あらすじ

演技中に足を負傷した駿のケガが悪化し、ピンチにおちいる日本チーム。しかし、駿は痛みをこらえて演技を続行する。そのガンバにチームは一致団結。そして、最終種目「跳馬」の逆転優勝のチャンスに登場した駿は…。
ガンバ! Fly high 1巻

平成学園中等部一年B組・藤巻駿(ふじまきしゅん)は、将来オリンピックで金メダルを取る夢を抱き、体操部に入部する。ところが、男子体操部は超弱小だと知らされる…!?ロス五輪金メダリスト・森末慎二が原作初挑戦!!金メダルをめざす少年・藤巻駿の波乱万丈、超熱血体操ストーリー!!

ガンバ! Fly high 2巻

男子体操部は女子部に鉄棒の場所を奪われてしまい、大弱り。そんなとき、駿たちは庭に体操用の鉄棒を持ち、子どもたちに教えている名トレーナーのおばあちゃんと出会う。これで鉄棒の練習ができると喜んだのもつかの間、子どもがケガをしてしまい、鉄棒を撤去することになってしまう。

ガンバ! Fly high 3巻

名コーチ・田所のおばあちゃんのおかげで、駿たちはメキメキ上達する。そんなとき、園長から成績が悪いことを理由に、二ヶ月後の夏の大会で六位以内に入らなければ廃部にすると宣告される。そこで、おばあちゃんがウルトラG作戦を計画するが…!?

ガンバ! Fly high 4巻

ケガをして出場できない新堂キャプテンの分もガンバると、一週間の合宿で猛特訓をした駿たち。そして大会当日、それぞれの得意な種目で必殺技をきめ、計画通りの高得点を獲得する。ところが、会場の注目を集める最終種目の鉄棒で、トップバッターの東が思わぬ大失敗を…!?

ガンバ! Fly high 5巻

真田が健闘するも、最終演技者・駿の出番の前にほぼ廃部は決定的になる。それでも駿はあきらめずに、独創的で完璧な演技を披露して最高点を獲得する。結局六位入賞は果たせなかったものの、種目別で三人が優勝し、部は存続することになった。

ガンバ! Fly high(6)

駿は鉄棒から手を放すことができなくなってしまい、大スランプ。周囲の協力を得て、徐々に勇気を取り戻す。そんなある日、おばあちゃんの家にやってきた、元世界チャンピオンのアンドレアノフの指示通りに鉄棒に挑戦してみると…。

ガンバ! Fly high(7)

アンドレアノフのコーチのもと「楽しい体操」をテーマに、秘密の特訓を開始した駿たち。そして、選手権が開幕。大会には、アンドレアノフと対立する李(リー)コーチ率いる「李軍団」も出場。李軍団はケタ違いの演技を見せ、他を圧倒する。

ガンバ! Fly high(8)

完成されたE難度の演技で、圧倒的な強さを見せつける李軍団。そんな李軍団と対象的なのが、平成学園の選手たち。大失敗してもめげず、観客に大ウケの「楽しい体操」を展開する。そして、第三種目「つり輪」では東が…。

ガンバ! Fly high(9)

李軍団に暴力を振るわれ、奮起する平成学園の選手たち。最終種目の「鉄棒」で、またもや完璧な演技で高得点を出した、李軍団の後に駿が登場。「楽しい体操」を目指す駿は、のびのびとしたダイナミックな演技を展開する。拍手が鳴り止まぬなか得点が発表され…。

ガンバ! Fly high(10)

駿は一年生ながらもジュニア種目別選手権の「鉄棒」で金メダルを獲得する。その影響で、新学期を向かえた男子体操部には入部希望者が殺到する。しかし、内田の悪ノリが過ぎて、残ったのはたった二名。体操経験者・氏家(うじいえ)と、駿を恋敵視する問題児・柳沢だけだった。

ガンバ! Fly high(11)

県予選に三年生を欠いたまま出場した平成学園。駿のガンバりでチームは順調に好成績を上げるが、柳沢のせいで大ピンチに。そこへ試験を抜け出してきた内田が上野とすり替わり、競技を続行する。平成学園は高得点をおさめ、団体優勝を決めるが…。

ガンバ! Fly high(12)

