あらすじ「彼を捕まえたら、私の家に連れて来るんだ」私はパルメランにそう命じたが、パルメランは私の妻と密通し、妻からは彼を殺せと言われていた。私は地位も金もある男爵。その私が“恋”をしたのだ。街の与太者…公衆便所でカモを漁る美しき野良犬に…。サーカスの人気者がテントを出て、広場や公園で大道芸をやっている、その名はパースペクティブキッド。多くの男色趣味の爺さんが、彼に乱暴され大金を巻き上げられていた。奇術を使う美少年をめぐって、殺人まで起こる愛憎劇が繰り広げられる…。
自分はその作品を描いたのがどんな人か気になるタイプだと話たら、作品と作家は別だからそんなことは考えないと言われ、この「パースペクティブキッド」を渡された。ひさうちみちお先生のファンは実際に先生にお会いすると作風と本人がまったく違うので驚くのだと言う。 端正なペンタッチで耽美な世界が描かれている。男色や殺人や吸血鬼まで描かれているけど悪趣味なおどろおどろしさはない。追いかけ続ける美少年キッドが一体何者なのか…?ユーモアと美しさの余韻が残って好きな終わり方だった。 あとがきにデビュー前は見た夢の内容そのままのつまらない漫画を描いていたとあったけど、そのプロセスがなければ描かれなかった作品かもしれない。他人の夢はつまらないとは言うけど、話の構成が上手ければそんなことないんだと思う。それがなかなか出来ないんだけど。20代でこれを描かれたのはすごい。