※本作は、「春が来た」(全10巻・双葉社刊)を底本とした合冊版になります。鯉太郎兵衛と桜次郎兵衛は「なぐられ屋」を始めた。金を払えばなぐらせてくれる、と聞いた人々が集まり、銭を放ってはボカッとなぐる。しかし、それを止める者もいた。金を払ったとはいえ弱い老人をなぐるとはけしからん、と言うのだ。と、そこに「三途の川の船頭兄弟」の異名をとる強面の男たちが現れる。その内の一人が刀を抜き、「新刀の試し斬りをさせろ」と大金を放った。そして返事も聞かずに刀を振り下ろすが…。――年老いたふたりの男の余生を哀しくもユーモラスに描く、テレビドラマ化もされた傑作時代劇。