あらすじ奥羽山脈のY盆地、その外れの山間にある小さな村、おらが村。北国の夏は短く、精いっぱい夏を満喫する昆虫や野の花、そして村の人々。ある日、高山家に都会で働く長女よしみから手紙が。夏休みに帰郷する予定だが、田中涼という会社の先輩を連れて来るという。初めて男を家に連れてくる21歳の娘・よしみに、高山家は結婚かと大騒動!
日本の中山間地域における問題の根深さや、それでもそこで生きることの大切さを描いた素晴らしい作品。 舞台は1970年代の秋田とのことだが、2020年のオリンピックやその少し前の地方創生など、色々と現在と重なる部分がある。出稼ぎによる若者の流出、ディスカバージャパンなどで理想化された田舎…主に世代間の価値観の違いによる衝突はそこここに現れるが、どれが正しいとは言い切らないところが良い。自分の置かれている状況や読むタイミングによって、共感するキャラクターも違ってくると思う。 ウイルスの脅威で外出制限を要請されている都会での生活を送りながら、自分が選ばなかった生き方について考えるきっかけになった。