完結したマンガの感想・レビュー16082件<<341342343344345>>深まる業山月記 二階堂正宏 中島敦starstarstarstarstarひさぴよ数々の古典コミカライズを自己流で手掛けてきた、二階堂正宏先生の山月記。 原作の山月記が好きなので、コレ系の漫画は手に取るようにしてるのですが、把握しているものでは、 ●『柴門ふみ傑作選』 (虎を豚に変えたコメディ。面白いオマージュだけど原作の原型はあまりない) ●『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいのマンガで読む。』 (あっさりと読みやすい。ただ、虎の迫力が足りないなど淡白) ●『草子ブックガイド』 (最上級に良い。けどアーティスト的な自意識が過ぎる部分も) などがあり、いずれも一長一短があるように思います。 しかし本作は、原作を忠実になぞりつつ、李徴が虎になった後の核心部分に独自解釈を加え、物語の業を大きく広げるという離れ業をやってのけており、他作品を上回って素晴らしい完成度であると言えます。 長さはわずか34ページ。価格は660円。商業レーベルの価格帯と比べると、決して安くはありませんが、一読の価値ある作品でした。 暴力的だけど、健全無敵看板娘 佐渡川準名無し※ネタバレを含むクチコミです。庶民的な怪人たちの生活超絶変身!! アースカイザー くぼたまことhysysk『天体戦士サンレッド』の怪人版という感じで、日本(静岡)の生活に馴染みながら世界征服を目論んでいる。基本的に残念なことになる話が多いが、ちょっと泣かせる展開もあったりして油断ならない。何故だか自分の普段の生活をありがたく感じて、お歳暮とか送ろうかなと思えてくる。当時の国民的テレビ番組のパロディは、若い人が読んでも全く意味が分からないだろうな。。上手い・可愛い、だけじゃない、「わかってる」からこその超一流あやかしトライアングル 矢吹健太朗mampukuTSものは守備範囲外なんてすが、Black Catからの矢吹先生ファンとしては読まざるを得ないですよね。 なぜかジャンプのエロコメは同誌のピュアめなラブコメよりもストーリーがしっかりしているなという勝手な偏見があります。矢吹先生のえならたとえ面白くなくても買うんですけどね。 とらぶるの末期頃はさすがに矢吹先生の絵も古くなってきたなと思ったものですが、しっかり調整して違いを見せてくれるあたりさすがというほかありません。矢吹先生と赤松先生は向こう10年は少年誌で戦えそうに見えます コンビニコミックだと完結している慈恩 幕末秘剣 森田信吾starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男この単行本では途中で終わっているが2010年ぐらいに発売したコンビニコミックで完結版が発売されました。謎の剣技「影念流」を使う「慈恩」と敵役である「昴弾蔵」との戦いがメインです。伊庭征西日記の伊庭八郎が脇役で登場したり、「明楽と孫蔵 幕末御庭番」の心法の「山猫まわし」が登場したり森田信吾ファンにはたまらない内容になってるが、ちょっとコピーが気になってしまった... 森田信吾の時代劇アクション漫画がどれも面白い頑張れ伊多ちゃん! 反省しろ巻!!!巻くんはモテるけど恋がヘタ 深澤ねじ天沢聖司※ネタバレを含むクチコミです。無敗の男・朝比奈大吾め組の大吾 曽田正人名無し※ネタバレを含むクチコミです。 いい感じのおバカギャグ漫画いとやんごとなき 小松翔太六文銭バカではなくおバカという表現がぴったりな作品。 殿上人のごとく君臨する学園一の貴人「光暈寺麻呂」は興奮すると股間が光るという、何のこっちゃよくわからない特徴がある。 しかも、どM。 罵られると興奮度MAXで、一周まわって光からブラックホールになるという。 なんという、おバカ設定。 久しぶりに腹抱えて笑ってしまいました。 その高貴さから罵られる経験がなかったからでしょうか。 何より、光暈寺麻呂のこの設定だったら、誰しもスポーツ万能・頭脳明晰キャラだと想像するのに、まさかの学力平均。 真面目なツラして勉強しているのに、まさかのこの平凡さ。 