きみとピコピコ

非実在オタクに優しくてゲーム大好きなギャル #1巻応援

きみとピコピコ ゆずチリ
兎来栄寿
兎来栄寿

男性は基本的に家族や恋人など相手に関わらず連絡を取りたがらないが、一緒にゲームをプレイするための連絡であれば話は別であるというツイートがバズっていました。百理あると思います。 しかもその相手がレトロゲームも含めてゲーム大好きのオタクに優しいギャルとあっては、抗える男子はいないのではないでしょうか。 本作は、ゲーム部を舞台としたラブコメ作品となっています。とにかく、ヒロインのギャルである鬼咲アゲハちゃんが非常にアクティブかつ健康的で魅力的です。そう、健康的なのです。はなまる大幼稚園児ぐらい健康はなまる優良児です。 『ぷよぷよ』や『Pop′nツインビー』などは実名で出てきつつ、『どうぶつの街』や『Code of Dandy』など版権の関係で実名は出せないであろう有名作品も多々登場。好きな子と『Pop′nツインビー』の協力プレイとか誰もが憧れたシチュエーションですね。 また、サブキャラである先輩の倉屋敷鶴さんもとてもとても可愛く、ラブがコメる要素も豊富に含有しています。 『ハイスコアガール』であれだけ羨ましい話を描いていた押切蓮介さんをして「(羨まし過ぎて)舌を噛みきりたくなってきたぜ!」と言わしめるこうかばつぐんの破壊力。ご堪能あれ。

星の子どもたち 三星たま短編集

清新な才気がきらきら光る短編集 #1巻応援

星の子どもたち 三星たま短編集 三星たま
兎来栄寿
兎来栄寿

ハルタコミックグランプリ受賞作品である「星の影」を始めとする、新鋭・三星たまさんの8作品を収録した短編集です。 「ひなた家」 「スター・ドリーマー」 「学生ランダ」 「青春フィート」 「魔法使いと弟子」 「星の影」 「涙に隠す」 「ゼラニウムの影」 と、タイトルを並べるだけでも何となく作風が見えてくるのではないでしょうか。ファンタジックなお話が多く、そしてどの作品にもきらきらと星が飛ぶように感情が弾けるシーンがあります。 とにかく三星たまさんの絵が可愛いのが最大の美点で、ペンネームのデザインすら流れ星を模していて可愛く、優しい雰囲気もあいまって読むとぽわぽわと宙に浮かぶような気持ちになれます。 個人的には「スター・ドリーマー」の社会で負った疲れが癒されるところ、「学生ランダ」での熱い学ラン語り、「青春フィート」のコンテンツで結ばれた甘酸っぱい関係性、「星の影」のヒロインのエグいほどの可愛さなどが好みです。 余談ですが、紙版の装丁がとても良いです。デザインも含めて絵の可愛さを何倍にも増幅させる、とても良いお仕事です。ハルタ系の作品はアンケートハガキもかわいいので、紙で揃えたくなりますね。 気に入った方は同時発売の連載作『夜の名前を呼んで』もぜひ。

ドゥルアンキ

最後の神造種 美しい子ウスムガル

ドゥルアンキ 三浦建太郎 スタジオ我画
名無し

性別もなければ、人間でも精霊でも神でもない。けれど英知に富み誰もが心をとらわれる美しさを持つ子供・ウスムガル。 生まれてまもなく“聖地”と呼ばれる場所へ送られ、人間に育てられる。同世代の人間の子どもたちとの関わりの中で自分と他人との違いに複雑な思いもあるが、人間にはできない“神との対話”をしながらたくましく成長している。 主人公・ウスムガル以外にも魅力的なキャラクターが出てくる。 ウスムガルを育てた夫婦が飼う犬・フワワ。いわゆるパトラッシュ的な、大きく名前の通りふわふわでとても賢い。 ウスムガルとよく一緒にいる、半獣神的なパンという子ども。このキャラはどこで生まれてどうして人間の世界で普通に生きているのかは謎。 そもそもウスムガルを生み出した神さまたちも、ウスムガルを愛でる姿が本当の親のようで微笑ましい。 2話目に出てくるタセ村のキルタを始めとした子どもたち。狩りのための石弓をウスムガルに頼んで作ってもらったことで仲良くなる。 ウスムガルの家のかまどに住む精霊?自称・かまどのお姉さん。 生まれた時には「美しさで数多の者の運命を翻弄する」と言われていたウスムガルが紡ぐ新な神話。この新連載は絶対面白い!

