青矢(せいや)の幼なじみでもある紅美(くみ)は小学生の頃、何者かに性的暴行を受け、その時の曖昧な記憶に今も苦しんでいた。ある日、犯人らしき男が再び紅美の前に現れる。その姿を見た瞬間、恐怖の底へ突き落される紅美。当時のことを思い出せない紅美は本当のことを教えてほしいと青矢に懇願するも、答えは得られなかった。徐々に精神的に追い詰められていく紅美は白帆(しほ)にも辛くあたる。しかし、白帆はわかっていた。紅美は青矢を困らせることで自分に振り向かせようとしている。愛をぶつける愛し方しかできないことを。それはまた、透(とおる)も同じだったからだ。そして、この間にも魔の手は伸び始め、紅美と青矢の愛娘・小桜里に狙いを定めていた。紅美、青矢、白帆は小桜里を守れるのか……!?
「わたしはあなたのもの、あなたはわたしのもの」――――先輩がいなければもう生きていけない。青矢を愛しすぎて、青矢を縛りたくなる気持ちを抑えきれない白帆は青矢と生きる自信がないと、家を出て行ってしまう。残された手紙を見て、絶望する青矢。そんなとき、研修医時代を共に過ごしたるりが現れる。るりに白帆のことを相談するも、白帆のことは青矢自身が治すことを決意する。白帆に恋愛関係ではなく、医師として治療に専念したいことを告げる。そんなとき、白帆は青矢の家にるりが入っていくのを見てしまう。その後、偶然出会った人の良さげな路考という男性は、心療内科の医師だという。白帆は迷った末に診療してもらうことに悩んでいた白帆は路考に診察をしてほしいと頼みこむのだが――――。
るりが青矢の病院に正式に採用された。喜ぶるりは青矢に自分たちが組めば最高の心療内科が完成すると息をまく。また、白帆は路考に飲まされたドリンクの影響で朦朧としていた。そんな白帆のあとをつけ、ストーカーをする路考。一方、紅美は暗との子供を宿していた。小桜里は自分には青矢というパパがいると結婚に大反対。でも、暗に説得され、しぶしぶ承諾するのだった。また、青矢は父親にるりと一緒になって病院を継いでくれると安心だといわれる。戸惑う青矢だが…。そして、白帆のもとには、何者かからプレゼントが届く。はたして誰が!? 一方、暗は政治家である父のもとで、何やら話し合いをしていたーーーー。※第31~33話目までを収録
紅美と暗(あん)の間に出来た赤ちゃんは、仮死状態で生まれたものの、無事だった。小さな命を目の当たりにして逃げようとしていた暗は我が身を振り返る。一方、白帆は青矢がアパートに来ることを心待ちにして、準備を進めるも 青矢は父親に呼び出され、来られなくなる。がっかりする白帆。作ったケーキ を携え、隣人のましろの部屋を訪れる。しかし、すでに客人がいた。それは ましろが1週間前に出会ったばかりの彼氏だという。遠慮して帰る白帆が会う ことはなかったが、その彼氏とは路考だった。部屋に帰った白帆は青矢が来ら れなくなったものの、新婚のようにわくわくしている自分に驚く。自分が強く なったと自信が持てるまで待ってもらっているが、意地を張る必要はないの ではと思う。青矢と支えあい、青矢のそばで強くなっていきたい。もしも、今度プロポーズをされたら、イエスと返事をすることを心に誓うのだった。しかし、プロポーズの言葉を青矢の口から聞くことは二度となかった―――。
内容がとても濃い。。 結婚した透からDVを受けていた白帆。 助けを求める様に、大学時代の先輩で心療内科医の青矢に会い、その苦しみから立ち上がるだけの話かと思ってましたが、それだけではないようです。 後書きに、作者の方の体験も少しだけ練り込まれていると書いてありそれがどこなのかはわからないけど、その言葉によって、より現実に近くなっている様に感じました。 12巻まで読んで、一人の女性が強く逞しくなっていく物語なのかなと。。 どうなっていくのか気になるなぁ。