マイ・リグレット

後悔の先へ歩み始める彼らの物語

マイ・リグレット 砂糖野しおん
兎来栄寿
兎来栄寿

皆さんは人生において「何であんなことを言ってしまったんだろう」「あのとき、もしも違う行動を取っていれば」といった強い後悔はあるでしょうか。 私は大いにあります。何なら時々、色々と思い返して苦鳴を上げてしまうタイプです。人間には折角「忘却」という便利な機能が付いているのに、忘れられないことばかりです。 ただ、人生とはそうした後悔の連続で作られるもの。後悔があるからこそ、未来へ向けて推進する力が湧くし成長もできるという面もあります。 この作品は、そんな個々人の過去の苦い後悔を想起させてくるような内容です。 スリ・恐喝・ギャンブルなどを日常茶飯事とする不良少年の主人公は、無料でご飯を食べさせてくれる老人が営む店を知りそこに通うようになります。 その老人には、非常に頭脳明晰でありながら他者との関わり合いが上手くできずに引きこもりになってしまった孫がいました。 不良の主人公と、元・優等生の老人の孫。まったくタイプの違うふたりであるが故に、そこに物語が生まれていきます。そして、彼らの行動原理となるのは、まさにタイトル通りそれぞれの「後悔」です。 後悔は前述の通り、人生における通過儀礼のような側面もありますがそれでも相応の痛みは伴うもの。そんなところに 「お前もあの子らも みんな何かが足りてないんだよ でも それでも生きていかなきゃだろ?」 という、人生の先達である老人の言葉が非常に沁みます。 最初はインモラルな主人公に感情移入しにくいかもしれませんが、1冊を読み終える頃にはそれも変わっているかもしれません。

まんが道

足塚茂道(満才茂道)先生の自伝的青春群像まんが!!!

まんが道 藤子不二雄(A)
酒チャビン
酒チャビン

かなり有名な作品で、レビューもたくさんされてますし、もはやわたしが付け加えることはありません。ここをみてるということは既に読み終わった方か、読もうかどうか迷ってる方だと思いますが、もし後者ならここを読んでるくらいなら、迷わずすぐ買ったほうがいいと思います!!!!!我らが手塚治虫先生も多数出場されてます!!! ちなみに、「青春日記」という当時のA先生の日記が載っているのと、あと作中作みたいな感じで当時の作品が大量にかつほぼ全編載ってたりするので(一部は書き直しされてるようです)、それもものすごくタメになります。 1957年作品の段階で、タッチはほぼ手塚先生なので、ここからどうやって藤子節ができてくるのかがすごく気になります! 一応登場作品リストまとめておきます。 ■作中作のような感じで登場するマンガリスト ・天使の玉ちゃん(2巻)毎日小学生新聞 ・小さな拳銃王(2巻) ・宝島(2巻) ・拳銃魔(5巻)激河大介の作品 ・UTOPIA(6巻、7巻)単行本 ・西部のどこかで(8巻)少年少女冒険王 1952年12月号 ・三人きょうだいとにんげん砲弾(9巻)漫画王 1952年12月号ふろく ・四万年漂流(10巻、11巻)少年少女冒険王 1953年02月号 - 07月号 ・白魔きたる!!(12巻)少年 1959年 ・旋風都市(12巻)おもしろブック 1953年夏休み増刊号 ・役に立たなかった目覚まし時計(13巻)漫画少年 1955年 ・海抜六千米の恐怖(14巻)漫画少年 1954年06月号 ・かくてシャシンはうつされる(14巻) ・光にあたれ陽にあたれ(14巻)漫画少年 1955年06月号-10月号 ・ぼくの暑中お見舞アルバム(14巻)漫画少年 1955年 ・南部戦線異常あり(15巻)漫画少年 1954年 ・ライオンとこじか(15巻)講談社の漫画絵本 38 ・コンクリートの密林(15巻)少年クラブ 1955年 ・漫画図鑑 植物編(15巻)漫画少年 ・漫画図鑑 虫編(15巻)漫画少年 ・砂漠の牙(16巻)漫画少年 1954年 ・海底人間メバル(17巻、20巻、21巻)ぼくら 1955年01月創刊号 - 04月号 ・漫画図鑑 スポーツ編(17巻)漫画少年 ・熱血絵物語 英雄暁に死す(17巻)漫画少年 1955年 ・銭無平太捕物帳(17巻)漫画少年 1955年 ・チビわかまる(17巻、18巻)小学三年生 1957年4月号ふろく ・とんぐりくん(18巻、20巻)漫画王 1954年 ・バラとゆびわ(18巻、19巻)少女クラブ 1955年お正月増刊号ふろく ・よるの王子さま(20巻、21巻)二年ブック 1955年04月号 - 06月号 ・世界とたたかう少年(20巻)三年ブック 1955年 ・鉄拳の怒り(20巻)漫画少年1955年 ・ゆりかちゃん(21巻)少女 1954年12月号 - 1955年10月号 ・漫画図鑑 さかな編(21巻)漫画少年 ・漫画図鑑 のりもの編(21巻)漫画少年 ・史劇絵物語 十字架上の英雄(22巻)漫画少年 1954年11月号 ・巌窟王(22巻)漫画少年 1955年 ・ある日本人留学生からのローマ便り(22巻)漫画少年 1954年11月号 ・ゼンダ城の虜(23巻)三年ブック 1954年 ・愛読者クイズ大会(23巻)ぼくら ・宇宙少年団(24巻)ぼくら 1956年 ・シラノ・ザ・キッド(24巻)たのしい四年生 1962年 ・雲の中のミカド(24巻)少女 1957年03月号付録 ・ロケットくん(25巻)ぼくら 1956年(宇宙少年団からタイトル変更) ・ユリシーズ(25巻)たのしい三年生 1957年06月付録

かみさまの贖罪

かみさまの為なら人を殺せるのか

かみさまの贖罪 大塚素
Nano
Nano

サイコミで始まった新連載。 ブラック会社で働くも毎日怒鳴られ、苦痛な日々を送る主人公佐藤。ある日、松明という名のSNSアカウントを見つけ、彼のつぶやきに救われながらも社畜生活を続ける。しかしクビを言い渡され父にも怒られ、ついに生きる理由を失ってしまう。松明に遺書まがいのDMを送ってはオーバードーズでもしてもう死んでしまおうかと考えるが、松明からの返信は「会いたいです」という思いがけないものだった。 社畜の描写が結構キツイかもしれませんが、だからこそ胸に響きます。佐藤みたいな人、いっぱいいるよなあ。 松明から初めて返信が来た時の、雨が止んで朝日が差すシーンがたまらなく好きです。佐藤にとって松明からの返信は、まさしく光だったんだなと思いました。 松明の言葉や容姿の雰囲気、1話のあの「手伝って」のシーン。全体通して暗いのに、どこか甘美で綺麗だと思ってしまった。 2話の「神様みたいな人だ」と松明に対して思う佐藤も、すごいなあと純粋に感心した。そういう観点を持つ佐藤、真面目で本当に良い人なんだろうな。 3話のスピード感も最高です。この2人がどんな結末を迎えるのか、しっかり最後まで追いたい。