大バカでもない、この微妙な感じ。最高です。 色々狂った学園生活に、今後楽しみな作品です。百合にだけ発揮する能力が目覚めちゃったエスパー百合に挟まれて、エスパー! 鬼龍駿河名無し※ネタバレを含むクチコミです。わたしの初・雁須磨子はこれファミリーレストラン 雁須磨子nyae雁須磨子ってすごい名前だからふざけた漫画を描く人なんだろうと思いながら、表紙の可愛さだけで読んでみたら面白かったという1冊。携帯もパカパカだしそれなりに前の漫画だっていうのはあるんですが、"ファミリー"レストランといいながら実にいろんな人間が入り交じる雑然とした感じはいつ読んでも面白いです。ウエイトレスの子たちもちょっとやさぐれてたり不良っぽかったり、店長は冴えなかったり…。ところどころちょっとエッチなのも想像力を掻き立てられます。"ちょっとエッチ"の程度が上手いんです。 なんか見たことある顔だけど知り合いじゃないし、どこで会ったっけ?と思ったら行きつけの店の店員だったとか、あるあるだなと思って可笑しかったです。 刮目してこれを見よ!度肝抜かれる『五万節』五万節 上野顕太郎名無しすごくかっこいいタイトルだけど、一体どういう内容なのか見当が付かないぞ…と思いつつ読んでみたらマジで度肝抜かれたし、あとがきの「打ち合わせは5分、製作半年。」というコメントを読んで震えました。この2ページを読む為に1冊買う価値があると断言してもよいでしょう。他にもデビュー作や新人賞入選作も収録されてましたが、個人的には「まゆみちゃん的日常」が好きでした。睡眠で、人は変われるの?ねるじょし 酉川宇宙あうしぃ@カワイイマンガ女子高生は日々「安眠」を求めて努力を重ねる。その目的は……バストアップ!?バストが「エボる(evolutionする)」のを目指す主人公だが、何処か努力が明後日な気が……。 そんな彼女、学校では容姿端麗・成績優秀・完璧なお嬢様キャラ。どんなストレスも、良質な睡眠のおかげで華麗にスルー!一晩寝れば面倒な事もどうでも良くなる。睡眠が身体の健康だけでなく、美容や心の健康にも良いという事が主人公の余裕に現れていて、納得。 学校でのお嬢様キャラと裏腹な、家での主人公の姿は落差がカワイイ。しかし学校ではキャラを作りすぎて、友人のいない主人公。近寄ってくるのはちょっと極端な人。また中学時代の因縁の相手との関わり方など、かなり変な人間関係は妙に読み応えがある。またニート兄へのツンデレは、エモいレベルに。 人間の心身の成長には、規則正しい生活が大切である事を、睡眠Tipsと共に学べる作品。私も睡眠、頑張ろう……。深淵の闇に潜って光るダークヒーロークロコーチ コウノコウジ リチャード・ウーstarstarstarstarstarさいろくダークヒーローにハマって早数ヶ月、「警部補ダイマジン」を読んでてこいつを思い出した(実際シルエットだけ出てくるんですが) クロコーチはダイマジンと比べると演技派で、頭の回転も更に早く、ブサイクでエゲツなくて憎めない悪の警部補であった。ダイマジンも好きだけどクロコーチもよかった。 よく出来た壮大な刑事ドラマを見ているような気持ちになれる素晴らしい作品。 美術館の隅っこに座ってる“あの人”のお仕事ミュージアムの女 宇佐江みつこnyaeマイページのおすすめに出てきてなんとなく気になったので読んでみました。 美術館で働く全ての人のことを学芸員と呼ぶんじゃないんですね。私には青森県立美術館に勤めている友人がいるんですが、彼女も「自分は学芸員ではない」と言っていたのを思い出しました。 美術館やアートギャラリーには年に数回は行く方ですけど、客から職員へと目線が変わるだけでこんなに見えるものが違うんだと感動です。あとなんとなく、話しかけていいのかよく分からない存在だったんですが、大きな声だったり長時間でなければ大丈夫なんですね。 この漫画は岐阜県美術館を舞台に描かれてるので、今いちばん行きたい美術館は岐阜県美術館になりました。ルドン。ハードボイルドな帽子男の逃亡ギャグ漫画帽子男 上野顕太郎名無し榎本俊二先生の激アツ帯コメントに惹かれて読んでみました。太字になっていたところを引用させて頂くと「90年代ギャグ漫画の最重要作品。」だそうです。