アタックシンドローム類

想いが濃すぎて原液どばどばなのに後味スッキリ

アタックシンドローム類 吉沢潤一
mampuku
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効果音などを作る「サウンドクリエイター」とアクション漫画としての「喧嘩」が予想外の化学反応を起こす、第一部ともいうべき前半部分。虚構と現実が入り混じりながら詩的にかつ美しく読者を幻惑する。 そして後半部分では、散りばめられた布石を余さず回収しながら、ただただ勧善懲悪でカタルシス満点のストーリーに熱狂させられる。 そしてラスト(エピローグ)で全体の真相が明らかにされる。一本の映画のような、丹念に編み込まれたストーリーだ。 悪を打ち倒しヒーロー気分に酔いしれる主人公にまんまと感情移入させられ、クライマックスを迎えるとそこにはまさかの裏切りが待っている、この読み口は朝井リョウの小説とよく似ている。節々でルサンチマンやシャーデンフロイデを刺激してくる描写が多いがこれもおそらく作者の罠に違いない。 この意地悪なラストへの感じ方は、受け取り手によって様々だろう。無敵の人や弱者の人たちが傾倒してしまいがちな安易で極端な思想や異世界モノのような居心地の良いコンテンツに対して皮肉でもあり、救いへの希望でもあるのだ。 ちなみに各話のサブタイトルには、色々な映画や音楽などの名前がそのままつけられている(『ネヴァーマインド』『タクシードライバー』など)。作中、私が気づいてない小ネタや引用がまだまだあるのかもしれない。いずれ読み返したときには今とは違う読み方ができるのではないかと楽しみだ。

ワンサイドインルーム

陰ある陽キャと恥ずかしがり屋の大学生2人

ワンサイドインルーム みつこ
るる
るる

佐伯くんめっちゃイケメンだし学内でもトップで目立つ陽キャ。というのが彼の印象だけど、その長所が短所かのようにこのせいで拗らせてしまったというか。 みんな彼の印象が好きなだけで中身は見ない、彼本来の性格がその見た目から外れれば離れていく、そんな諦めにも似た感じ、その印象に合わせてさえいれば世の中回るという結論で誰にでも流される。 そんな佐伯くんにいつもと違う視線を向けてきたのが岡くん。 彼は彼で目つきが悪いことでいつも誤解されて生きてきた。分かってくれる人は本当に少数。 それが原因で周りと拗れそうな時に助けてくれたのが佐伯くん。こんな彼だから陽キャの佐伯くんが自分に懐いたのは気まぐれであって飽きたら離れていくと信じて好きな気持ちは隠そうと必死。 そのまま決定的な気持ちを言わないまま、相手に嫌われたくない、この関係を壊したくない、という理由で不安定なままズルズルと続いていくけど 気持ちが溢れてどうしようもなくなった時に関係が破綻。 物理的に離れたことでようやく告白からのスタート。 側から見れば両思いなんだし(村田くんが気づくくらいw)もっと早く気持ち伝えたら良かったのに。 無事に両思いになったら2人とも幸せそうだし笑顔も自然だし良かったなー😻