あらすじわたつみの神の国より流れ着く妖しき舟。底なしの冥き淵より、濃霧をまといて古の邪念と妄執が、おぞましき姿で甦る。稗田礼二郎が禁断の書を紐解く時、神話は民話と交響し、魔の物語が溢れ出す。妖怪ハンター第三弾は水と雪と官能の物語。水泡とともに禍々しき神々…浮かぶ。
諸星大二郎という作家は他の追随を許すことのない唯一無二の作家である。これは海外の異端な芸術家、映画監督、文豪、音楽家に広げても諸星大二郎の独創性を上回る作家など殆ど存在しない。妖怪ハンターは人間の根源的な知的欲求、未知、何故世界は存在するのかというあまりに壮大で抽象的な概念を諸星大二郎の線に還元している。このいまにも崩れそうで保っているような不気味な線の快楽が我々を未知の世界へ引き込んでくれる。