あらすじ

この手で殺したはずの宮市(みやいち)さんが生きていたんです。でも記憶をなくした彼女は、僕にとっては死んでいるも同然で…。以前の彼女は平気で人を殺していたのに、今は教会で子供たちと一緒にお祈りするような人に。彼女の記憶を取り戻し、本当の彼女に会いたい。そして、僕は彼女に殺されたい。そのためにやらなければならないこと。それは、人を殺すことなんです。
穴殺人(1)
覗きました。覗いてしまったんです。アパートの、となりの部屋を。女子大生が住んでいました。夢中になりました。毎日、覗きました。そして知りました。その隣人が殺人鬼であるということを……。
穴殺人(2)
隣の部屋に住んでいる、少しエッチで、清楚で、料理上手な女子大生。そんな彼女と、付き合うことになりました。ただひとつ残念なことに、彼女は猟奇殺人犯でした。でも僕は、大切な彼女のことを、理解したいと思ったんです。彼女のことを、もっと愛したいと思ったんです。
穴殺人(3)
少しエッチで、清楚で、猟奇殺人鬼な、僕の彼女。僕の知人をも殺した、僕の彼女。そんな彼女のことを、亡き知人の妹が探り始めました。彼女は、きっと妹も殺そうとするでしょう。正直に言います。僕は、彼女に殺人をやめてほしいんです。僕はただ、平々凡々な日常を、彼女と送りたいだけなんです……。
穴殺人(4)
清楚で、おっぱいが大きくて、猟奇殺人鬼な、僕の彼女。変態医者に誘拐されて、今にも殺されそうな僕には不釣り合いな、自慢の彼女。彼女が初めて殺した人は、どんな人なんだろう。そして、彼女が最後に殺す人は……。
穴殺人(5)
早く逃げなくちゃ。彼女と二人で、誰の邪魔も入らない所へ。連続殺人鬼の僕の彼女。息を吸うように老若男女を殺してきた僕の彼女。そして、そんな彼女を愛している僕。もう、この世界に僕らの居場所はありません。永遠の愛を誓い合った後、彼女は僕を殺すでしょう。少し怖いけど、それこそが、僕の望んだ最期なんです。
穴殺人(6)
大好きな彼女を、殺してあげたんです。「繋がりを断つことで永遠の愛になる」って、彼女が教えてくれたから。だけど、一人残された僕は、どうやって生きていけばいいんでしょうか。やっぱり、僕が殺されるべきだったんでしょうか。君のいない残りの人生に、いったい何の意味があるんだろう。宮市(みやいち)さん…。君に、会いたい。
穴殺人(7)
この手で殺したはずの宮市(みやいち)さんが生きていたんです。でも記憶をなくした彼女は、僕にとっては死んでいるも同然で…。以前の彼女は平気で人を殺していたのに、今は教会で子供たちと一緒にお祈りするような人に。彼女の記憶を取り戻し、本当の彼女に会いたい。そして、僕は彼女に殺されたい。そのためにやらなければならないこと。それは、人を殺すことなんです。
穴殺人(8)
自分がやられて嫌なことは、相手にもやってはいけません。…なんて、学校の先生は言うんです。でも、あの子は僕に殺してもらいたがっているし、僕もあの子に殺してほしいと思っているのだから、僕らが互いを殺し合うことに、一体なんの問題があるというのでしょう。気が付いたら始まっていた人生。終わらせる時くらい、僕らの好きにさせてくれませんか? 間違っているのは、僕らでしょうか。それとも…。
つかさちゃんに歌われる!

つかさちゃんに歌われる!

ぼくが書いている【クラスメイトが登場する官能小説】が、国民的歌姫の名曲の元ネタに!? エロい想像で世界を創造! バレたら人生終了! 暴走文科系ラブコメディ!! さえない高校生・土肥つづるには、秘密があった。【クラスメイトが登場する官能小説を書いていること】! 夜ごと独りで妄想の快楽をかみ締める日々は、“国民的歌姫”花咲つかさとの出会いで終わりを告げる。彼女の名曲たちは、つづるの官能小説から創られていて…!? エロい想像で世界を創造! 新感覚“クリエイティブ”ラブコメディ開幕!!
二人のゼロジバ

