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明治18年、新聞「時事新報」に無署名で掲載された社説で、福沢諭吉によって書かれたといわれている。1853年の黒船到来、鎖国体制の崩壊、そして明治維新。激動という言葉すら甘い大激震の時代。明治政府は儒教的な伝統を保守するのか、近代文明を受容し邁進するのかを迫られた。西欧列強に良いように操られず、独立国として矜持を保つためには、どうすればいいのか。近代文明を、清濁あわせ飲む覚悟が必要である、と福沢諭吉は説いた。脱亜入欧の源流であり、ひいてはその後のアジア各国への侵略を促したと批判され、現在の嫌韓・嫌中に通じると捉われかねないが、決してそうではない。日本はもちろん、伝統的国家構造を保つアジア全体を顧慮し、これからのあるべき姿を示した論なのである。