青年マンガの感想・レビュー15442件<<640641642643644>>SFヒューマンドラマでは外せない名作 プラネテス 幸村誠猫あるく毎日の生活の中で悩んでいる恋や夢などミクロの問題と宇宙規模のマクロの問題を同時に展開しているのに少しも渋滞せずに読ませる脚本とパワーがある。そして読み進むうちにその二つは意外と近いことなのかなと考えてなんだか少し心が軽くなった気がした。少し青臭くてストレートな表現が多いけど、SF的な複雑さでテンポを悪くする事が無く全4巻だけど、まったく短く感じない内容の濃さがすごい。 カフェでJ-POPのボサノヴァカバーが流れるたびに思い出すカフェでよくかかっているJーPOPのボサノヴァカバーを歌う女の一生 渋谷直角渋谷系の生き残りこれ出版される前に作家から直接買ったやつ持ってるけど、内容もっとひどい。全員くたばった方がいい全員くたばれ!大学生 サレンダー橋本hysysk偏差値、大学ランキング、知名度、就職のしやすさ、モテ、有名人の輩出数…およそ研究という大学本来の価値とは別の部分で日々比べられ、価値観を押し付けられてたらそりゃ悩むよなと思う。 この作品で出てくる話題もほとんどは学業以外のサークルだったりバイトだったり就活だったりで、こんなことに悩んでる時点でくたばった方がいいのだが、ある意味ではこの世代の特権とも言える。実際こういう悩みを持ったことがある人間の方が分かり合える気がする。 私もまだこういう自意識があってゴダールとか観れない。 家族の形弟の夫 田亀源五郎starstarstarstarstar干し芋父子家庭の弥一と夏菜の元に、カナダから弥一の双子の弟の涼二と結婚したマイクが訪ねてくる。 弥一は、マイクが夏菜に親戚のおじさんと自己紹介したことに違和感を感じる。それは、涼二から以前にゲイだと告白されていた時から心のどこかに引っ掛かりを感じ、カナダに行ってしまった弟と疎遠になったことの原因でもある。 しかし、3週間マイクとの生活を続けていく中で、周りの声や反応、日本でのゲイという存在に対する見えない差別を感じ、自分自身も同じく差別していたことに気付く。 娘の夏菜は、友達にカナダ人のおじさんがいることを自慢し紹介したいが、友人の家族が悪影響を及ぼすという理由でドタキャンされる。 子どもの素直な感覚と、大人の世間体を気にする感覚のズレも、よく描かれている。 ゲイの人への差別、カミングアウトのタイミング、大人のいらない噂話、まだまだ見えないところではびこっている社会に、人間としての家族としての大切なものを教えてくれるとても素敵な作品です。 美しい薔薇とお嬢様の歪な関係にどうにかなってしまいそう #読切応援薔薇色の被写体 朝賀庵天沢聖司※ネタバレを含むクチコミです。漫画ならでは力を持った記憶の伝承激濤 マグニチュード7.7 矢口高雄hysysk矢口先生が災害を元にして描いたものとしては、三毛別羆事件の『羆風』が有名だと思うが、こちらも壮絶だった。 当時の新聞や写真、聞き取りによる実体験に脚色を加えたドキュメンタリーになっており、単に分かりやすいとか読みやすいというだけでない、語り手としての力を持った作品になっている。死して後も残る価値を、この世に刻め『シュトヘル』シュトヘル 伊藤悠兎来栄寿『シュトヘル』は、自分が何の為に生きて闘うかを強烈に問うて来る作品です。 人は誰もが例外なく、死という絶対的で問答無用な消滅を迎えます。そこに至ってしまえば、それまでに築き上げた知識、技術、経験、財産、人間関係……全てがゼロとなります。 一方で、当人が鬼籍に入った後も、人の世の中で受け継がれて行くモノがあります。人の想いを紡ぎ、時代を越えて大きな影響を与え続けるモノがあります。 「それは百年先でも価値を持つか?」という問は物事を推し量る一つのものさしですが、百年千年と人の寿命の何倍も何十倍も連綿と人の世に残りその価値を受容されるモノというのは、ある種、人が人のままで人の領域を超えた部分に触れているようにも感じられます。 それは例えば書かれた物語であったり、描かれた絵画であったり、建築であったり思想であったり……勿論、漫画もその一つとなり得るでしょう。もし自分が死んでも、自分の遺したモノによって、どこかの誰かに感動や安らぎを与えられ、より良き未来を作る一助を担えたとしたら、そんな素晴らしいことはありません。 『シュトヘル』で描かれる高潔なる志と闘いを目の当たりにすると、自分もそういったモノに焦がれる気持ちを掻き立てられてしまいます。ただの歴史物とは一線を画す、魂に訴えかける叫びが聞こえて来るような漫画です。 **一風変わった、歴史物** 『シュトヘル』の舞台となるのは、13世紀初頭のユーラシア大陸。 