ゼロイン

こういうのでいいんだよ #完結応援

ゼロイン いのうえ空
ANAGUMA
ANAGUMA

ガン=カタが嫌いな人って世界にいるんですかね、いないとおもうんですけど…。そんなわけで映画『リベリオン』の興収成績は置いておくとしてもこのマンガは極論全世界の人がハマっておかしくない作品なわけです。わたしはそうおもいます。 https://youtu.be/LqQJOr4Rx5k 本作の舞台は凶悪犯罪が増加した日本で、警察業務は「民警」と呼ばれる民間業者に委託されるようになっています。PMCみたいな感じ。 女子高生爲妹みくるはコマンド・ゼロ(コっ…コマンド・ゼロ…!!)と呼ばれる射撃を用いた近接格闘術を修めた民警のエージェントで、同級生の主人公白石光は彼女に命を救われて…という前置きはほどほどに。 「日本を舞台に銃を撃ちまくる美少女たちのガンアクションが出来るぞ!!」というのが本作の勘所。こまけぇこたぁいいんだよ! 銃器や車、バイクのリアルかつ画面映えするアクション、緻密な背景描写とスピード感ある格闘シーンなど画面のカロリーがとにかく高くて「今俺はいいアクション漫画を読んでいる…」という充実感が味わえます。 民警をめぐる人間模様もボリュームがあって海外の警察ドラマみたいな雰囲気が漂ってるのが好き。いのうえ先生のキャラ皆かわいいです。 ゼロ距離ガンアクションが読みたければこれです!!

Theかぼちゃワイン

完璧な「男のツンデレ」と大天使エルちゃん!【1巻の感想】

Theかぼちゃワイン 三浦みつる
たか
たか

いつか読みたいと思っていた身長差ラブコメの名作『Theかぼちゃワイン』。1話を読んでまず思ったのが、春助のツンデレが完璧すぎるということ…! 「思春期特有の恥ずかしさから毎回エルちゃんからの厚意を無碍にするけど、本当にエルちゃんを傷つけてしまう前に手のひらを返して素直になる」という絶妙なバランス感覚が見事。 ツンデレキャラは下手したら「はあ?何だこいつマジ何様だよ…」となってしまいがちだけど、全く読んでいて嫌な気持ちにならなかったのがすごい。 春助がまだまだ女子になびくのはダサいと思っているお子様であり(=情状酌量の余地がある)、エルちゃんが太平洋より広い包容力を持っている(=そう簡単に傷つかない)おかげで安心して見ていられるのかも。 とにかくエルちゃんがビジュアル的、内面的に最高すぎて読みながらずっと心のなかで「バブゥ〜〜〜〜」と唱えていました。エルちゃそ〜〜〜〜!! 世界一かわいいよ! あっという間に1巻読み終わってしまって続きがメチャクチャ気になる。 ▼以下、1巻で面白かった&好きだったとこ ・開幕早々「サンシャイン学園」というネーミングで何故かツボって笑ってしまった ・超古典的ツンデレセリフをマジのガチで言ってて感動 >「い いいか 勘違いすんなよ! 別にお前が心配だから きたんじゃねえぞ」 ・かっこいいで喩えに出てくる芸能人が小林旭なの流石に古い ・ズタズタになったマフラーを見て何も言わずに静かに傷つくエルちゃん。しかし春助が喧嘩したとわかるやいなやソッコーで怪我の心配をする…あまりにも大天使 ・自分史上、笹寿司以来の最高の敵役・テッキン。シンプルかつどストレートに嫌なヤツで好きすぎる!! ・お勉強も得意なエルちゃそ素敵すぎる…… ・テスト撒くとこで「女王の教室じゃん!!」と興奮してしまった ・ネクタイで生徒とチェーンデスマッチするテッキンさん最高の極み ・「レッツゴー♡ ファイトファイト♡」と、あるはずのないハートが見えてしまいそうなぐらいかわいいエルちゃその応援たまらん… ・テッキン、カスみたいな教師のくせに発育の良い女子生徒のパンチラをみたくてしょうがないところも最高にクソで愛せる ・団長といいテッキンといい負けたら潔いとこがすごくいい ・ボンネットとフロントガラス破壊されて「ジワア」ってなってるテッキンの顔良すぎる ・電話で中学生の息子に「愛してるわよ!」と言う母と、そんな母からの頼み事をしぶしぶ聞く息子という関係があまりにも理想的すぎる。こういう家庭環境からも春助は素直じゃないだけで性根はいい子だというのが伝わってきて好き ・容姿差別と地方差別のWパンチみたいなキャラが出てきて時代を感じた ・パンツ履いてるときはパンチラさせるけどノーパンのときは一切見せないという倫理観好き。普通にドキドキしました ・「学寮祭」の扉絵に描かれたのはゴジラなのかTレックスなのか… (▼『Theかぼちゃワイン』三浦みつる 1巻より。最の高)

