ヴォッチメン

「きみはずっとひとりなのだよ」

ヴォッチメン 羽田豊隆
ANAGUMA
ANAGUMA

顔が怖すぎて友達が一人もできない男子高校生“デビル日鳥”の日常を描く学園ぼっちコメディ。 日鳥は基本的に喋らないので、友達を作ろうとする彼の行動をまわりのキャラクターが深読みして面白い勘違いをしていくっていう笑いがテンポよく繰り広げられていきます。ちなみに日鳥を含むメインキャラは大体お笑いラジオが大好き(かわいい)。 会話のリズムとセリフ選びのセンスに僕は絶妙にハマってしまい終始楽しく読めました。絵もめちゃうまいです。 特に日鳥のメンターを務める吉田先生が毎話繰り広げる自分の経験談を元にしたアドバイスはお気に入り。 このキャラはホントヤバくて、彼が日鳥に告げる「きみはずっとひとりなのだよ」という言葉が毎回日鳥の行動を揺さぶるのが面白くも、胸に刺さります。 吉田先生を味わうだけでもヴォッチメンを読む価値は十分にありますよ! ギャグマンガとしての精度も抜群ですが、ジャンプらしい熱さも備えていて、バランス感覚に優れた贅沢なマンガです。 とりわけ最終回は作品全体を振り返りながら見事にまとめ上げていて、相当の完成度だと感じました。「やられた~~~」ってなります。 日鳥を中心に他のキャラクターの魅力もバッチリ描き切っており、とても2巻分とは思えない充実の感動を味わえました。 ありがとうヴォッチメン…。 ていうか表紙のジッパー芸コマけえな!今気づいたわ!

企業戦士YAMAZAKI

パワー・オブ・ドリーム

企業戦士YAMAZAKI 富沢順
マウナケア
マウナケア

最終話のタイトルでもある「パワー・オブ・ドリーム」――。これを鳥がなぜ空を飛べるのかと重ねて、命は望んだ方向へと歩んでいくもの、と主人公の山崎は語ります。人もまた同じで、強くなりたいと思う格闘家は過酷な練習を自らに課し、どんな病気でも治したいと思う医者は知識の吸収にさまざまな症例を見る。じゃあ、われわれ会社員の望む道とは? そんなことを考えさせられるのがこの漫画です。山崎は過労死した後、サイボーグとなって復活し、業績の落ち込んでいる会社に派遣され斬新な企画を提供する特A級企業戦士。燃やせる缶や壁掛けテレビ、新型コミュニケーション空間の提供と、新製品をプレゼンしながら、業績が上向かない理由=人の心の問題を解決していきます。その問題とは考えることを止めたり、他人の足を引っ張ったり、簡単な仕事しかしなかったり、部下とコミュニケーションできなかったり、などなど。ライバル社の企業戦士との格闘を通し、ビジネスマンのあるべき姿を説く山崎の台詞は説得力十分。日々流されて二の次になってしまう”こうありたい”と思う心。それを忘れないようにしよう、と思わせてくれます。