あらすじ過去の過ちを償う為に、不入山に入った重野流マタギのシカリ(狩猟隊のリーダー)である辰五郎の前に、とうの昔に廃れたはずの小玉流を名乗るマタギが現れた。しかもマタギ社会は女人禁制であるはずなのに、小玉流を名乗るマタギは女であった。辰五郎は過去の過ちと小玉流マタギが関係していることを知り、驚愕する!
山と渓谷社から出版された文庫版で読んだんですけど、いや〜風景描写の素晴らしさに圧倒されますね!初めはなんで山と渓谷社からマタギが?と思ったんですが、読むと山に登りたくなる、自然に還りたくなります!それと同時に、山の恐ろしさと有り難みも学ぶことが出来ます。山そのものが神なんだ!と。 マタギなので動物を狩るのですが、むやみやたらな殺生はしません。そこには技術と知恵と代々伝わるかたい掟があるのです。熊の恐ろしさはもちろん、猿も大群で襲ってきたり、人間と動物の戦いではいつも手に汗を握りました。どんなに熟練のマタギであろうと一筋縄ではいきません。でも私が一番興奮したのはニホンオオカミとカモシカの戦いです。野生同士の戦いにおいて人間はただの傍観者でしかありません…。これが大自然です…。 最後の湖に現れた巨大生物には驚きしかありませんでしたが、何が起こったって不思議じゃない、山ってのはそういう神秘を含んでいるんだ!と、納得させられたのも事実です。やっぱり風景描写がすごいからでしょうか。