錬金術無人島サヴァイブ

サバイバルに錬金術が加わることでさらに面白く! #1巻応援

錬金術無人島サヴァイブ 保志レンジ 伊口紺
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

敵国の捕虜と、料理人と錬金術師が力を合わせて無人島サバイバル! https://comic-days.com/episode/3269632237329614255 軍の飛空艇が被弾し無人島に墜落。 生きていたのは、錬金術師と料理人、そして乗せていた敵国の捕虜の3人だけだった。 ここで料理人のジンは3人で協力して無人島をサバイバルすることを提案するが、錬金術師のニコは、敵国の兵士タクミと協力するのには抵抗感があり…。 「ファンタジー×サバイバル」という切り口ってたまにあることはあるんですが、焦点が違うところに定まってて、この漫画みたいなテーマではないんですよね。 よくあるものだと異世界ものが多いんですけど、結局魔法が使えたり、食材を簡単に用意できたりで、要はリアリティの線引きがかなりファンタジー側に寄ってるんですね。 それが悪いわけじゃなく、それはそれで気軽で楽しいです。 そして、この『錬金術無人島サヴァイブ』ですが、かなりリアル寄りのサバイバルの話で、そこにスパイスとして錬金術というファンタジーが乗っている。 さらに言えば、無人島でサバイバルの素人が生き抜くために「錬金術」という要素が生死を左右するポイントでもある、というのがポイント。 世界観は、「錬金術」がある以外は、食材や素材なども我々の現実と近いところにあるのでファンタジー要素は少なめです。 この作品でいう「錬金術」がどういったものかというと、すでにある素材の「分解」→成分の「抽出」→想定した物の「形成」という手順で実行される。 なので、無から有を生み出せるわけでもなく、素材に対する知識や形成するもののイメージがはっきりしていないと上手くいかない。 この作品内で上手いなというのが、それぞれの職業や関係性や能力の描き方。 例えば、錬金術師のニコは能力はあるけど、「形成」のイメージがあやふやで上手くいかない。 敵国の捕虜のタクミは、大工だったので設計図を書ける。 設計図を見て、明確なイメージがあれば、今まで上手くいかなかったニコの「形成」が上手くいく。 そして工具ができたらタクミによるDIYが炸裂する! でもニコとしては、非常事態とはいえ、自分の家族を爆撃で殺した敵国のパイロットと協力するなんて、という葛藤あるわけです。 そこを誰にでも平等な料理人のジンが二人を繋げたりしますし、食と医療が近いのもジンはかなり重要なポイントですよね。 錬金術もニコの能力による制限があって、ある程度より質量が大きいものは無理だったり、やはり何でもありじゃないのがいいんですよねー。 大きいものもできたら船作れちゃいますもんね。 そんな様々な事情が絡み合って、いろいろなものをDIYしながらサバイバルが進んでいくのです。 単純に面白い! これからも楽しみにしてます!

