あらすじ暑い夏、息子の浩一と他愛無い話をしていた中、浩一から父さんのように立派になりたいと正面から言われ、草むしりを口実に席を離れてしまう。胃が気になって出社前に寄った病院ではあまり神経質になるなと言われ、会社では夏季休暇をとることを進言された。そんなとき、道でぶつかった事をきっかけに知り合った女性と奇妙な関係になり草むらで痴漢を演じだす…。独特の描写で中年男の言葉に出来ない閉塞感がじわじわと伝わる つげ忠男の名作選。
つげ義春の作品は好きで読んでいるけど、その弟、つげ忠男の作品は知らなかったので興味をもち、読んでみました。つげ兄弟は幼少の頃かなり苦労したようですが、その家庭環境、父親との緊張感と閉塞感のある暮らしが描かれています。昭和のムードを懐かしむというよりも、昭和の拭い去れない臭いがツンと鼻をつくような読後感でした。 ガロの掲載作品が好きな方、つげ忠男、つげ善春が好きな方はもちろん、昭和を知らない若い人にも読んだらハマる人が少なからずいるのでは。ぜひ試しに読んでみてほしいです。