13世紀といえば、モンゴル帝国が歴史的な躍進と繁栄を遂げた時代です。 チンギスハンがモンゴル帝国を建国してから3年経った1209年から物語は語られ始めます。 モンゴルの末席であるツォグ族の皇子として育てられたユルールは、戦を好まず書に張り付き、文字を愛する幼い少年。そんな彼は、実はチンギスハンの息子です。一方、モンゴル族の頂点に立つ大ハンことチンギスハンは、ある理由から敵国・西夏の文字に対して異常とも思える程の憎悪を持っており、地上から根絶やしにしようとします。ユルールは、そうして西夏文字が滅び行くことを嘆き、憂いていました。煩悶の末、ユルールは兄を始め一族郎党を敵に回し、西夏文字を守る為の闘いを始めます。 正直、私はこの辺りの歴史に詳しくはありません。しかし、『シュトヘル』はそんなことは関係なく、それぞれの人間の感情に移入しながら楽しめますので、歴史物は今一つ苦手、という人も食わず嫌いせずにてに取ってみて欲しいです。 **文字を巡る物語** ユルールが文字に対して語る言葉に込める熱量は凄まじく、そして美しいものです。 > 文字は生き物みたいだ。 > 記した人の思い ねがいを伝えようとする。 > その人が死んでも文字は託された願いを抱きしめているようで… > 文字は、人を憶えておくために生まれた。遠くにあっても、時を越えても、人と人とが交わした心を伝え続ける…… だから心底美しい。 > おれはあこがれる―― > この文字でしかあらわせないものがあって、この文字でしかあらわせない心がある。おれはそれと生きている。 文字という物が如何に素晴らしい創出物であるか、それがどんなに人類にとって大事な可能性であるか……。幼くも透徹した眼差しを伴いながら、折に触れて語られて行きます。普通の歴史物や戦記物であれば、家族や恋人や友人や同胞、国や故郷を守る為に闘うのが王道です。しかし、ユルールはそうではありません。彼は文字を守る為に、もっと言えば未来に存在する人の持つ可能性の為に、兄や実の父をも敵に回して闘うのです。 他方、「今日を生きる者のためでなければ、死屍を越えては往けないのだ」と語る、ユルールの兄である勇猛な戦士ハラバルの気持ちも解ります。甘い考えは捨てて闘いに身を投じなければ、自らの一族を、女子供をも死の淵に立たせることになる。最も大切なものは今生きている人間であり、その為に自分は闘う。全くもって正論です。現実を受け止め、自らの責務を全うする彼も、主人公であっても良いほどに器が大きく、魅力的な人物です。 それでも、どちらにより憧れを抱くかと言われれば、私は圧倒的にユルールなのです。現実に向き合わない夢想と断じられたとしても、文字を通して生まれる奇跡のような感情の紡ぎ合いの暖かさ、ユルールが文字の力に感じる可能性は否定しようがありません。それは、『ガンダムUC』で「可能性の獣」と呼ばれた概念にも似ています。ある側面から見れば愚かしくすらありながらも、それでもより高貴なあるべき姿を追求しようとする人の心。私はそれは掛け値なしに美しいものだと思います。 西夏文字の総本山である、番大学院が焼き討ちに掛けられる時、その院長である吉祥山がハラバルとなす対話も秀逸です。 > 「殺し合いに明け暮れる者にはわからぬ。生涯をかけた仕事は命そのものになる。命をかけるべきものになる」 > 「命をかけるべきものがあるという言葉は病だ。この病が跋扈する度に大勢が死ぬ。この病の者は目の前の人間を見ない。人間をを道具とし恥じることもなく同胞・眷属を顧みない。…守るべき者を」 > 「――血や一族のみを守るならば人間は永遠に縄張りを奪い合うだけの獣ではないか」 このシーンはセリフだけでも痺れますが、それを語る表情、そしてその背後に映るものとモノローグによって示される、互いの想いの丈とそのルーツ、更にはその先で明かされる真実、全てが渾然となって心と魂に響いて来ます。それぞれにもっともだと思わせるものがある、確固たる信条のぶつかり合い、鬩ぎ合いは堪らなく面白いものです。 『シュトヘル』には、これ以外にも数え切れない程の名言や名シーンが溢れているので、苛烈な時代に生きる人々の熱き想いの数々を是非直に堪能して欲しいです。 **絵の魅力** 伊藤悠先生は、一枚絵も魅力的ですが、それ以上にアクションを描くことに秀でています。それは、全五巻以下の漫画で傑作を挙げるとすると往々にして名前の挙がる『皇国の守護者』でも証明して見せた通り。 静と動を巧みに使い分けて、これだけ動きを上手に表現できる女性作家は、とても稀有です。変形ゴマは少なく、長方形のコマが主なのですが、それでも動作が非常に栄えているのが特徴的。 