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柚月裕子氏原作のベストセラー小説を圧倒的表現力によりコミカライズ!男たちの思惑が交差する異色の将棋ミステリー待望の2巻!!昭和46年、高度経済成長と前年に開催された大阪万博によりにわかに活気づく日本。長野県の諏訪市、そこには若かりし頃の「炎の棋士」上条桂介がいた。母親を亡くし、父親から暴力を振るわれる生活と自身の持つあまりにも大きな才能により孤独の底にいた彼の運命は老人、唐沢光一朗との出会いによって大きく変化していくーー。光一朗と彼の妻、美子の深い献身と愛情によりその孤独を癒していく桂介。そして光一朗によって彼に教えられた将棋は行き場所の無かった才能に大きな道を示し始める。異端の棋士と呼ばれた男、その奥底に眠る孤独と思いの正体とはーー。冬の底で芽吹く、才能と出会いの2巻!
2018年に本屋大賞で2位となり、NHKで連続ドラマ化もされた名作のコミカライズです。 作画を手がけるのは雨群さん……って『麻衣の虫ぐらし』などの雨がっぱ少女群さんじゃあないですか!! 『ぼくたちの離婚』に引き続いての原作付き作品コミカライズですが、これだけ描き分けられるのが凄いです。あとがきマンガによると『麻衣の虫ぐらし』の方をかなり無理して描いていたそうで、しかも本当は前作で漫画家を引退する予定でありながらも本作を諸事情で最終作にする予定だとか。 これで終わりになるのがあまりにも勿体ないと思うくらいに、このコミカライズが素晴らしい出来栄えです。主人公たちはもちろんのこと、敏腕刑事の石破であったり端役の老人たちであったり、歳を重ねた人をしっかり魅力的に描き分けています。 ピンポイントですが、特に仙台の佐々木喜平商店の奥さんの表情の絶妙さはあまりにも素晴らしいので見て欲しいです。表情でこれだけ魅せられる人はなかなかいません。 本作は将棋がストーリーに密接に関わり、大きな謎が軸としてありながら、もうひとつヒューマンドラマとしての側面があります。雨群さんの絵の説得力が、作品の持つ世界観とも絶妙にシナジーを生み出しているのです。原作の評価もあり物語の面白さは保証済みですが、そのコミカライズとして本当に最適な人選であり担当編集さんは良い仕事をしたなと感じます。 将棋、ミステリー、ヒューマンドラマ。ひとつでも興味があれば読んでみることをお薦めします。