あらすじ

太極拳の発祥の地・陳家溝をめざし、ひたすら旅を続ける剛拳児。だが、その途中の小さな村にも、拳児より強い男がいた。拳児敗れる。そして今、敗北のくやしさを胸に秘め陳家溝へ。拳児、太極拳の真髄をもとめ、化勁を学ぶ!!
拳児 1巻

「みんなと仲良くするため、強くなりたい」風変わりな祖父・侠太郎の薫陶をうけ、元気いっぱいの“やんちゃ”に育った少年・剛拳児。持ち前の正義感と祖父直伝の『頂肘』がうなる時、さわやかな風が舞う。拳児、強し!!

拳児 2巻

小学4年の夏を迎えた剛拳児。そして今、真夏の太陽のもと、祖父・侠太郎と共に、拳法・八極拳の本格的な修業を開始。それは“より強く”なるためであり『やんちゃ小僧』から『侠気ある男』への第一歩。拳児、学ぶ!!

拳児 3巻

祖父・侠太郎と別れてから、5年。剛拳児、中学3年。あの“やんちゃ坊主”も、高校進学問題、さらに、ふとしたことから巻き込まれた暴走族との確執と、むずかしい年頃。そして、少女・晶と懐しの再会。拳児、揺れる!!

拳児 4巻

「武を以て友に会う」──拳法を通じて、新しい友達に出会う。高校入学そうそう相撲部主将・藤吉とタイマンを張った拳児。勝ったはいいけど、一日にして有名人。そのうえ、今度はボクシングに挑戦。拳児、打つ!!

拳児 5巻

人のめぐりあいとは不思議なもの。「必要な段階に到った時、師は目の前に現れる」ということわざのとおり、拳児の前に、八極拳を使う老人・張仁忠が現れた。これも天の導きか、大いなる運命か!?拳児、出逢う…!!

拳児(6)

張仁忠のもとで、本格的な修業を開始した拳児。だが拳児の拳法を“お遊び”と嘲笑う少年トニー・譚が出現。しかも拳児は、譚のくり出す洪家拳の一撃をうけ、敗北の辛さを知る。拳児、くやしさを秘め雪辱を決意す!!

拳児(7)

八極拳を正しく伝えられる者として、中国人社会の実力者たちの集い“ユニオン”の支持を得た剛拳児。その前途には、壮大な世界が広がりつつあった。だが、またしてもトニー・譚の執拗な黒き影が…拳児、怒る!!

拳児(8)

拳児、拳法の本場・台湾に立つ。拳児を迎えてくれたのは、蟷螂拳の使い手・蘇崑崙。驚くべきことに蘇の師・劉月侠は、拳児が憧れる八極拳の達人・李書文の最後の弟子だった。いま拳児、よき師のもとで技と心を学ぶ!!

拳児(9)

米軍特殊部隊の精鋭を向こうにまわし、小柄な師・蘇崑崙の秘拳が炸裂。圧倒的な体重差さえも超越する中国拳法の神髄と、“武徳なき者に、武術を学ぶ資格なし”と、諭す功夫・蘇の姿に、いま拳児の血、熱くたぎる!!

拳児(10)

剛拳児、いま李書文直系の八極門に正式入門。居並ぶ中国武術の同門兄弟をまえに、日本人初の“家族”として認められ、生涯、仁と義のために生きることを誓う拳児。念願の八極門入門の日、拳児、大きく輝く!!

拳児(11)

実り多き台湾での修業を終え、拳児、香港へ旅立つ。劉月侠、蘇崑崙をはじめ、さまざまな“師”との忘れ得ぬ思い出と共に…目的地は、閻大旺の待つ20世紀最後の魔窟・九龍城。活劇都市・香港をまえに、拳児高ぶる!!

拳児(12)

九龍城の実力者・閻大旺の姪・勇花が誘拐された。その背後には、香港の闇の世界を支配しようとする無法集団“天友楽”の影が…いま卑劣きわまるジョニー・王に対し、拳児怒る!!北派八極拳VS.南派蛇拳、激突!!

拳児(13)

台湾から香港。そしてたどりついた八極拳発祥の地、中国・河北省滄州。幾多の武術を生んだここは、行方不明の祖父・侠太郎を捜しだせる、唯一の土地でもあった。期待と不安に胸おどらせながら、拳児、悠久の大地に立つ!!

拳児(14)

吹き荒ぶ黄塵の中で、拳児を助けてくれた老人。なんと彼は回教の八極拳・猛村八極拳の最長老・丁清真老師だった。祖父を捜しだすため、孟一族の消息をたずねまわる拳児の前に、新たなる実戦の拳法が…拳児、息をのむ!!