目薬をさす、自動販売機でアイスコーヒーを買う、歯医者に行く、そういう何てことない事がギャグになるのもすごいですが、ギャグに対して画面の描き込み量がえげつないです。それがハードボイルドな帽子男の性格とも合っているので、さらに笑いを誘います。ギャグ漫画家って実は真面目なんだよ、だから狂ってる(面白いものを描けるんだ)とよく言われますが、これを読むとその説は本当かもしれないと思いました。普通のOL4コマと思いきや・・・?オフィスのざしきわらし 小坂俊史starstarstarstarstarひさぴよ4コマ王子こと小坂俊史先生による、普通そうで普通じゃないOL4コマ。 中途入社の主人公・志咲笑子(しざきえみこ)は転職元の会社がことごとく倒産することから「座敷わらし」の異名を持つOL。しかし、この座敷わらし設定は即座に捨て去られ、タイトルの意味はどこへやら、日々の仕事を”いかにサボるか”に話が変わっていきます。 ヒロインの体型も徐々に変化し、最初は気のせいかと思いましたが、どんどん太っていきます…ドラえもんの逆バージョンみたいな感じでしょうか。 そして、サボっていた仕事も次第にそこそこ出来るようになり、普通のOLへと変わるのですが…。これだけ話に変化がありながら4コマ漫画としての面白さは一貫して変わらないのです。普通のOLマンガを目指そうとした結果、普通じゃない漫画になってしまった感じがします。脇を固める同僚たちもおかしな人材ばかりで読んでいて飽きません。作者コメントで「会社勤めの経験が一度もない」というのは驚き。オフィスのあるあるネタは本当に共感できるものが多いかったので。 連載時期が2010年〜2011年頃という事で、リーマンショック後の時期のはずなんですけど、不況を感じさせない、ほのぼのと明るい気分にさせてくれる漫画です。 有名なおにぎり選手権は面白さの一つにしかすぎない一本包丁満太郎 ビッグ錠starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男一本包丁満太郎と言うと日本一のおにぎり師を決定する「全日本おにぎり選手権」が有名でその他の部分にはあまり触れられることがないがその他の部分に本当の面白さ、ビッグ錠らしさが詰まっていると思っています。 確かにおにぎり師のインパクトは強いし、おにぎり師という職業、各おにぎり師の作るおにぎりもものすごいものもあるが俺は、「お好み女王」を強く推します。 話の流れとしては、主人公とお好み姫とお好み焼きを空中で投げ合って鰹節を奪い合う名勝負の途中に宙を舞うお好み焼きに焼きそばを載せるシーンからと登場します。お好み女王は鉄板の入ったカツラを使用して頭の上でお好み焼きを焼くのだがそのにも重要な美味しさへの秘密などを説明してものすごいインパクトを残す。このインパクトはおにぎり師も上だと思います。 ほかにも「すきやき男爵」や「しのびすき」や城の天守閣で桂むきをしたりと色々面白いシーンがあるので、おにぎり選手権だけの漫画だとは思わないでほしいそれをメルヘンと呼ぼうふわふわ三昧 猫十字社野愛幼い頃にファンシーショップ(という概念)で見たような、おばあちゃんが持ってた刺繍の本に描いてあったような、なんとも古くさくて幻想的です。ノスタルジーを呼び起こすような、誰もが懐かしく思う世界観が広がります。 登場する動物たちはとても愛らしいのですが、どんくさかったりお喋りすぎたりちょっと意地悪だったりどこか一癖あるのがまた魅力的です。ファンタジックな世界観でひたすら所帯染みたことをやるのが、かわいくてちょっと滑稽で心癒されます。宮沢賢治的と言えなくもないかもしれません。 幻想的なのに誰もが懐かしくなるような原風景が描かれた作品です。あるはずのない、野うさぎだった頃の記憶が蘇ります。"いいとし"をした息子と父、ふたり暮らし始めました。いいとしを オカヤイヅミ名無しカドブンという、文芸WEBマガジンで連載が始まったという本作。 母が亡くなったのをきっかけに、42歳の息子と無口な父が始めるふたり暮らし記だそうです。 42歳独身、いまや珍しくもない存在だけど会社からはシビアな扱いをされてしまう世知辛い世の中、おまけに彼女にもフラれてしまいました。。 