遺言の旅から帰国し、母の四十九日を迎えた。墓前で涙を流す父を、いまだに“自分の父”と思えずにいた大空。そんな時、旅の途中で受け取れなかった母の手紙が届く。――『大空へ…』手紙に遺された“生きた証”を残そうとする母の想いに、大空は突き動かされる。“母の死を、最後まで伝えなければ――”その相手が、母のかつての浮気相手だったとしても…。ファミリールーツジャーニー最終巻、永遠に思えたひと夏の旅が、今終わりを迎える――。【収録内容】・第14話~第19話・描き下ろし漫画12P:兄・大地の秘められた過去の物語~高校時代からノアとパリで出会うまで~・あとがき・電子限定特典:描き下ろしカラーイラスト集&モノクロイラスト集&漫画1P
母の遺言をきっかけにイギリスまで旅立つことになった大学生の大空(おおぞら)。着いたかと思えば母が遺した新たなミッションが託され、家族の過去と今を知るための欧州各地を巡る旅に出ることに…というロードムービーなあらすじ。 『アザミの城の魔女』で描かれる異国の表現にビビッときて、こちらも読みました。鮮やかなヨーロッパの雰囲気と、大空の心が揺れ動く旅情の描写が全コマ全ページ本当に美しい…。 旅は人を変えるといいますが、ヨーロッパ各地でさまざまな人に出会い、大空自身も気付いていなかった「自分」を発見していく過程が丁寧で心地良いです。 自分の気持ちを誰にも伝えられなかった大空が断絶状態だった家族と新たな関係を結ぼうとする。この一生懸命な姿に心が熱くなってしまいます。 読んだあと、どこか遠い場所に旅立ちたくなるような素敵な作品でした。