人は見た目が100パーセント

ヒト科ジョシモドキによる美の考察

人は見た目が100パーセント 大久保ヒロミ
ゆゆゆ
ゆゆゆ

作者さんの想定通り、漫画で読んで勉強になる。 勉強になるだけでなく、おもしろく読める理由はやっぱり、おしゃれ研究の結果がまるで、自分自身がやったあとの結果を見ているかのようだから。 私だって願わくは、朝の登園時間帯にすれ違ったお子様連れのお母様のように、ばっちり素敵メイク&素敵ファッションをして過ごしてみたい。 子どもがいて、さらにばっちりだなんて、何時から起きているんだろう。 でもあのお母様のようなゆるふわヘアーはボサボサヘアーになるし。ボサボサヘアーといっても、ほんとのボサボサヘアーはそんなレベルじゃないし。 メイクは作中でサラっと書かれていることがわからないし。 シャツインしたら垢抜けるってレベルじゃなくて、幼児のようなシャツ入れすぎよ!状態だし。 もし、同じおもしろTシャツを着ても、私は部屋から出てはいけない服装で、彼女たちはおしゃれなファッションウェアになるんだろう。 どうやっても、あのお母様に近づける気がしない。 作中、内面にいるおじさんらしさがいけない!という話をしていたところで、「そうなんだよねえ、でもこの人を追い出すってどうやるの。根付いて一体化しているよ?」と思いながら読んでしまった。 総務課に属するような性質の人たちは、この漫画をどんな気持ちで読むんだろう。

天体戦士サンレッド 完全版

サンレッドよりもヴァンプ将軍が主役っぽい

天体戦士サンレッド 完全版 くぼたまこと
六文銭
六文銭

アニメ化もされた本作。 タイトルが天体戦士サンレッドとあり、戦隊ものっぽくみえるが全然違います。 どちらかというと、サンレッドの敵であるヴァンプ将軍率いる「フロシャイム」の怪人がメインな作品。 というのも、サンレッドはただヒモであり、彼女からお小遣いをもらってはパチ屋で溶かし、怪人が現れれば理不尽にボコすようなチンピラみたいな存在。 一方で、「フロシャイム」は世界征服を望んでいるわりには、ヴァンプ将軍筆頭に常識人ばかり。 手紙を送って決闘申し込んだり、子供を人質にとったはいいが、夜に塾があるとわかれば親御さんに電話して送る始末。 怪人も、バイトだってする。(どうやって面接通過したのか…) 常識人というよりは、一般庶民っぽい。 ここが面白い。 怪人なのに、隣の住人の騒音に悩まされたり、悩みがほんと小市民っぽくて笑える。 一人暮らし(えてして貧乏っぽい)あるあるも多い。 だから怪人側のほうが親しみやすくて妙に憎めない。 戦隊バトルものを期待していたら残念だが、ギャグ漫画として楽しめる1冊です。 また、気に入った方は、同著者の『GOGO!ぷりん帝国』も、似たようなテイストなのでこちらもおすすめです。