ボーダレスネーム

"夢"も"現実"もしっかり見つめて #1巻応援

ボーダレスネーム 谷中分室
sogor25
sogor25

広告代理店で働く31歳の女性・片山津亜生(かたやまづ あお)は、かつてはマンガ家になることを夢見ていたのですが、ある出来事からその夢を諦め、就職してキャリアを重ねるうちに、仕事を"上手くやる"ことを覚え、忙しくも平穏な日々を過ごしていました。 そんなある日、マンガ雑誌の50周年の広告の仕事を依頼されたことで、彼女が"マンガを描くこと"への思いを再燃させる、という物語です。 かつて諦めた夢を再び追い始めるという物語ではあるんですが、この作品は主人公の亜生が夢に一直線に邁進するのではなく、仕事を続けながら少しずつマンガを描き始めるという形で物語が進みます。 そのため、彼女が仕事に対して向き合っていく姿と諦めていたマンガに対して再び向き合おうとする姿、異なる2つの熱量の両方を1つの物語の中で描いている作品であり、今夢を追っている人、仕事を頑張っている人、どちらにも刺さる内容になっています。 この作品はどちらかといえば女性向けの作品として描かれてるように思うのですが、連載されているのが集英社のジャンプ+で、そういう意味ではジャンプ本誌のキーワードである「友情・努力・勝利」をそのまま引き継いで描いている作品のように感じました。 1巻まで読了

君の大声を聞いたことがない

ジャケ買い大当たり!

君の大声を聞いたことがない くれよんカンパニー
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

1巻にして傑作の匂いがプンプンする! 生まれてこの方ずっと日陰を歩んできたような地味な女性が、30歳の誕生日に芝居のチケットを買わされ初めて観劇したことで、舞台上のキラキラ華やいだ世界に想いを馳せ、人生に光が差し始める。 「まぶしい・・・。 私も・・・私も、舞台に立ちたい! 私も、キラキラしたい!」 出てくるキャラクターが全員一面的でなく、ほどよく癖があって場面によっては良くも働き、ときとして悪くも映る。 かわいくて派手で嫌味なようで、実は素直でとても姉想いの妹。 娘の幸せを願ういい親であるようで、偏見まみれで視野狭窄的かつ前時代的な母。 他人を見た目で判断し、下に見ることで安心を得ようとする職場の同僚たち。 おじさんになるまで芝居の夢を追い続け、他人の心にズカズカ踏み込む押しが強い売れない舞台俳優。 絶世のかわいさでちやほやされ、地味なものに何の価値も感じなかった人気女優。 ただ悪いだけの人は登場しないし、同じように全くの善人もいない。 世の中、はっきり白黒つけられることの方が少ない。 とにかく人をすごくよく見て描かれているなと思わされる。 30歳にして初めて一歩踏み出し、ゆるやかに青春が始まっていく様がたまらなくワクワクするし、まだ何者にも染まっていないピュアすぎる主人公に「頑張れー」ってエールを送りたくなる。 一話のラストなんて最高だ。 ストーリーの進行具合にもよるだろうけど、すぐにでもドラマ化してもおかしくなさそう。 描写力がずば抜けて良くて、デフォルメされたかわいい絵でも感情がしっかり伝わってくるから、心の声がほとんどないにも関わらず何を考えているか手に取るように分かる。 ビッグコミックオリジナル2018年第17号に載っていた同作者の読切「特別読切『初恋』」も素晴らしかった。 早く2巻出てくれないかなー!