これからどうなるのか漠然とした不安のなかで、実家で見つけたのはなんと“札束”…!?という最後にびっくりな1話でした。 獣人とヤクザの娘との主従関係お嬢と七匹の犬 岩飛猫さいろく獣人との主従契約が非常にシンプルで、人間に悪用されてしまっている感がある獣人達。 設定の細かいところや矛盾しそうなところは無粋なのでツッコまないでおくとして、とてもいい世界だなーと犬好きとしては思うのでした。そいね屋本舗と同じような感じ! ヤクザさんが主体だけどお嬢のウブなところや組長(父)のシンプルでストロングなところがいいギャグテイストを生んでいると同時に、獣人たちのキャラ付けも可愛くて良いなぁと思うので犬好きさんは読んでおくとよいです。 ※犬獣人が出てくるだけで犬は出てきません働きたくない思いを戦う力に変えて高機動無職ニーテンベルグ 青木ハヤトANAGUMA「働かずに食べるメシはうまいかっ!!N.E.E.T.ッ!!」「美味しいですよ!!」 ロボット作品の開闢以来、戦闘中のコックピットで発されたセリフの中でも相当上位の切れ味を誇るのではないでしょうか。せめて少し迷ってほしい。 開幕のこのセリフが象徴するように、本作は働くことと働かないことをめぐり、命懸けで戦うパイロットたちの姿が描かれます。 主人公の不動遊(無職)はひょんなことからデスマーチ軍に抗う存在、無職同盟(リガ・ジョブレス)に加入し、黒い人型兵器(ワークマン)・ニーテンベルグに搭乗。彼の「働きたくない」思いとともに、世界の命運をかけた社畜と無職の戦いが幕を開けるのでした。全部マジです。 ロボットもののテンプレートに乗せて一貫して働く者と働かざる者の対比が描かれるのが最高に笑えるポイントです。 レジスタンスに加入してもぐだぐだしている遊に比べて、ライバルのワーカ・ホリック大佐が社会人としてまともに見えるのも読んでいてじわじわくるところ。本当に倒すべき敵なのか彼らは…? イカれた設定が繰り広げられる中でメカの作画やバトル描写はすごくカッコイイのが更に面白い。ちゃんと機体のパワーアップとかもあってロボットものの楽しさも味わえますし、物語自体は王道の熱さを備えているのがすごいです。 ガンダムのパロネタ(※超秀逸)だけではない「自由を求めて戦う」という重厚なテーゼが奥底に織り込まれているのが本作の魅力なんでしょうね。実際には労働から逃げているわけですが。 働きたくね〜と思った時に読むと元気が出るのでおすすめです!感性を刺激する暗さあの人は血を求めてしまう 浦部はいむstarstarstarstarstarウマタロ※ネタバレを含むクチコミです。 中年リーマンと彼の娘の女友達との危険な恋娘の友達 萩原あさ美名無しモーニングに掲載されているのをたまたま見かけたのをきっかけに読み始めました。 居場所がなく、逃げ出したいと思っているという共通点を持つ2人が、徐々に惹かれ合っていくところが面白いと思いました。全くタイプが違う二人の命がけの恋愛MARS 惣領冬実名無し※ネタバレを含むクチコミです。<<341342343344345>>
数々の古典コミカライズを自己流で手掛けてきた、二階堂正宏先生の山月記。 原作の山月記が好きなので、コレ系の漫画は手に取るようにしてるのですが、把握しているものでは、 ●『柴門ふみ傑作選』 (虎を豚に変えたコメディ。面白いオマージュだけど原作の原型はあまりない) ●『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいのマンガで読む。』 (あっさりと読みやすい。ただ、虎の迫力が足りないなど淡白) ●『草子ブックガイド』 (最上級に良い。けどアーティスト的な自意識が過ぎる部分も) などがあり、いずれも一長一短があるように思います。 しかし本作は、原作を忠実になぞりつつ、李徴が虎になった後の核心部分に独自解釈を加え、物語の業を大きく広げるという離れ業をやってのけており、他作品を上回って素晴らしい完成度であると言えます。 長さはわずか34ページ。価格は660円。商業レーベルの価格帯と比べると、決して安くはありませんが、一読の価値ある作品でした。