あらすじ神社の子のひとこは、ある日狸の里に迷い込み、化狸の長が腹に納めていた「欲魂(よくだま)」を逃がしてしまう。欲魂がモノにつきツクモとなると、世の中が乱れる。狸の不思議パワーをもらったひとこは、クラスメイトのくろ&生徒会長の真加村(まかむら)と一緒に、意気揚々と欲魂回収に乗り出すけれど……?ギド節全開の傑作読み切り「夕暮れを少しわけてあげる」も収録。ギド式☆和風学園ファンタジー!!
付喪神と言うと、長年使った道具に魂が宿るモノですが、こちらの作品の付喪神は人間の欲望が漂って物に取り憑き、仮初の命を宿すというモノ……これが愛らしい!幼くて無垢だったりヤンチャだったりして、これは愛着持ってしまいそうです。 そんな付喪神に憑いた欲望を集めて回る、女子高生の百地ひとこ。彼女は真っ直ぐで優しい、いい子。なのだけれど、ちょっと不思議なのは、彼女が「薄っぺらい」こと。考え無しで欲望もハッキリせず、ただ「ワクワクしたい!」の一念で狸に貰った力を振るう。 彼女はその「薄っぺらさ」に辛い思いをし、自覚してちゃんと考えようとしても、なかなか思考が働かない。その「薄っぺらさ」を巡る物語は彼女の血筋や過去、背景の大きな物語に繋がり、手には汗、目には涙が止まりません。 そして私達が普段、後ろめたさを持つ「モノを大切にするとは、どういう事か?」について、キチンと回答を出していて、納得させられます。ビニール傘から彗星まで、モノが持つ感情って、本当にこんなかもしれないなぁ、と温かな気持ちになれる、深い物語です。