたりするわけでないところがいいんですよね。大助のことを憎たらしく思いつつも、愛情があるのが感じられて好きです。 アホの大助も、本当に純粋なアホだからすんごく可愛い。 スナックのマスターから名竿をぶんどっておいてちゃんと返すところとか本当いい子…! 1巻だけ読んだのですが、読んでいて本当にほっこりして癒やされたので残りの5巻も買って読んじゃうかも。 というか作画のはしもとみつお先生といえば築地魚河岸三代目、徘徊先生の作画で、やまさき十三先生といえば釣りバカの原作者じゃないですか…! 豪華タッグすぎる。そりゃ面白いわ。

らんま1/2 〔新装版〕

あかねが主役の『ヤマタノオロチ編』

らんま1/2 〔新装版〕 高橋留美子
nyae
nyae

数あるバトルエピソードのなかでも、ダントツに好きなのがコミックス25巻から26巻にかけて描かれる『ヤマタノオロチ編』で、自分が生まれて初めてらんま1/2を読んだ回でもあり、ヒロインのあかねが主役です。 ある日あかねがひとりで化物退治に向かい、そこである少年と運命的な再会を果たし…というもの。まず料理下手のあかねが"普通のカレー"を作るという衝撃的な始まり方をする点からも、他とは一線を画すると思っています。 またここでは"真之介"という(この漫画の中では)わりと普通の少年が出てくるのが特徴的で、それにより"乱馬に正統派ライバルがいるタイプ"の珍しい三角関係が生まれるのも見どころのひとつ。 そんな複雑な関係性と悲しいすれ違いが起こる中、乱馬はあくまであかねの「真之介を救いたい」気持ちを汲んで、真之介と共闘する展開になるのもアツい。全体的にみんなの人としての優しさとか思いやりがベースにあるのがなんかいいんですよね。 女好きなヤマタノオロチのところへ、あかねのかわりに女らんまが行くのではなく、あえて乱馬は女装して戦いに臨みます。あくまでもあかねが中心に真之介のために戦うという構図が最後まで崩れないのが良かった。そして忘れてはいけない良牙の存在ですが、ここまで都合のいいように扱われた回もなかったのでは。笑 という感じで、あかねの武道家としての強くて真摯なところと優しくて情に厚いところ、更には乱馬とあかねのもはや"家族愛"ともいえる絆を改めて感じることができたいい回だったなと思います。らんまを読んだことがない人にこのエピソードだけでも読んでほしいくらい、お気に入りです。 しかし、あの時どうしてあかねは普通のカレーを作ることができたのか。謎です。 #マンバ読書会