全国大会の開催地・福井で再会した元・マネージャーの相楽(さがら)まり子は、転校先のクラスで孤立していた。そんなまり子を励まそうと、駿はひそかに優勝を決意する。しかし、トップの明青台中には、強敵・李軍団が参加していた…。

ガンバ! Fly high(13)

優勝のプレッシャーを背負う駿は鉄棒で、最高級E難度「コバチ」に挑むが、おしくも落下してしまう。しかし、自分の間違いに気づいた駿は演技を再会する。そして、その伸び伸びとしたすばらしい演技に、場内は拍手喝采となる。

ガンバ! Fly high(14)

平成学園中等部の駿、真田、東、内田は荒川先輩の横暴により、高校種目別対抗戦に出場するはめになってしまう。相手の嵐雲公庫は高校チャンプで、古屋監督は駿の日本ジュニア代表入りを反対したイヤなやつで…。

ガンバ! Fly high(15)

堀田は、平成学園の実力を体操協会役員でもある古屋監督に認めさせるため、あえて難しい演技で駿を挑発する。その想いに応えるべく駿も全力で演技にのぞみ、堀田さえも驚く高さを見せて、体操の楽しさを体現する。

ガンバ! Fly high(16)

三バカトリオはオリンピックで新技を発表すれば、選手の名前が技につくと聞いて新技開発に熱中する。そして、基本を重視するアンドレアノフコーチと対立してしまう。アンドレアノフコーチをなんとか納得させようと演技会を計画するが…。

ガンバ! Fly high(17)

未来のオリンピック金メダリストを目指して、平成学園男子体操部員となった駿も、めでたく高校一年生となった。同級生や先輩たち、戻ってきた元マネージャーのまり子と一緒に、再び夢に向かって走りはじめる。

ガンバ! Fly high(18)

平成学園男子体操部はインターハイに初挑戦。他校の妨害にかえって闘志を燃やした平成学園は、なんと逆転優勝を飾り、全国大会進出に一同大喜びする。ところが、同じアンドレアノフコーチの教え子・斉藤の挑発で、急遽アジア大会日本代表選考のYG選手権大会へ参加を変更してしまう。

ガンバ! Fly high(19)

選手権出場中に、体格を理由に突然引退宣言をした東のせいで、ムードは一変してしまう。事情を知った駿は、東に「限界を口にしたままやめないでほしい」と懇願する。駿の想いに応え、「鉄棒」で観客をうならせるド迫力の演技を見せた東だが…。

ガンバ! Fly high(20)

最終種目の「鉄棒」で、ライバルたちの最高の演技に応えたい駿は、なんと未発表の新技を披露してしまう。その結果、三位に入賞し、全日本合宿に参加できることになる。しかし、平成学園を嫌う体操協会役員・上総(かずさ)は駿を代表からはずそうと…。

ガンバ! Fly high(21)

アジア大会に向けた全日本合宿に参加した駿は、レギュラーからはずれたものの、「鉄棒」のスペシャリストとして出場が決定した。そんな駿の前に中国体操のエース・楊(ヤン)が出現。世界のレベルにプレッシャーを感じつつ、アジア大会に乗り込むが…。

ガンバ! Fly high(22)

初の国際大会でのプレッシャーからか、トップバッターの斉藤がいきなり大失敗をしてしまう。その不調ムードを打ち破ったのは、「楽しい体操」でチームを励ます駿の伸びやかな「鉄棒」の演技だった。日本は勢いを挽回し、なんとか本選に進出することに。

ガンバ! Fly high(23)

演技中に足を負傷した駿のケガが悪化し、ピンチにおちいる日本チーム。しかし、駿は痛みをこらえて演技を続行する。そのガンバにチームは一致団結。そして、最終種目「跳馬」の逆転優勝のチャンスに登場した駿は…。

ガンバ! Fly high(24)

アジア大会では大健闘を見せ、銀メダルを獲得した駿は、いっそうオリンピックへの想いを熱くして帰国した。マスコミの取材や周囲の変化にとまどい不安になるが、アンドレアノフコーチから、「戦うべき敵は自分自身」という言葉を教えられ、立ち直る。

ガンバ! Fly high(25)