ぽんのみち

なかよし発ガールズ麻雀ストーリー #1巻応援

ぽんのみち 卯花つかさ 春場ねぎ IIS-P
兎来栄寿
兎来栄寿

近年はMリーグの隆盛もあり、1万円近いライブビューイングチケットが即完売となるなど他のプロスポーツにも匹敵する盛り上がりを見せています。『コロコロコミック』が協力して小学生麻雀大会が開かれていることなどもあり、本格的に若い世代に広がりつつある麻雀。 とはいえ、小学生女子がメインターゲットである『なかよし』に麻雀マンガが登場したときは麻雀好きたちにも衝撃が走りました。遂に時代はここまで来たか、と。しかも、キャラクターデザインは『五等分の花嫁』の春場ねぎさん。まんが担当は既に『ごきげんよう、一局いかが?』で美少女×麻雀マンガの実績もある卯花つかささんという、力の入れようがうかがえる布陣。 連載開始時から大いに話題となったこの『ぽんのみち』ですが、『なかよし』最新号では付録として紙の麻雀セットまで付いてきており、これによって数万人の女児たちに麻雀を遊ぶ土壌が生まれるのかと思うと胸が熱くなりました(おじさんたちが大挙して『なかよし』を買っていた様子には目を瞑りながら)。 私自身も麻雀を覚えたのは小学4年生のころで、しかも教わったのは近所の2つ上のお姉さんからだったので、小学生女児でも麻雀は十分楽しめると断言できます。 1月からはアニメも始まり、尾道でも観光協会とコラボしてがっつりと施策を打っているようです。なお、『咲-Saki-』ファンの友人もアニメ放映開始と同時に早速尾道へ聖地巡礼に行っていました。 https://x.com/d_hara_standard/status/1743426031648907377?s=46&t=S5wm4E-TmT39NBg4BgQsPA マンガ版でも尾道の伝統行事なども描かれますが、アニメだと背景描写がより多くなるので巡礼の楽しみも増していくことでしょう。 マンガ版の内容としては、毎回がっつり麻雀をやるわけではなく傍らに麻雀がある女の子たちの日常系ストーリーという色合いが強いです。ガチの麻雀好きからすると物足りなく思えそうですが、『なかよし』でやる作品としてはこれくらいの塩梅がちょうど良いのだろうと思います。 私は麻雀大好きで負けず嫌いなお嬢様、リーチェさんが好きです。ハンドルネームが「リーチェいっぱつ」なのも良いです。 本作を読むだけでも麻雀の基本的なルールは覚えられると思いますし、『咲-Saki-』をきっかけにプロ雀士になった伊達朱里紗さんのような子が本作をきっかけに生まれてくれたら(参考:『朱色のステラ 伊達朱里紗』)それはとっても素敵なことだなと思います。 アニメ放映と併せてもっともっと彼女たちの麻雀のある日々を、見ていたかったなぁと思うのと、敢えて言うならば1冊1000円は子供がお小遣いで買うには少し高いので、なかよしの他の単行本と同じく500円前後で出して欲しかったなぁと。商売の都合は解りながらも。

ギャル弁 ー歌舞伎町の幽霊ー

トー横キッズに優しいギャル弁護士 #1巻応援

ギャル弁 ー歌舞伎町の幽霊ー ヨウイチ 高崎俊(弁護士法人原法律事務所)
兎来栄寿
兎来栄寿

近年は「トー横界隈」が何かと話題になることも多い歌舞伎町。2023年4月には新たなシンボルである東急歌舞伎町タワーが開業し、さまざまなマンガにもその姿が描かれ始めています。 歌舞伎町が舞台の本作でもしっかりと描かれていたのを見たときには、「マンガは時代を映す」という某氏の言葉を思い出しました。 本作の主人公は彼方総合法律事務所で働く、中卒のギャル弁護士れいな。「ギャル弁」はギャルの弁当ではなく、ギャルの弁護士です。彼女が歌舞伎町のアンダーグラウンドを駆け巡り、ちょっと変わった報酬をもらいながらさまざまな事件に関わっていくストーリーとなっています。 第一話から『闇金ウシジマくん』ばりのテンションでアングラの怖さ、痛々しい行為が描かれます。作者のヨウイチさんは新鋭ですが、絵に非常に迫力があります。れいながかわいいだけではなく、この世界で渡り合っていくだけのモノをもっていることを表情で描いているのが良きです。 いろいろな事情を抱えてはいるのですが、れいなは弱きを助ける側。お金の代わりに「捨てるに捨てられない思い出の品物」を報酬としてもらうプロボノ活動をする弁護士という変わった立ち位置にいる人物で、その特殊性だけでも面白いです。 弁護士の監修も受けながら描いていることで、法律周りの部分も精密で知識を得ながら楽しむことができます。近年に実際にある犯罪の手口も描かれていますが、悪用はダメ、絶対。 1巻にはトー横界隈の女の子を助けるお話も登場。パパ活など、まさに今の世相を反映しながらもその中で見せてくれるドラマが王道ながら良いです。庄屋や柏木など脇役も魅力的で、特にれいなと庄屋の関係性は好きです。 しっかりとツボを押さえた作りがなされており、今後も楽しみです。