あらすじ狸筆(りっぴ)の正体は、幼いひとこを庇ってくれた狸だった。どうしてモノってこんなにけなげなんだろうね……。初めて過去と向き合ったひとこは、からかさ様に託された傘に名前を付け、心のままに愛してみようと決める。ところがその直後くろが消え、真加村も姿を消してしまう。ひとりになったひとこの前に現れた、テンコウセイの驚きの正体とは……!? ギド式和風学園ファンタジー、感動の完結!!
付喪神と言うと、長年使った道具に魂が宿るモノですが、こちらの作品の付喪神は人間の欲望が漂って物に取り憑き、仮初の命を宿すというモノ……これが愛らしい!幼くて無垢だったりヤンチャだったりして、これは愛着持ってしまいそうです。 そんな付喪神に憑いた欲望を集めて回る、女子高生の百地ひとこ。彼女は真っ直ぐで優しい、いい子。なのだけれど、ちょっと不思議なのは、彼女が「薄っぺらい」こと。考え無しで欲望もハッキリせず、ただ「ワクワクしたい!」の一念で狸に貰った力を振るう。 彼女はその「薄っぺらさ」に辛い思いをし、自覚してちゃんと考えようとしても、なかなか思考が働かない。その「薄っぺらさ」を巡る物語は彼女の血筋や過去、背景の大きな物語に繋がり、手には汗、目には涙が止まりません。 そして私達が普段、後ろめたさを持つ「モノを大切にするとは、どういう事か?」について、キチンと回答を出していて、納得させられます。ビニール傘から彗星まで、モノが持つ感情って、本当にこんなかもしれないなぁ、と温かな気持ちになれる、深い物語です。