不思議な力を持つ樹木医の神庭が、植物たちの声に導かれながら、真実へと近づいていく。切なくも温かな、樹木医の心癒される物語。 花と対話する力を持つ神庭は、小さな花屋を営む傍ら樹木医でもある。ある日、喫茶店を切り盛りする高木貴子から一通の依頼を受ける。国道沿いに佇む古い館の蔦を取り除いてほしいというのだ。しかし、その館には15年前の痛ましい事件の影が色濃く残されており、神庭にしか見えない“何か”が蔦に宿っていた。神庭は、植物たちの囁きに耳を傾けつつ、失われた記憶を辿り、心の深層に隠された真実へと歩みを進めていく――。