拳児(15)

八極拳の発祥地・河北省・滄州で、ついに祖父・侠太郎の手がかりを得た拳児。だが侠太郎は、8年前“最高の拳法”を捜しもとめ、すでに河南省へ旅立っていた。いま拳児、祖父を追い中国大陸を北から南へ。拳児、拳法ひとり旅!!

拳児(16)

太極拳の発祥の地・陳家溝をめざし、ひたすら旅を続ける剛拳児。だが、その途中の小さな村にも、拳児より強い男がいた。拳児敗れる。そして今、敗北のくやしさを胸に秘め陳家溝へ。拳児、太極拳の真髄をもとめ、化勁を学ぶ!!

拳児(17)

“漢民族の秘宝”といわれる少林武芸。その少林寺で、祖父の足跡をつかむため、小沙弥(小坊主)とよばれる修行僧になった拳児。だが、厳しい修行にあけくれる拳児の前に新たな敵が…拳児、少林寺の秘伝・心意把と相対する!!

拳児(18)

初祖庵の住人・悟雷のもとで、少林七十二芸の本格的な修行を始めた拳児。だが、またしても強盗団“夜叉王”の執拗な魔の手が…行方不明の祖父と、夜叉王の頭目・悟空との間になにがあったのか?拳児、老君山をめざす!!

拳児(19)

無法集団“夜叉王”の頭目・悟空の秘密とはなにか。さらに生死不明の祖父・侠太郎は!?すべての答えが、老君山の山頂にあるという。そして今、その頂を前に、悟空の一番弟子・夜叉一と、拳児が闘う。拳児、己を捨て心意把に挑む!!

拳児(20)

台湾から香港。そして中国大陸の北から南へと続いた一人旅。祖父との再会を果たし、その旅も終わりをむかえようとしていた。だが、最後の難関があった。拳児、宿敵・トニー譚との戦いを経て、八極拳の極意と、新たな目標を得る!!

拳児(21)

拳児が、心の底からあこがれた拳法“八極拳”。その確立の過程のなかで、強さが伝説にまでなった男がいた。李氏八極拳の創始者であり、神槍と称された彼の名は───李書文。八極拳の根元と、戦う男の誇り高き生きざまが、今ここに!!

拳児

八極拳=最強の中国拳法

拳児 藤原芳秀 松田隆智
名無し

ブルース・リー派かジャッキー・チェン派かといわれれば、世代的に僕はジャッキー派でした。日曜洋画劇場で放送された『酔拳』を録画し、繰り返し見ながらその技を真似したものです。今でも宴会芸くらいには使える腕前と自負しております。この我流中国拳法演舞は、それからも映画(『イップ・マン』)やゲーム(『鉄拳』)を参考にレパートリーを増やしてきましたが、もっとも多く取り入れたのは『拳児』からです。  『拳児』は八極拳と出会った剛拳児の成長の物語です。剛拳児は間違っていないと思えば、大人にでも立ち向かうことができる正義感あふれる少年です。時として母や先生からは暴力的と思われていますが、祖父である剛侠太郎はその芯の強さ、心根が真っ直ぐなことを見抜き、八極拳の手ほどきをするのです。。  祖父から八極拳を学びながら過ごしていたある日、祖父・ が突如中国へ旅立ってしまいます。かつて、兵隊として中国へ出征していた侠太郎は瀕死の怪我を負い、そこで地元の人間に助けられます。敵国の人間を、厭うことなく世話を焼く村人と、侠太郎は親交を結び、村に伝わる八極拳を学ぶことになります。彼らに恩を返すために再び中国へと旅立っていったのです。  そのまま音信を絶ち、何年も帰ってこない侠太郎を探すために、高校生となった拳児が中国に旅立つのが第二部の始まり。  修行を重ねてきた八極拳を頼りに、そして、数多くの人たちの親身な助けにより、拳児は様々な中国拳法を出会っていくのです。  行く先々では、次々と師匠と呼ぶべき人間が現れ、暴力や復讐に溺れない正しい道へと拳児を導いていきます。そんな拳児の対極に位置するのがライバルのトニー・譚。拳児と戦い敗北を喫してしまったトニー・譚は、拳児を倒すために最強の武術を求め続けます…。    祖父を探し出し、トニー・譚とも決着を付けた拳児は、八極拳を通じてなにを見つけるのか。師匠に導かれ、自身の闇と対決して、悟りに至る…『ゲド戦記』にも通じますし十牛図に描かれるような悟りとも言えるものが、ここには描かれているのです。そう考えるととんでもなくスケールのでかい哲学漫画ともいえるのです。  それはそれとして、日本における八極拳=最強の中国拳法の方程式を作ったのは『拳児』ではないかと疑っておりますが、どうなのでしょうか。