あらすじ
ギャグマンガの巨匠・赤塚不二夫の代表作は多数あるが、この作品はギャグマンガでありながらブラックユーモアに富み、善人を登場させず悪の肯定を貫くスタイルを持つ異色作。これぞ、まさに赤塚ワールドのダークサイド!?悪いことはどんどんやりなさい、正義なんてけしからん!小学校では万引きのやり方を勉強、夏休みの自由研究は父親の毒殺日記、3時のおやつは愛犬ペスの4本足でフライドチキン、家庭教師は家のものを盗み、夜になったら町はドロボーたちでいっぱい!そんなワルい奴ばかりのワルワルワールドで、タロたち家族は悪どく生きていく!目玉のおまわりさんも大活躍!?全14編収録!
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時代とともに、ウケる”笑い”の質は変化していきます。漫才などもオシャレに笑うことが受けたかと思えば、捨て身のギャグが評判になったり。当然、漫画の世界でも手を変え品を変えさまざまなギャグが考案されてきた訳です。しかしながら、果たして大衆に受けたのか、はなはだ疑問なのが、ギャグの帝王・赤塚不二夫の異色中の異色作であるこのタイトルです。主人公は小学生のタロ。彼は悪人だらけ(というか悪人しかいない)町でずる賢く生きているのですが、内容はもう、ヒドイのひと言。家族の愛情などないに等しく、おやつは愛犬の足だし、学校では万引きのやり方を教え、警官(目玉のおまわりさん)は自分の息子を誘拐させて点数を稼ごうとする。八百屋の親父も突如として包丁を振り回し、医者はすべからく藪医者と、お子様には到底見せられない代物。暗黒面が全開です。不快でないのが唯一の救いでしょうか。赤塚絵だから許されるのであり、”笑えないギャグ”というのは言いえて妙。普通のギャグに飽きた方にオススメ、してもいいのかなぁ。