ここまで全く名前を出してきませんでしたが、もう一人の主人公であるシュトヘルの獣のような動きの殺陣は、妖しくも美しいです。 そして、何よりも伊藤悠先生の絵で魅力的なのは、表情。 ゾクゾクするような相貌、射抜かれるような眼力が頻出します。もう、この魔的な表情の数々を眺めているだけで楽しめる位です。伊藤先生の漫画を読んでいると、表情の描き分けの大事さを思わせられます。その結果、シュトヘルになら噛み殺されても良いかも、と割と本気で思える程にキャラクターに魅力を感じていきます。あの荒川弘先生をして「投稿雑誌で伊藤先生のハガキだけオーラが違って当時からファンだった」と言わせるのも道理です。 **『シュトヘル』という祝福** 13世紀のユーラシア大陸を舞台にしている作品というのは貴重で、そこで少年と美女と老人と大鷲が旅をするというシチュエーション一つとっても独特の魅力を持った作品です。又、喪われた文字を巡る物語、という題材だけでもロマンを掻き立てられる人もいることでしょう。 ユルールが本懐を遂げられず文字が完全に喪われていたとしても、どこかの誰かの未来のために闘った彼の覚悟と勇気が、時間や空間を越えて人の心を奮い立たせるでしょう。そして、あるいはその人が可能性として描いた理想の未来を作っていくのかもしれません。そうなれば、それこそ人に与えられた「祝福(ユルール)」ではないでしょうか。 これが宇宙(リアル)だ!アステロイド・マイナーズ あさりよしとおなかやまこれが宇宙(リアル)だ! あさりよしとおが描いた、ホンキでホントの空想科学マンガ ※帯より 科学マンガに定評のある あさりよしとお氏のコレもまた優れた作品 オムニバス形式で書かれており、一話一話の読みごたえもしっかりある そして、オムニバスでありながら各話で繋がりを感じさせる作りも、物語を深読みしたい私には好きなポイント 同氏の 小惑星に挑む が はやぶさ にフォーカスした作品だったのに対して、こちらは宇宙生活をテーマに様々な切り口でわかりやすく宇宙について自分たちに教えてくれる いや、難しい部分もあるから、サラッと読んで深く理解したい場合はもう一度読む感じが良いかもしれません 全二巻で完結してしまっているが、また続きを読みたい作品です知ってはいけない魔性の魅力#1巻応援つれないほど青くて あざといくらいに赤い tomomi六文銭異常な好奇心を抱えた主人公が、転校先の学校で出会った先輩に恋をする。 ただし、この先輩が「性別不詳」 出会ったときは「女性」だったが、再び出会った学校では「男子生徒」として現れ、主人公は混乱する。 周囲に聞いても、先輩は7不思議みたいなもんだと濁されて、結局どっちかはわからない。 そんな先輩と、ある約束を交わして・・・という流れ。 すごいのは、直接的な性表現はないのですが、それでも滲み出る圧倒的エロス。 私はストレートなんですが、先輩男かもしれないのに思わずグッときましたよ。 男性、女性ではなく「魔性」とは言い得て妙です。 また、上記に加えて、ホラーともとれる不可思議な描写が随所にあって、作品全体に漂う不思議な魅力にひきつけられました。 まだ1巻なのですが、2巻がどうなるのか全く読めないので 続きが楽しみです。 ムラタ先生こんなのも描けるんだな服爆裂エスパーガール ムラタコウジましゅまろ高嶺のハナさんで初めてムラタコウジ先生の作品を読みファンになりました。Kindleでたまたま服爆裂エスパーガールを見つけ、お求めやすい値段だったので購入して読んでみたところ… いや〜〜!!ノリが全然違くてびっくり…! 手を繋ぐだけでも大騒ぎ漫画ゴラクの良心の高嶺のハナさんに対し、こちらは勢い重視の全裸ギャグ。 この二つの関係はまさに一対の光と陰のようだなと思いました。 相変わらずの画力の高さで、エロの解像度は高いのに次々とボケ襲ってくる(しかもツッコミがいない)のでエロ漫画というよりはやはりギャグなんだと思います。 とはいえ先に述べたように、めちゃくちゃ裸体の解像度と出現率が高いので公共の場で読むのはおすすめしません。完全にNSFWです。 エロあり、ギャグあり、バトルありなので、どれか一つでもピンときたら読んでみると良いと思います。 <<640641642643644>>
毎日の生活の中で悩んでいる恋や夢などミクロの問題と宇宙規模のマクロの問題を同時に展開しているのに少しも渋滞せずに読ませる脚本とパワーがある。そして読み進むうちにその二つは意外と近いことなのかなと考えてなんだか少し心が軽くなった気がした。少し青臭くてストレートな表現が多いけど、SF的な複雑さでテンポを悪くする事が無く全4巻だけど、まったく短く感じない内容の濃さがすごい。