吉原で本屋を営む蔦屋重三郎は、のちの喜多川歌麿となる絵師・北川豊章を知人から紹介される。しかし、それは湯屋で重三郎の下駄を盗んでいった「変人」だった。稀代の出版人・蔦重と、彼に見出された気韻生動の絵師・歌麿。二人の男は情熱を分かち合う相棒となり、江戸に新しい文化を芽吹かせていく――。【収録内容】・第1話~第4話・番外編
絵師・喜多川歌麿としてデビューした歌麿。そのお披露目の宴の夜に目撃した「むらさき美人」を描いた絵が、遊女たちの間で評判となり、吉原に一躍むらさき景気が起こる。奇しくも町人の文化は花盛り、日本橋進出を目論む蔦屋はその好景気から町方与力・美盛に目をつけられ――。
政府による出版物への規制が激化するなか、それでも庶民の支持を受ける蔦屋に、北町奉行所の美盛はある秘策に打って出る。出版闘争とも言える対立の行方は、そして「むらさき美人」とは何だったのか――。