あらすじフリーの保険調査員・夜明至(よあけいたる)、バツイチやもめの38歳。持ち込まれるのはやっかいな依頼ばかり。そんな夜明のもとに舞い込んだのは、撮影中の火災事故で亡くなった人気映画監督・皆川賢吾の保険調査依頼。感情が“色”で見える居候少年・玄(くろ)を伴い調査を進めるが、次第に皆川を取り巻く映画業界の複雑な人間関係が浮かび上がってくる。「事故」か「自殺」か「殺人」か――夜明が導き出す真実とは? 希代のストーリーテラー・ヨネダコウが描く話題沸騰の新感覚ミステリー第2巻!
「囀る鳥は羽ばたかない」等、BL方面では知らない人はいないと言っても過言ではないヨネダコウさんの、おそらく一般紙(講談社イブニング)初連載作品。 主人公は保険調査員という、保険金の支払いが発生する事案に対して保険会社から依頼を受けて詳細を調査するという仕事をしている夜明至(よあけいたる)という人物。キャラ自体の魅力もさることながら、保険調査員という特殊な立ち位置ゆえに、警察ほど正義感を振り翳す存在でもなく、かといって探偵ほど自由に動いたり被害者に過度に寄り添ったりしない、あくまで事案の事件性や過失度を中立な立場で判断するというのが、謎解きものとしてこの作品を見たときには新鮮に映る。 そして、夜明さんおよび夜明さんが預かることになる少年・高比良玄(たかひらくろ)の持つ過去や能力の描き方が巧妙で、特に玄が持つある"能力"については、物語の起点としても絵の表現としてももっと前面に出していいはずなのに、あえて作品の重心から少し外れた位置に配置してより人間関係の描写に焦点が当たることを意図してるようにも感じる。夜明さんと玄、2人のバディもの、および周囲の人々も含めた群像劇としても魅力の高い作品。 「囀る鳥は羽ばたかない」等のBL作品でもそうだったけど、恋愛要素を中心に置かずとも人間関係をこれだけ魅力的に描けるというのは流石の一言に尽きる。 1巻まで読了。