下北沢バックヤードストーリー

女に怒られる理由が分からない、と言う男に女がイライラする理由 #1巻応援

下北沢バックヤードストーリー 西尾雄太
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

『アフターアワーズ』『水野と茶山』と百合マンガを描いてこられた西尾雄太先生が、今なぜ男性主人公を?と思われるかもしれませんが、読めば納得の内容でした。 本作の主人公は古着屋の店主にして、大の服マニア。 古着屋稼業・店舗経営の裏側を見せ、古着への拘りを開陳しながら、主人公が出ていった彼女とヨリを戻すヒントを得るために、昔の彼女たちに会う物語が展開します……さあ、ダメな感じがしてまいりました笑 よく、人柄は悪くなさそうな男性が、パートナー女性にものすごい怒りを買っていて不思議に思う経験、ありませんか?本作の主人公も一見まともなので、「趣味に夢中になりすぎると愛想尽かされるのかなぁ」と、同じ趣味人としては不安になりかけますが、次第に彼の「本当に悪いところ」が見えてきます。なかなかに胸が痛い内容。 男性から女性へのDV、モラハラ、マンスプレイニングやマイクロアグレッションなどには、実はかなり根が深く、複雑で言語化しにくい「悪さ」があります。 そういった「悪さ」が作品のあちこちに描かれて(時にそれは従業員にも向く)2巻末までにその一部はかなりはっきりと言語化され、ハッとさせられます。 服のストーリーと目上の人の言葉は聞けるのにher storyに耳を傾ける気のない主人公と彼にうんざりしている彼女の物語は、恐らくあらゆる男性と女性に普遍的な物語。今後も自分ごととして、丁寧に読みたいと思います。 (1、2巻同時発売ですので1巻応援とします)

服福人々―ふくふくひとびと―

服にあんまりこだわり無いって人も是非!

服福人々―ふくふくひとびと― 坂本拓
なかやま
なかやま

どちらかと言うとお仕事マンガとして描かれがちな「衣服」を趣味として扱うことで、生活がかかった仕事マンガとは違う、肩肘の張らない程よいテンポで自分の中に入ってくる良作です。 主人公の佐久間(サク)も元々服が好きな状態から物語が始まり、元デザイナーの廻谷と出会うことで世界が広がっていく形で進行していきます。 ここが良いなと思ったのですが、あえて0→1ではなく、1→2にすることで "ダサかった主人公がこんなにかっこよく!?"みたいな鼻につく部分が無いです 内容自体も各話でファッションのテーマを絞りつつ、ショッピングを通して廻谷がやさしく教えてくれます。 自分も読んでいて「なるほどなー」な部分も「わかるー」な部分もあり、服に対する見方が広がりました。(ファッションコラムがめっちゃ面白い) 作者さん自身がきっとファッションが好きだろうし、ちゃんとお店に取材もしている すごく丁寧なつくりであるのがわかります。 おそらく監修にMEN’S NON-NOが入っている部分が流石集英社感! 服好きな人にももちろん読んでもらいたいですが、服とかあんまり興味ないし・・・という方も、この作品を読むと服買いに行きたくなりますよ。 この作品が多くの人に読んでもらえれば日本はもっとオシャレになる!