あらすじ元伯爵・麓(ふもと)家の令嬢妖子(あやこ)は、両親が自分達の本当の子供ではないと気付いた時から、疎んじられるようになった。そんな折、実子かおりが家に戻ってきたのだが、妖子によって巧妙に殺される。魔性を呼び醒ました妖子。その体に流れる血――死刑囚の子であるという出生の秘密を知る受刑者が彼女の前に現れて、秘密を公にすると恫喝する。夢のような暮らしぶりを奪われることを恐れた妖子は……。欲望に取りつかれた魔性の少女の物語、完結。
元伯爵家の令嬢として美しく育った妖子が、実は病院ですり替えられた他人の娘で、しかも死刑囚の娘だったとわかる!というショッキングな展開から始まります。古いタイプの少女漫画なら、出生の秘密を知っても健気に生きてゆく…という展開になりそうですが、妖子は違います。実の娘ではないと知ると、非情になり、妖子の殺害を企てる両親や、出生の秘密を知る脅迫者と戦っていきます。 旧華族社会のドロドロ感もあり、スリリングで刺激的なストーリーですが、両親の愛を求める妖子の孤独がせつなくて、いつの間にか感情移入してました。