二人のゼロジバ

真実と俺は超能力を使えた──。3年ぶりだった。14歳のあの日、目の前で“消失”した真実が戻ってきた。戻ってきてくれた。“次元”を超えて。だから俺は思った。もう放さない。もう誰も二人を引き離せない。永久磁石のNとSのように。そして思いもしなかった。3年後の美しく大人びた17歳の真実が“変わった”ことを。そこに誰も知らない“真実”が潜むことを……。
穴殺人
進撃のマンガ雑誌アプリ!殺人鬼でも美人ならOK?『穴殺人』他マンガボックスのススメ
穴殺人 裸村
兎来栄寿
兎来栄寿
今、日本で一番読まれている雑誌をご存知でしょうか?
はい、言わずと知れた週刊少年ジャンプです。 では、二番目に来るのは何かお分かりになるでしょうか?
それこそが、今回紹介するマンガ雑誌アプリ「マンガボックス」です。 昨年の発行部数のデータでは、週刊少年ジャンプが約283万部、週刊少年マガジンが約143万部(ちなみに、その後は月刊少年マガジン73万部、コロコロコミック70万部と来て、週刊文春が69万部でマンガ雑誌以外での発行部数一位となっています)。
一方で、マンガボックスは何と400万ダウンロードを突破。2ヶ月前の時点で人気作品のアクティブユーザー数は100万人を超えており、現在も読者数は増え続けていますので、実売数も考えれば恐らく今や週刊少年マガジン以上に読まれているでしょう。 進撃の巨人を「根は優しいヤツなんですけどね」と語った秀逸なCMや、続きが気になった際にはSNSで拡散を行うことによって一つ先の話まで読める面白い仕掛け。日本語以外にも英語と中国語に対応しており、動作も快適。基本無料ということもあるのでしょうが……まさに快進撃と呼ぶに相応しい伸び方です。 このマンガボックスの編集長は樹林伸さん。
『金田一少年の事件簿』、『探偵学園Q』、『サイコメトラーEIJI』、『クニミツの政』、『シバトラ』、『GetBackers-奪還屋-』、『ブラッディ・マンデイ』、『エリアの騎士』、『神の雫』などなど、現在も様々な名義で数多の作品を手掛けています。
個人的に大好きな『MMR』のキバヤシ隊長そのものであり、これらが全て同一人物によって創られた作品なのだと知った時は「な、なんだってー!?」と叫んでしまった程の衝撃でした(今でも、講談社の原作と作画が分かれている作品を見ると「もしかしたらこれも樹林さんなのではないか」と疑ってしまいます)。 今まで一切マネタイズを行って来なかったマンガボックスですが、本日が初のコミックス発売日! 11冊が同時発売となりました。
果たして単行本の売上はどうなるのか。それによって今後の運営にどう影響があるのか……
今後のマンガ業界全体から見ても興味深いトピックです。 業界にとって明るい話題になると良いなぁと思いつつ、私もマンガボックスはサービス開始初日からダウンロードして全作品を読んで来ていますので、今からでも特に注目すべきお薦め作品を紹介していきます。 最注目は、100万人以上に読まれている大人気作『穴殺人』。  隣に美人のお姉さんが住んでいる!
健全な男性だったら、テンションが上がらない筈のないシチュエーションです。
これは"たとえば"の話ですが……もしも偶然その美女の部屋が見える覗き穴ができてしまったら、あなたはどうしますか? え? 大家さんに報告して塞ぐ?
…………ふぅ。
OK、社会的立場のある人間としての建前上の答は、それでフォルコメンハイト(完璧)です。ただですね、ここでは理性という枷に抑え込まれていない、あなたの真なる内心を伺いたいのです。あくまで"たとえば"の話ですので、この答如何によってあなたが不利になることは何もありません。そこでもう一度、あなたの意見をきこうッ! 覗き穴ができた時、どうしますか?
ちなみにこの美女はスタイルもグンバツで、ちょっとエッチなものとします。
「穴に目を近づけるのはいけないことでしょおーか~!?」と、かの世界を救った英雄ジョセフ・ジョースターも言っていましたが……
健全な紳士諸兄であれば、心の答は決まっていますよね。ナァーイス!(実際に覗いたら軽犯罪法第1条23号により罰せられますので、漫画の世界で我慢しておきましょう。世界が平和でありますように)。 この『穴殺人』は、そんな男の夢と希望が成就した状況から幕を開けます。
数センチの隙間から漏れ出づるメルヘンに、「YEAAA!!」と勝鬨を上げ、ピシガシグッグッと拳を交わしておきましょう。
もっとも、それだけならば『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』を始めとして、よくある他愛もないお話です。 が、もしその美女がサイコパスだったとしたらどうでしょうか。
そして、その凄惨な犯行現場を目撃してしまったとしたら……
さっさと警察に通報する? ええ、至極真っ当ですね。 ただ、今作の主人公・黒須は、そうはしませんでした。
彼は、そんな美しすぎる殺人鬼・宮市に、覗き穴を介してお近付きになります。
二浪しながら予備校も辞め、両親にも見放され、友達もおらず、一年間も引き篭もって自殺未遂にまで至った黒須。
恐らく、人と会話する機会さえほとんどなかったことでしょう。
そんな折、自分の為に屈託のない笑顔で肉じゃがを作ってくれる可愛い女性が突然現れたら、たとえ狂気の殺人鬼であったとしても気持ちを持って行かれるのは無理からぬことですね。 私がマンガHONZに入った切っ掛けでもある『キーチVS』の巻末にあった堀江さんと新井英樹先生の対談で云われていたこと。
あるいは、とある小説の冒頭文にある「この世の全ては、一人の可愛い女がいれば大抵どうでも良くなる」という命題。 これらは、極めて重要な真理を突いています。そして、それは男女を逆にしても当てはまること。
皆さんの周りにはいないでしょうか。
「この世界に生きている意味はない」「どうせ死んだら全ては無なのだから何をしようと無価値」などとのたまっていながら、彼氏/彼女ができた瞬間にSNSにラブラブな写真を載せては「毎日幸せ♪」と人生を謳歌しているような人は。
そんな友人に対する個人的な感情はさておき、人間の本質はそんなものだと思います。
圧倒的な破壊衝動も破滅願望も、可愛い女の子や格好良い男の子がいるだけで雲散霧消してしまうのです。人間のリアルがここにあります。 そのようにして、黒須も宮市の存在によって意識を大きく変えられています。呼吸をするように人を殺す宮市の存在が、自殺しかけていた黒須の命を繋ぎ止めている。あまつさえ、その命を宮市が断ち切ろうとする……何という皮肉的な構図でしょう。支配されることを是とするそのリアルな歪さ。そして窃視や殺人といったタブーが、読む者を惹き付ける作品です。
可愛い新キャラクターも登場し更に混迷を極めつつありますが、果たしてどこに帰着するのか。
今後も、毎回のアオリ文と共に楽しみにしていきます。   『穴殺人』以外の作品についても、簡単に触れておきます。