シドニーオリンピック代表一次選考に挑む駿は、内田と同じローテンション班で競技することになった。ところが、駿が内田のことを想っての言動が逆に内田をいらただせてしまい、ついに試合中に大激怒。それに動揺した駿は、「鉄棒」から落下してしまう。

ガンバ! Fly high(26)

駿、内田、真田は三人そろって一次選考を通過する。通過した他の選手たちもおなじみの顔ぶればかりで、半年後の二次選考はかなりの難関になりそう。そんなとき、アンドレアノフコーチが駿に教えたいことがあるといって…。

ガンバ! Fly high(27)

最も信頼するアンドレアノフコーチが、「自分の体操を見つけなさい」という言葉を残して平成学園を去り、駿は意気消沈。まずは「自分の体操」を見つけられる大学を探しはじめた駿は、勧誘する山崎の熱意に応え、上野と二人で無名の明鏡学院大学に入学する。

ガンバ! Fly high(28)

シドニーオリンピック代表二次選考で、駿は手作り練習場で開発した「鉄棒」の新しい下り技を発表し、会場を騒然とさせる。平成学園OBの内田と真田も着実に順位を上げ、上位グループ入りを狙って奮闘する。そして、最終選考会NHK杯が開幕する。

ガンバ! Fly high(29)

五種目が終了し、上位は僅差の横並び。出だしは好調だった駿は、七位に転落する。最終種目の少しのミスも許されない厳しい状況のなかで、駿は得意の「鉄棒」を開始する。GF・相楽に約束した新技「最高のトカチェフ前宙」に場内は騒然とする。

ガンバ! Fly high(30)

駿は最終種目の「鉄棒」で、スーパーE難度のオリジナル技をさらに進化させた「屈伸のトカチェフ前宙」を見事に決め、ついにシドニーオリンピックへの切符を手にする。ナショナルチームは一ヵ月後のオリンピックへ向け強化合宿に入るが…。

ガンバ! Fly high

3馬鹿トリオこそ真の主人公

ガンバ! Fly high 菊田洋之 森末慎二
名無し

スポーツで汗を流す青春って妬ましいですね。僕が一人きりの部屋で不健康な汗をかいていたとき、グランドや体育館で健康的な汗をかいていた彼らは、きっと美人マネージャーと幸せな関係になっていったのでしょう。僕は2次元な彼女と不適切な関係になっていたというのに……。ああ妬ましい。今回紹介する『ガンバ! Fly high』も“スポーツ”と“ねたみ”というキーワードは欠かせません。「オリンピックで金メダルをとりたい」と、逆立ちもできない運動音痴の藤巻駿が飛び込んだのは、県最弱の平成学園体操部。そこには、一芸だけは秀でた三馬鹿トリオの先輩、内田、真田、東がいた。藤巻のひたむきな姿に3人も影響されて――。そんなプロローグから始まる『ガンバ~』の主人公・藤巻駿は典型的な少年漫画の主人公です。はじめはどんくさいけれど、眠った大きな才能をもち、努力を厭わない。あっと言う間に日本代表になり、世界初のオリジナル技を発明するまでになります。しかしこうなると、なんとも感情移入できなっなくなってしまいます。「努力とかいいながらも、結局“天才”の物語かよ」と。ああ妬ましい。しかし、『ガンバ~』はひとあじ違う。後半になると、完璧超人となった藤巻から、藤巻に追いこされてしまった3馬鹿トリオにフォーカスが移るのです。身近にいる天才・藤巻が世界の舞台で活躍するのをみて、感動しながらも焦りを感じた内田と真田は、自分なりの努力を重ねます。しかし、どうしても、どうしても、藤巻の背に追いつくことができない。藤巻に逆立ちを教えた内田は言います。 「俺はあいつに負けたくねえのよ! 体操の技術がどうとか得点がどうとかじゃなく、一生懸命ガンバるってことにおいて!」 決定的に実力の違う天才の背中を見ながらも、そんな気持ちをストレートに吐きだし踏ん張り続ける3馬鹿トリオこそ、読者が感情移入に足る、真の主人公だと思えてならないのです。これは、ひとつの【凡人萌え】マンガの極みと言えるではないでしょうか。そうジメジメした部屋の中で思うのです。