砂漠の野球部

最高の魔球漫画

砂漠の野球部 コージィ城倉
toyoneko
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「砂漠の野球部」は、コージィ城倉先生が、週刊少年サンデーで連載していた野球漫画です 超強豪校の落ちこぼれ野球部員たちが、鳥取の高校に転校して甲子園出場を目指す、というのがストーリーの骨格で(日本でもっとも地区予選出場校が少ないのが鳥取だそうです)、初期はわりとコメディ&お色気色が強い漫画でした(1巻の表紙参照) ある意味サンデーらしい漫画ですね しかしストーリーが進むに連れシリアス度が増し、ド根性熱血野球漫画になっていきます そのうえで、このマンガ一番の見どころは、やはり恐るべき魔球「サイレントカーブ」でしょう!(コミック8巻~) 魔球には、謎と、(屁)理屈が必要で、それが魔球の魅力を基礎づけます この点、「サイレントカーブ」は、一見地味なのに、実は恐るべき謎が隠されていて、しかもそれを裏付ける理屈が、なんというかサイコーに無茶で、それでいながらカッコよいのです。私は大好きです さらに、物語最終盤には、サイレントカーブとは異なる、最終最後の大魔球が登場します 「サイレントカーブ」と、最後の魔球! この二つの魔球が存在することで、「砂漠の野球部」は、(私の中で)最高の「魔球漫画」となったのでした 癖のある野球漫画が好きな方、昔のコージィ(又は森高夕次)の漫画が読みたい方にオススメです

そのへんのアクタ

殺戮マシーン、一般人になる? #1巻応援

そのへんのアクタ 稲井カオル
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

この作品を稲井カオル先生の前作『うたかたダイアログ』で例えると、 「片野さんは心が生まれたばかりのロボットみたいなことを言う……その内『これが…ナミダ…?』とか言いそう」 と言う宇多川さんのセリフ。これを全編に渡って繰り広げる感じになる。 地球外生命体の襲来で滅びそうになりながら、何となく滅びなかった世界で、最前線で戦った英雄・芥は次第に煙たがられ、緊張感の無い鳥取部隊に左遷される。 14歳から7年間、戦い以外を切り捨てて戦闘マシーンとして、英雄とした生きた芥は、ゆるい鳥取で気持ちを持て余す。 人間らしい感情や常識の無い芥が、色々教えられて新しい自分の在り方を探していく物語になるのだが、その物語は決して一筋縄には描かれない。 普通、可愛い子供や仲間、美しい光景などとの出会いで、人間らしい情緒や愛情を取り戻していきそうなものだが、芥が出会うのは、生意気なガキンチョに、ちょっとズレた感じの女性副隊長・百福。年長の隊員・古賀がツッコみ切れない程の、百福&芥のボケに継ぐボケ。更には生意気なガキンチョの遊びや語彙を、貪欲に吸収する芥。 結果、彼が獲得する新たな感情は、人間らしいと言うより……? 結構真剣な話や、「深いい」話もしつつ、様々なズレと畳みかける細かなボケに含み笑いが止まらない感じは『うたかたダイアログ』と同様。結果なんだか不思議な読後感のこの作品、是非人類と共にグダグダと続いていって欲しい!